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著者・編者 | 海堂尊=著 |
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出版情報 | 角川書店 |
出版年月 | 2013年03月発行 |
『 螺鈿迷宮
』の続編。
桜宮市の終末医療を担っていた碧翠院桜宮病院の炎上事件から 1 年後、東城大学の落第医学生・天馬大吉は勉学に対する態度を一変、優秀な同級生・冷泉深雪と「日本の死因究明制度」を調査することに。だが 2 人は取材を重ねるうちに、この制度の矛盾に気づいてゆく。
一方、碧翠院桜宮病院の跡地に Ai センターが設立され、センター長に不定愁訴外来の田口医師が任命された。碧翠院を経営していた桜宮一族の生き残りが活動を再開。東城大への復習の牙をむく。
天馬と冷泉を中心に、海堂ワールドの登場人物が総出演。
ミステリー仕立ての流れの中に、医療の素晴らしさを織り込んでいるのは現役医師ならでは。
医学生の天馬は患者・美智の臨終に立ち会い、「『午前 11 時 52 分、ご臨終です』自分の声を耳にして、僕の膝が崩れ落ち、動かなくなった美智の身体にしがみつく。これが、人が死ぬ、ということなのか」(204 ページ)というは、終末医療そのもの。天馬は、焼死した碧翠院桜宮病院の巌雄院長が遺した言葉「死に学べ。そうすれば、いっぱしの医者になれるだろうさ」(139 ページ)を思い出す。
田口が記した美智のカルテの読んだ天馬は、「医療は、こんなことまでできるのか」(206 ページ)と絶句する。昼行灯の異名をとる田口が書いたカルテこそ、患者が生きた証だったのだ。
ヒロインの冷泉深雪はツンデレなのだが、ツインテールではなくツイン・シニョンというのはご愛敬。ラノベすらパロディにしてしまう海堂ワールドに脱帽。
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