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著者・編者 | 池内了=著 |
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出版情報 | 集英社 |
出版年月 | 2014年2月発行 |
著者は、総合研究大学院大学教授で天文学者の池内了さん。本書は、12 年前に出発されたロングセラー『物理学と神』の第2 弾という位置づけだ。天文学の発展を、その当時の神と人間の関係という視点で読み解いていく。
池内さんは冒頭で、「神と宇宙は相性がよい」(15 ページ)と指摘する。「どちらも遠く離れていて直接捕らえることができず、想像する中で肉薄するしかない点で共通しているから」だ。そして、「近代科学とは、神の領域と人間の関係を明確に区別する方法」(91 ページ)だという。
また、アリストテレスの天動説はキリスト教徒は無関係だとも指摘する。「そもそもアリストテレス自然学はキリスト教以前の所産であり、物質はそれが孕む本来の性行に従って巡動していることや天体巡動の完全性(等速円運動を永久に続ける)の仮定の上に成り立っている。聖書とは縁もゆかりもないのである。ただ地球が中心である点だけが聖書と共通していたに過ぎないのだ」(94 ページ)。
この記述には、目から鱗が落ちた思いがした。
池内さんは「宇宙論というような役に立たない科学は肩身が狭い」(21 ページ)と言うが、「講演やらパネル討論やらなどで私が市民から求められるのは役に立たない宇宙論の話である。そこで私が覚ったことは、政府や産業界なとがやたらと経済優先を喧伝するが、市民はそれを聞き流していて、役に立たないけれど、楽しい話、ロマン溢れる話、何となく元気づけてくれる話を望んでいる」という。私も天文ファンの端くれ。食い扶持を稼ぐために経済優先のビジネスマンとなったが、少なくとも子どもを育てる親としては、人生は楽しく、ロマンがあり、それでいて自然(=神)の驚異に畏れを知ることを伝えていかねばらならないと感じた。
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