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著者・編者 | アイザック・アシモフ=著 |
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出版情報 | 早川書房 |
出版年月 | 1997年8月発行 |
ソラリア人サートン・バンダーは、〈スペーサー〉の歴史を語った。ソラリア人は遺伝子を調整し、ひとつの身体に男性と女性の両方の本質を組み込んで全人になったという。そして、熱をエネルギー変換器官を介して機械的エネルギーに変換したり、精神力変換作用によってロボットを使役しているという。
バンダーはゴラン・トレヴィズ一行を殺そうとするが、ブリスの能力で生き延びた。一行はソラリア人の子供ファロムを連れ、ソラリアを出発した。3番目に訪れた惑星メルポメニアは死の惑星だった。廃墟から残り 47 の〈スペーサー〉の座標を発見した。
次に一行が訪れたのはアルファ・ケンタウリだった。広大な海原の真ん中に〈新しい地球〉と呼ばれる島があった。
そして、ついに地球に辿り着いた。地球は放射能に覆われており、細菌もウイルスも死滅していた。ファースター号が地球の周りをめぐる巨大な衛星〈月〉へ降下していくと、流暢な銀河標準語を話す男性が一行を歓迎した。「友情をもって、皆さんにご挨拶します」――彼は 2 万年もの間、稼働しているロボットだった――。
本書は、アシモフの銀河帝国興亡史の最も遠い未来を描いた作品である。アシモフのロボット・シリーズの登場人物の名前を“2 万年”ぶりに目にし、懐かしさで涙腺が緩んでしまった。このあとに続く『ファウンデーションの誕生』『ファウンデーションへの序曲』は、第1 作より前の時代を描いている。アシモフは、この先の未来史を描くことなく、1992 年に他界する。
本書のタイトルから、竹宮惠子の漫画『 地球
へ…』を思い出した。こちらは 1977 年の作品。人類は、環境破壊された地球を離れ、マザーコンピュータによる完全な管理の下、銀河へ植民してゆく。そんな中、超能力を備えた新人類ミュウの一団が地球へ帰還しようとする――『地球へ…』のマザーコンピュータや、銀河帝国のロボットには悪意がない。悪意はないけれど、私たち人類の選択を狭めている。
だからこそ、人類は故郷に戻り、自分たちの立ち位置を確認し、そこで正しい選択を行わなければならない――。
さて、前作『ファウンデーションの彼方へ』の最後で「ガラクシア」を選んだ主人公トレヴィズの決断について、初めて読んだ 34 年前も今も、私には釈然としないものがある。うまく言葉にできないのだが、「ガイア理論」を受け入れがたいという気持ちがある。ただ、21 世紀に入ってもなお、私たちの生活、考え方はアシモフの死者の手の上で踊らされているというのも、また事実である。ガラクシアという概念も、もしかしたら‥‥〈スペーサー〉ファロムから目を逸らした主人公トレヴィズが、銀河系外宇宙に目を向けたことに、いまの私は得心がいった――。
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