2005.06.14
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テーマ: 海外生活(7776)
日曜日は「我が家のオーブン料理第2弾:黒鯛の香草グリル」にシェフマルちゃんが挑戦した。

先週土曜日。
わたしたちは魚屋の前で魚を吟味していた。

おっと「海老がいいな。」

わたし「いや、焼き魚が食べたい。」

おっと「シーフードミックスを買って魚介のパスタは?」

わたし「いや、焼き魚が食べたい。」

おっとはついに根負けをしてその日の特売品であった黒鯛を買うことにした。

おっと「この黒鯛を1匹下さい。」と魚屋のお兄ちゃんに注文する。



おっと「何言ってるの、きみ、主菜はいつもちょっとしか食べないじゃないか。1匹で充分だよ。」



わたし「。。。。後から後悔するなよ。」


日曜の夜。
わたしは黒鯛を冷蔵庫から取り出し、そのまま荒塩を振っていた。

おっと「何やってるの!?こういう魚はうろこを取って、内臓を取り出してよく洗わないとダメだよ!直接塩なんて!!」

わたし「だって魚の塩焼きが食べたいんだもの。」

おっと「塩だけの味付けなんて、味がないよ!もう、ぼくに任せて!!」

わたしはしぶしぶおっとに任せ、おっとが魚を掃除してセージ(サルビアは日本ではこういうんだっけ?)とコリアンダーとニンニクを刻んでお腹と薄く切った切り目に詰めている間にぶーたれて小部屋でTVを観ていたのであった。

そして前回のローストチキン同様、ポテトと一緒に250度のオーブンで焼くこと40分。

わたしが想い描いていた焼き魚とはずいぶん違うが、おいしそうな魚のグリルが出来たのであった。
それを大皿に移して半分こにしようとしてると、






わたし「。。。。後から後悔するなよ。」


わたしはイタ人やほかのイタリア在住日本人たちに比べて食べるのが亀よりはさすがに早いが、遅いほうだと思う。
おっとは亀よりのろくてというより、食べてる途中で立ったり、TVに見入ったりして集中して食べないので、とにかく遅い。

この日もいつもと同じようにおっとはフォークを口にくわえたままTVに集中している。
それを横目に、この日のためにわざわざ韓国食材屋まで出かけて買った味ポンを魚にかけながら「セージの味が余計だよなあ。。。」とちょっとブツブツ思いながら、気が付けば、炊き立てご飯と一緒に疾風の速度でほとんど1匹平らげてしまったのであった。



わたしは日本にいたころは、食べるのが早いほうだった。
気が着けば遅くなっていて、きっとイタリアの速度に馴染んだのだな、と解釈していた。
しかし、そうなったのは、あんまり好きじゃないものばかり食べていたからだった、とわたしはこの時気が付いたのであった。(←わたしは純和食党であったのだ、きっと!)



おっとがようやくTVから皿に視線を戻した。
「 あああ!!魚がもうない!!!」



わたし「。。。だから言ったでしょ、後悔するなよって。汗」

おっと「き、きみ。。。いつもはそんなに食べないくせに!?」

わたし「ちちち。魚食いの日本人を舐めちゃいけませんで。じゃがいも食いのあんたにはあんたの大好きなポテトを丸々残しておいてあげたよ。」

そしてわたしが更に頭まで割って頬肉まで名残惜しげに突付くのを見て、エクアドルで クイの頭までつつくお義母さん
を想い起こしたようであった。



。。。。こうしておっとはこの日、新たに何かを学んだようである。
っていうか、好きなものでも分けてやれってか??(←一人っ子のわたしにはかなり難しい。。。)


***


クイで思い出した。




ちょっと前おっとが「エク人友達のところにクール宅配便が届いて、たくさんクイが送られてきたんだ。で、おすそわけ。」とあやしげな包みを持って帰ってきた。

「クイ」というのは毎回しつこく説明するが、あのペットショップで売られている愛らしいモルモットのことである。
エクアドルやペルーの山岳地帯では当たり前に食べられる動物なのだ。
おととしエクアドルに行ったときはクイの丸ごとから揚げに挑戦した。
豚肉のような、鶏肉のような、白身のあっさりした肉で、丸揚げのグロテスクな姿さえ気にしなければ悪くない味だったのである。

わたし「へえ~、珍しいね。」

おっと「今日は付け合せはエクアドル風にするからね。」
とじゃがいもをむきだしたので、わたしはキッチンの隣の段ボール箱がだいぶ片付いたけど、まだそこで寝ることを強いられている小部屋の窓にもたれかかって雑誌を読むことにした。

雑誌を読み出すこと十数分。
どこかから、どう表現したらいいのか?

まるで数千年前のエジプトのミイラでも燃やしているような異臭が漂い始めた。
階下の家が怪しい宗教でもやっていて、変なものを燃やしているんだろうか??
と、下をのぞきこんだが家族揃って留守のようである。
すぐに隣のキッチンから 「クイくさ~い!!」
とおっとが叫ぶ声がした。
小部屋を出ると、レンジのまわりでうれしそうに踊っているおっとが目に入ったのである。

げげ?

わたし「これってクイの臭い??前にエクアドルで食べたとき、こんなにおい、してたっけ???」

おっと「これはね、燻製なの。だからこんなにおいがするんだよ。」



そ、そうか。。。日本では豆の加工の仕方が煮豆から豆腐、納豆、きなこと富んでいるように、クイでもいろいろ加工の仕方があるのね。。。。



そうだよな、わたしは納豆が好きだけど、おっとはわたしが食べてたら鼻をつまんで嫌そうな顔をしてみてるし、それと同じことだな。


悪いがわたしはこの時点で食欲が減退、クイを食べることを諦めて冷蔵庫をあさった。

わたしがウインナーを軽く焼いて、おっとが作ったじゃがいもとビーツとニンジンのマヨネーズサラダと共に食卓につくと、おっとが湯気をあげた見た目はミニサイズの北京ダックの腿肉のようなクイの燻製を運んできた。

わたしおっと「いただきま~す!!」(←我が家では食べる前に日本語で言うのが鉄則である!)

わたしはウインナーに、おっとはクイに、かぶりつく。


しかしおっとはすぐにクイを口から離したのであった。



おっと 「。。。。。。。。激マズ。」




わたしはこのおっとの言動にびっくりした。
エク人にとって、このエジプトのミイラを燃やしたようなクイの臭いも、きっとミイラのような味の燻製もノスタルジーをそそるものなんだな、と納得したところだったからだ。

わたしだったら、少々悪くなった納豆でも、湿気てしまった海苔でもこんな異国でもったいないから無理してでも食べるのだが、おっとはこの後、こんなに貴重なクイをあっさりゴミ箱に捨ててしまったのであった。

まあ、わたしの故郷の食べ物じゃないからいいけどさ。

この後、おっとはエク人友人たちと外に出かけたのだが、この行動に「お前、もったいなさすぎるよ!!」と袋叩きにあったのはいうまでもなかったのである。





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Last updated  2005.06.14 16:27:55
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お目目@ Re:イースターいろいろ。(03/31) いくきーとさん、ご無沙汰しております目…
Hinatabocco@ 大丈夫ですか? いくきーとさん、このブログはもうノータ…
Ikukito @ ごめんなさい。 >shion0851さん そ。。そうです。26歳だ…
かつしちー @ おめでと! 色んな偶然があるんですね。 相変わらず…
shion0851 @ そーなんだ 26歳なんですか、そうですか・・・(-_…

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