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かの「黒とかげ」(原作、江戸川乱歩、脚本、三島由紀夫)を観る為、テアトル銀座まで。

本日は、東京公演の千秋楽です。
千秋楽は、私の数少ない観劇経験から僭越ながら述べさせて頂くと、結構微妙で、千秋楽だからこそコアなファンが集まり、そのエネルギーに呼応するように役者さん達が、もの凄いパワーを発揮する場合と、公演最後の安心感からか、役者さん同士、馴れ合いのムード漂い、何だか緊張感がなくなって面白みに欠ける場合あり、今回はどうだろうねー、なんて、友人と話しながら見に行ったのですが、まだまだ公演中盤の張り詰め感もあり(東京公演は今日が最後ですが、これから地方を巡回するそう)、とはいえ、千秋楽として数回のカーテンコールの後の、美輪さんの挨拶もあり、非常に充実したものでした。
友人のお陰で、我々の席は、前列から二番目と舞台間近で、役者さんの息遣いや香水の匂い、額の汗まで気付き、ドライアイスで咳き込みそうになる程の、とても恵まれた座席でした。
難解で込み入った、美しい日本語の台詞。
妖しい美しさを放つ舞台美術。
高嶋政宏氏演じる明智小五郎と木村彰吾氏演じる雨宮潤一。お二方とも、スラッと背が高く、骨格ががっちりしていて、はっきりした古風な顔立ちはとても舞台向きでした。
何より、美輪明宏氏演じる緑川夫人(黒トカゲ)は、美の権化。
その衣装、身のこなし、口調、妖艶さ、華麗さ、豪華さ、、、
一挙一動が妖しく美しくて、彼(女)のいないシーンは、どうでも良いと思える程。
美への執着が恐ろしい程に強い黒トカゲを演じきれるのは、(恐らく)美に囲まれて美をこよなく愛する美輪さんしかいないのではと思う位でした。(美輪さんは、故三島氏の指名で黒トカゲ役に抜擢されたとか)
舞台終了後、全会場がスタンディングオベーションの中、
「乱歩さんがお亡くなりになり、三島さんがお亡くなりになり、私は生かされて、この公演を続けるよう、言われているような気がします。生きていられれば、まだまだ続けたい」。(一語一句、正確ではありませんが)
と、涙で言葉を詰まらせながらのご挨拶は、我々観客も涙、涙でした。
最後まで、その手の振りの高貴さと慈愛に満ちた表情の深さ、温かさと言ったら・・・・・。
きっと毎月、こんなお芝居を見続けることが出来たら、心がどんどんどんどん洗われて、しまいには何もなくなってしまうのではないかと思われます。