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| 著者・編者 | ジェームズ・P.ホーガン=著 |
|---|---|
| 出版情報 | 東京創元社 |
| 出版年月 | 1980年5月発行 |
コンピュータ・セールスマンからSF作家に転じたイギリスのジェームズ・P・ホーガンが、1977年、一気に書き上げた処女作だ。翻訳されたのは1980年5月。SFブームに乗って、たちまち人気を博した。
月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。ミイラ化した死体「チャーリー」を検査するため、トライマグニスコープを発明した物理学者ヴィクター・ハントが招聘された。たかが検死のためになぜそこまで金をかけるのか――疑問を感じるハントに国連宇宙軍本部長グレッグ・コールドウェルはこう言った。「何者であるかはともかく……チャーリーは5万年以上前に死んでいるのです」。チャーリーを調べている生物学者クリスチャン・ダンチェッカーは、解剖学的にみて人類であると断言する。
月では、チャーリー以外にも複数の死体が発見され、居住基地の発掘も進んだ。ハントはグループLを率い、データを専門家の間で共有し、議論することで、彼ら「ルナリアン」の研究が進んだ。そんな中、ルナリアンの施設から食料が発見された。ダンチェッカーは呻いた。「この魚は、地球の生物とは何の繋がりもないのです」――。
さらに月の裏側のほぼ全域にわたり、約5万年前、300メートルの厚さに達する岩石や土砂がぶちまけられたことが分かった。偶然の一致だろうか。
ルナリアンは、いまは存在しない太陽系第10番惑星「ミネルヴァ」で暮らしていたのだ。その場所は、いま‥‥どんなか、木星の衛星ガニメデで、2500万年前の巨大宇宙船が発見された。乗員の死体は、地球の生物とはまったく異なる解剖学的特長をもつ巨人「ガニメアン」であった。
ハントとダンチェッカーはガニメデへ向かった。そして、ルナリアンとガニメアンの謎はを総括した――だが、発表が終わった後でダンチェッカーは言った。「問題はまだ解決していないのです」。そして、ホモ・サピエンスの進化に関わる重要な仮説を語り始める。
出だしは、SF界の巨人アーサー・C・クラークの『2001年宇宙の旅』において、月面でモノリスが発掘されたシーンを思い起こさせる。古くからのSFファンは、クラークこそハードSFの雄であり、ホーガンの評価はすこぶる悪かった。
だが、本書でも触れられているとおり、最後の有人月面探査を行ったアポロ17号が地球に帰還したのは1972年12月14日。本書はその5年後に刊行されており、月の描写の精微さからいけば、『星を継ぐもの』に軍配を上げざるを得ない。
ハントとダンチェッカーがガニメデで調査をするのが2029年11月という設定――『2001年宇宙の旅』よりも四半世紀後の設定とはいえ、あと7年である。クラークもホーガンも鬼籍に入ってしまったが、どうやら、仲良く木星探査時期の予言は外れそうだ。
1986年、ホーガンはSF大会(DAICON5)に来日。SF大会から発生したGAINAXが製作協力したNHKアニメ『ふしぎの海のナディア』の最終回タイトルは「星を継ぐ者…」(1991年4月12日放映)であった。
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