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2013.08.03
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カテゴリ: 書籍


中国はなぜ無茶をするのか


中国はなぜ無茶をするのか


 取り決めとは「永遠不変」のものではなく、「その場の状況で変えても、おかしくない」というのが、中国人の基本的な発想です。(24ページ)

著者・編者 サーチナ=著
出版情報 アスキー・メディアワークス
出版年月 2012年08月発行

著者は、本最大の中国情報サイト「サーチナ」だ。軍事、外交、民間を問わず、日本人が首を傾げる中国の行動について解説する。

冒頭で、サーチナは「主張の背後には、その是非は別として、はっきりとした『彼らの論理』が存在する場合が普通」(4 ページ)と説く。
たとえば、「取り決めとは『永遠不変』のものではなく、『その場の状況で変えても、おかしくない』というのが、中国人の基本的な発想」だという。日本人にとって国際法は普遍のルールだが、中国人にとっては状況に応じてルールを変更しても構わないというのだ。ずいぶんと身勝手なものだと感じるが、われわれも国内で同じことをしていないか。阿吽の呼吸で契約や法律を臨機応変に解釈していることはないか。
中国人の場合、外国人相手に同じことをしていると言える。

中国では、共産党上層部と軍上層部の対立もあるという。
軍部は、東シナ海から太平洋に抜ける第一列島線(佐世保-沖縄-台湾-ルソン島-ボルネオ島) と、その外側の第二列島線(横須賀-伊豆諸島-小笠原諸島-グアム島-パプアニューギニア)を突破することが悲願だという。その途中にある尖閣諸島を領有することは、埋蔵資源ではなく、軍事的な目的が優先されているとみられる。
中国は、政府や憲法より上に共産党が位置するという点も忘れてはならない。共産党が最高権力であり、人権は二の次である。

前述のように「中国人には『さまざまな行動はルールの範囲内でのみ許されている』ではなく、『ルールは場合によって、利益を上げようとする努力の前に立ちはだかる壁』との考え方が強い」(121 ページ)という。コンプライアンスは二の次で、「ルールという壁を突破するには、どうすればよいか」「ルールを無視しても、この程度ならかまわないだろう」と考える傾向にあるという。
身勝手とも言える論理だが、わが国でコンプライアンス遵守が叫ばれるようになったのは、エンロン問題に端を発する欧米からの押しつけというのも事実だ。結局は、国際社会における経済力の優劣が結論に結びつくだろう。このまま中国の経済が発展を続ければ、いまのコンプライアンス遵守は形骸化し、中国人のように臨機応変にルール変更をすることになるかもしれない。
残念なことだが、わが国はイニシアティブをとることはできず、どちらかの論理に従う形になるだろう。

サーチナは、中国が日本、米国、アジア諸国と摩擦を起こしている事実を列挙しているが、「中国と EU との聞では、友好関係に悪影響を及ぼすような大きな対立や、相手を強く非難したりするケースが発生することは、それほど多くありません」(170 ページ)と書いている。その理由は、「中国が欧州に対して、ある種の憧れや尊敬の念を抱いている」ためだという。
しかし、中国を侵略したのは日本より欧米の方が先である。サーチナは「旧日本軍に侵略されたことへの憤慨と比べると、欧州に対する怒りはさほど大きくありません」と説明する。どうも釈然としない。
欧米が侵略したのが征服王朝である清国で、日本と対立したのが共産党であったという理由が大きいのではないか。

サーチナは最後に、「外交問題を“覗き窓”として、内政問題まで見えてくるようになれば、中国という国をもっと理解し、「この固と付き合うにはどうすべきか」ということがわかってくるでしょう」(191 ページ)と締めくくる。確かにその通りなのだが、そのために本書が参考になるかというと、いささか心許ない。自分でニュースを(人民日報を含めて)読んで、自分なりに解釈するしかなさそうだ。










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最終更新日  2013.08.03 18:09:21
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