I love Salzburg

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2012.11.05
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カテゴリ: 観劇・ライヴ
開かずのエレベーターで少しばかり皆さんをヒヤッとさせてしまったので、今日は話題を変え、
一昨日 大阪で観て来たミュージカルについて書こうと思う。

それはフランス版『ロミオとジュリエット』。


たぶん、このチケットを取った時は、私とムラトさんがルンルンの頃だったから こんな演目を選んでしまったのだろう。(笑)
確か、桜が咲き始めた季節だったと思う。

それが木枯らしが舞う今となっては、チケットの存在すら忘れてしまいそうだった。


大阪まで出て行くのも面倒だな~、しかも祝日、人ごみは嫌いだ。
人とぶつからないように、そんなことに意識を向けることからして気分が悪い。

迷ったのだが、行くと決めたその理由は「S席、13,000円」。



Picture110512_103333-1.jpg

私が観た数少ないミュージカルの最高峰が、ウィーン版『エリザベート』だった。
もちろん、その分厚いパンフレットも持っているし、ミヒャエル・クンツェの原作だって、ミュージカルのDVDだって持っている。
エリザベートが黄泉の帝王トートに魅入られるという、美し過ぎる后妃ゆえに最高のシナリオだ。


また、オリジナル版だからこそ放たれる貫禄は、それ以外は足元にも寄せ付けない凄みがあった。


この『ロミオとジュリエット』に期待したのもそれだ。
フランス人の感性でもって私を虜にしてもらいたい、フランスは愛の国、フランス語は愛の囁きだ。(笑)

だが、期待はし過ぎない方がいい。
正直、ミュージカルとしての完成度は『エリザベート』の方がはるかに勝っていた。

中盤、少々退屈になる。
舞台もダンスも個性的で現代的で、おぉ!と目を引くものもある。
表現力もさすがはフランス人だ。


柔らかいフランス語の響きと音楽がマッチしていないのか? いや違う。
とにかく、見終わるまでは舞台の良し悪しを判断するのは失礼だろう。
甘い愛の語らいも、私は実に冷静な表情で見続けた。


ところが、ところがだ。

終わってみると、観客総立ちでのりのりだった。 もちろん、私も!



なのに、私のお腹には「生きてるって素晴らしい!!!」というワクワク感が沸々と湧いていた。

不思議だ、でもホントだ。

どこか荒削り感があるのだが、それが最後 この舞台の大きな魅力となる。


昼過ぎてから 一層冷え込むと言われていたその帰り道、私は滲んだ汗をぬぐっていた。


* * *

『エリザベート』では、死神トートを演じたマテ・カマラス氏の甘美な死へのいざないにゾクゾクしたものだが、

今回の『ロミオとジュリエット』でも、死神の存在が舞台を巧みに導いた。
そのゾクゾク感に違いはあるものの、存在感も気配の消し方もトートに匹敵するものがあった。

トートとの違いは、トートがエリザベートとともに主役であったことに対し、こちらは台詞一つない。
ふいに現れ、主人公達にまとわりつき、突然消える。

トートは男として描かれ、ここでは女として表現された。


私ですら、こんな風に『エリザベート』を思い起こしただけあって、ある日の日経新聞にもこう書かれてあった。



白い衣装をつけ、ロミオを愛するがゆえに、ジュリエットへの憎しみをぶつける、という設定のようだ。

なるほど、フランス語で「死」は「ラ・モール」で女性名詞。
確かに「死」のダンサーはマーキューシオ、ティボルト、ロミオに触れて死を招くが、ジュリエットに触れたところはなかったように思える。


一方でオーストリアのミュージカル「エリザベート」では、「死」(ドイツ語でトート、男性名詞)の帝王が、エリザベートに惹かれる。
この二つのミュージカルに出てくる「死」の象徴は性が逆転しているというわけだ。



「死」を男と見るも女と読むも、どちらにしろ凄い感性だ。
男性名詞、女性名詞という、外国語を学ぶ上ではイラッとする煩わしさも、感性で言えば繊細で美しく、そして鋭い。



で、私はイケメン「トート」でお願いしたい。(笑)





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Last updated  2012.11.16 21:29:53
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