Vol.4 failure



Vol.4 failure

一度目の接見が終わり、僕は彼女しか見えなくなった。

今思えば不思議な出会いをしたことも手伝ってたのだろうか。
自分では全くそんなこと意識しなかったけど。
これは運命だなんて決め付けてた自分はいたかもしれない。

始めて会った2001年8月。
2度目はすぐに来た。2001年9月。
一月が経つのを待たずして俺はまた会いたくなった。
遠く名古屋へ旅行的な要素も含めて、
今度は地元の友達3人をひきつれて大阪に旅行に行くと、
彼女には言っていた。
ほんとのことを知られるのが恥ずかしくて、怖くて。

お金のこと、一人で行く寂しさなどを考えて友達と車で行くことを
決めたのだが、今思えばこれは大きな失敗だった。

当時僕はまだ免許を持っていなかった。
岐阜の田舎など電車が終わるのも早く、車のほうが便利だと思った。

まず仕事あがりの彼女の駅まで行き、近くの居酒屋で酒を飲む。
一緒に行った3人はとても人見知りが激しく、まったく話さなかった。
それにいささか怒りを覚えた僕は
『なんで話さないんだ?何のために来たんだ?興味本位だけか?』
といささかいかりすら覚えた。

彼女は明日仕事だったので帰る時間になって話がまったく進まない俺は
先に外に出て頭を冷やした。
それがいじけているような態度にとられてしまって、
逆に気を遣わせてしまい、まったくうまい方向に進まなかった。

彼女を駅まで送って、みなで車に乗り込んで話をしている間も俺は
すっきりしなかった。

そして次の瞬間俺は車から飛び出した。
とめるみんなの制止も聞かず。

そして電話して次の駅で待っててもらうように言う。
俺は切符を買ってすぐに追った。

そこは何も無い駅だった。
周りはたんぼで蛍すら飛んでいそうな田舎風景。
俺は彼女にやんわりと気持ちを話し始めたが、煮えない返事が続く。
若干焦っていた。そのとき来る前まではメールでよい感じだと
自分で勝手に思っていた。

本当に女心は分からない。
なんだか気まずいままその場で別れて、友達から電話が来る。
『お前ふざけんな!』
それは勝手に車を出て待たされてた友達からの電話だった。

僕のわがままでみなを困らせた。
最悪だった。
平謝りする一方で僕は彼女のことを考えていた。
「もう何をどうすりゃいいんだか分からない」
またきた時になんとかしよう。
そう思ってたんだ。


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