PR
キーワードサーチ
フリーページ
著者・編者 | 海堂尊=著 |
---|---|
出版情報 | 宝島社 |
出版年月 | 2012年7月発行 |
「東城大学病院とケルベロスの塔を破壊する」――1通の脅迫状が始まりだった。
愚痴外来の田口医師は新設される Ai センター長に就任。その元へ、『 チーム・バチスタの栄光
』から連なる小説群(桜宮サーガ)で活躍してきた登場人物が集う。
ケルベロスは 3 つの頭を持つ地獄の番犬。その弟は双頭のオルトロス――ここまではいい。しかし、彼らには 3番目の弟がいるという。名前は忘れられてしまっており、シロ、ロン、シンノスケ、ソウイチロウ、ネロ、ポチ、パウワウ、キョロ‥‥いきなり笑いの沸点を下げられてしまった。
厚労省の変人役人・白鳥圭輔の部下、姫宮が田口医師と初対面。無理数が好きなのかと聞く田口医師に対し、こくりと頷き、「ええ、好きです。割り切れない、ご無体なところが、とても」(40 ページ)。
東城大学病院の高階院長は、Ai センター長の田口医師の部下になると言いだし、「田口先生には、シンポジウムでは神輿になっていただきます。神輿はかつがれるもので、自分の意思ではどこへも行けません。その歯痒さ、もどかしさを思えば、まだ私にこき使われていた時の方が幸せだったと気づくでしょう」(54 ページ)とつぶやく。
ノーベル賞に最も近いと言われるマサチューセッツ医科大学の東堂医師は、9 テスラのマンモス MRI の運搬に陸上自衛隊の戦車を利用したうえ、「解剖は、破壊しない場所のことは何もわからないんです」と南雲監察医に宣戦布告する。
運命の 8 月 29 日、Ai センターでシンポジウムが開催される。そこで大事件が――黒幕は誰か。そして物語は大団円を迎える。
本書はミステリー小説でも医療小説でもない。『 チーム・バチスタの栄光
』のミステリー感や『 イノセント・ゲリラの祝祭
』での医療問題提起を期待してはいけない。本書は純然たるエンターテイメント小説なのである。
桜宮サーガで蒔かれてきたフラグが、本書で回収される。海堂ファンなら「なるほど」と楽しめるだろうし、本書が初めての読者はラノベとして楽しんでほしい。なにしろ登場人物は、みな中 2病なのだから。
そして新たなフラグがばらまかれる――登場人物たちの今後の人生は!?
【SFではなく科学】宇宙はいかに始まった… 2024.10.20
【大都会の迷路】Q.E.D.iff -証明終了… 2024.10.06
【寝台列車で密室殺人事件?】Q.E.D.if… 2024.10.05