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著者・編者 | 藤岡換太郎=著 |
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出版情報 | 講談社 |
出版年月 | 2022年8月発行 |
地球科学が専門で、「しんかい6500」に51回乗船し、太平洋、大西洋、インド洋の三大洋初潜航を達成した藤岡換太郎さんが、天変地異を駆動する巨大サイクルの根源に迫る。
「天災は忘れた頃にやってくる」というのは物理学者・寺田寅彦の言葉だが、一生のうちに一度か二度経験するような地震・台風・噴火・津波などの記録をたどると、それらは一定の周期で起きているようだ。
1940年代から1950年代にかけては、やたらに台風が上陸した時期があった――1947年のカスリーン台風から1959年の伊勢湾台風まで。日本列島は、「4つのプレート、4つの気団、4つの海流」(43ページ)に囲まれており、このことが天災の複雑な周期をもたらしているようだ。
そして、藤岡さんによれば、天災は束になってやってくるという。この「束を『いなす』、『かわす』方法を考えること、束とのつきあい方を考える必要」(38ページ)があるという。
「セルビアの物理学者ミランコビッチは1920~1930年代に、寒冷と温暖は2.3万年、4.1万年、10万年という3通りの周期で繰り返されているという仮説」は、のちにミランコビッチ・サイクルと呼ばれるようになる。これは、地球と太陽の位置関係によって起きているようだ。
さらに長期の天変地異――オルドビス紀末や三畳紀末などの生物の大絶滅、地球磁気の反転、スノーボールアース――これらも周期的に起きており、3000万年と2億5000万年という周期がありそうだ。ここには、マントル対流によって引き起こされるプルームテクトニクスが関係しており、超大陸の生成を分裂と連動しているようだ。なぜスーパープルームが起きるのか、なぜ超大陸ができるとスノーボールアースになるのか――話は銀河系の回転に及び、藤岡さんは空想科学的な仮説を提示する――経験豊富な地球科学者の仮説だけに、空想科学にとどまらない予感がする。
阪神淡路大震災、平成の豪雨災害、東日本大震災‥‥大きな自然災害が起きるたびに、行政は、耐震基準を変えたり気象予報を変えるなど〈科学的〉な対応をとってきた。だが、本書で藤岡さんが提案しているように、必要なのは自然災害の「束を『いなす』、『かわす』方法を考えること」ではなかろうか。
天災の原因が地球システムにあるとしたら、それを止めることはできない。止めることは地球の死につながるからだ。
われわれ日本人は古くから、荒ぶる神としての自然と付き合ってきた民族である。こうした考えを〈科学〉と結びつけ、犠牲者が1人でも減るような生活スタイルを目指してはどうだろうか。
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