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著者・編者 | 中村融=著 |
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出版情報 | 東京創元社 |
出版年月 | 2000年4月発行 |
世界の人口は緩やかに減少しており、労働力不足を補うべくロボットが導入されていった。そんななか、ジェラルド・マーティン議員の邸宅に、家政ロボット〈NDR-114〉が届いた。次女アマンダは、そのロボットをアンドリューと名付けた。アンドリューは、長女メリッサをミスと、アマンダをリトル・ミスと呼び、親愛の情を感じるようになる。ある日、アンドリューはリトル・ミスに請われて木彫のペンダントを作った。サーは、美しく精巧な出来映えに感心し、アンドリューが木工品を作り、それを販売して得た利益をアンドリュー名義で預金できるようにした。アンドリューは、そこから自身のメンテナンスや改造に要する費用を捻出するようになった。
30年後、アンドリューは〈自由ロボット〉となった。アンドリューはマーティン領の片隅に工房を建て、仕事に励んだ。やがて、ジェラルド・マーティンが世を去った。アンドリューは、リトル・ミスの息子ジョージ・チャーニーの古着を着てみた。そして、服を着た初めてのロボットとなった。アンドリューは人間とのコミュニケーションを円滑にできるよう言語について学ぼうと、図書館へ向かった。
ジョージはロボットの公民権獲得のために戦い、〈親ロボット法〉が成立した。その日、リトル・ミスが世を去った。アンドリューはロボットの歴史を書いていた。ジョージは世を去り、その息子ポールの時代になっていた。アンドリューはポールの支援を得て、USロボット社の社長ハーリー・スマイズ-ロバートスンに面会する。アンドロイドの身体に交換するためだった。彼は、自分の身体を使ってロボット生理学の研究を始めた。
ポールは世を去り、マーティン家とチャーニー家の子孫は途絶えた。アンドリューは独力で、USロボット社の研究所長アルヴィン・マグデスクに面会する。自分の身体に代用器官を埋め込むためだ。代用器官は、アンドリューがライセンスし、USロボット社が生産し、人間の寿命を延ばすことに貢献した。こうしてアンドリューはマグデスクと意気投合した。
マグデスクは、〈150周年を迎えたロボット〉アンドリューのための祝賀会を開き、世を去った。アンドリューは再び一人ぼっちになった。
とうとうアンドリューは地球外へ進出することになる。月の低重力下でも安定稼働する代用器官を研究するためだ。
地球に戻ったアンドリューは、ジェラルドの時代から法律面の支援を受けてきたファインゴールド&チャーニー法律事務所のサイモン・デロングに依頼し、人間に帰化するための運動を起こす。世界議会のリー・チー・シン議員と面会し、人間になりたくてたまらないと告げる。リーは協力を約束するが、世界議会を動かすのは大変なことだった。リーは、人間とロボットの脳は違うことを指摘する。だが、アンドリューは人間がロボットに抱いている反感の原因を掴み、ついに大きな決心をする。この行動が世界を動かした。書類に署名した世界調整官はアンドリューを〈200周年を迎えた男〉と呼び、握手を交わした。
アイザック・アシモフのロボットSF短編集『聖者の行進』に収録されている「バイセンテニアル・マン」(二百周年を迎えた男)を、原作の登場人物もストリーもそのままに、ロバート・シルヴァーバーグが長編小説化したもの。1999年公開、ロビン・ウィリアムズ主演の映画『アンドリューNDR114』の原作であるが、映画の方はかなりアレンジされている。ともかく、長編、映画ともに珠玉の出来映えである。それというのも、原作のプロットが優れているからだろう。人間とは何か、知能とは何かという根源的問題とともに、不老不死に対する業の深さを考えさせられる内容である。
さて、「バイセンテニアル・マン」は、1976年、アメリカ建国200年に合わせて発表された。アシモフはソ連からアメリカへの移民で、このことがアンドリューの発言と被る。アシモフは飛行機嫌いで仕事中毒だったが、これもアンドリューの行動パターンによく似ている。
本作に登場するUSロボット社のロボット心理学者マーウィン・マンスキーは、実在の人工知能学者でアシモフのファンで親交があったマーヴィン・ミンスキーのもじりである。
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