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著者・編者 | 鎌田浩毅=著 |
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出版情報 | 筑摩書房 |
出版年月 | 2019年9月発行 |
著者は、京都大学大学院人間・環境学研究科教授で、火山学・地球科学が専門の鎌田浩毅さん。京大の講義は毎年数百人を集める人気という。『やりなおし高校地学』とあるとおり、多少の地学の素養がある人なら楽しめる内容となっている。センター試験の問題と解答解説を挟みながら、地質・気象・天文の順に、高校地学のおさらいをする。阪神淡路大震災や東日本大震災で活動期に入った地殻変動について学びたい、地球温暖化について学びたい、という方にもおすすめする。
蒲田さんは冒頭、「地学の目標を一言で表すと、『我々はどこから来たのか、我々は何者なのか、我々はどこへ行くのか』を追究することにあります」(6 ページ)と述べ、地球の誕生から現在までを俯瞰しながら、地質(地球学)をおさらいする。地磁気や地震のメカニズム、プレートテクトニクス、プルームテクトニクス、超大陸、活火山とホットスポットなど。また、地質用語としては、鍵層、示準化石、示相化石、火山岩、深成岩、カルデラ、火口、海溝、トラフなど――定義を覚えていますか?
第5章「動く大気・動く海洋の構造」として、まず、対流圏から外気圏までの大気の構造を紹介し、気流の動きをおさらいする。気象に影響を与えるのは、気流だけでなく、海水の循環、とくに深層循環(コンベアーベルト)を挙げる。エルニーニョやラニーニャ現象もそうだし、コンベアーベルトで二酸化炭素も運ばれ、地球温暖化に影響を与えている。
第6章は天文学だ。ビッグバンやダークマター、ダークエネルギーといった最新の知見にも触れる。主系列星、HR 図、中性子星、バルジ、ハロー――定義を覚えていますか?
蒲田さんは最後に、「地球のような巨大なものを考えるときは、『長尺の目』という大きなスケールで物事を見る必要があります」と述べる(288 ページ)。地球は、短期的に見れば二酸化炭素の排出増加で温暖化しているが、長期的には関連化へ向かっている。経済学で言うなら、ミクロ経済とマクロ経済。ビジネスでは、今期利益と中長期戦略――私たちは地学を学ぶことで、複数のスケールで物事を見ていく大切さを学ぶことができる。
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