山田維史の遊卵画廊

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Tadami Yamada's monochrome cuts -#1


Tadami Yamada's monochrome cuts -#2


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■Yamada's Article (9)『さゝめごと』に現われた十識について


■Yamada's Article(10)狐信仰とそのイコノグラフィー


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Sep 13, 2009
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カテゴリ: 映画・TV
 きのう忙しく雑用をかたづけながら多チャンネルテレビのムービー・プラスをつけっぱなしにしていた。午前中はキャロル・リード監督のミュージカル映画『オリバー!』(1968)を放映していたが、午後はロマン・ポランスキー監督の『オリバー・ツイスト』(2005)をやっていた。
 両作ともチャールズ・ディッケンズ(1812-1870)原作の『オリヴァー・ツイスト;Oliver Twist』の映画化。イギリス作品。
 ディッケンズはあまたの作品において19世紀イギリスの下層階級の悲惨な生活を描き、上流階級読者に同情の徳をうながした。『オリヴァー・ツイスト』も同様である。救貧院で孤児として生まれ育ったオリヴァーは、お粥をもう少し食べさせてと要求したために冷酷非情な葬儀屋に売られた。そこを逃亡して命からがらロンドンにやってきたが、少年スリに出会って彼等の親方フェイギンのもとに連れて行かれ、その仲間になる・・・

 私はそれらの映画をちらりちらり観ながら、美術に感心し、ポランスキー監督作品のほうでスリの親方フェイギンを演じているベン・キングスレーの怪演をおもしろがっていた。ベン・キングスレーといえばかつてガンジーを演じてそのあまりのソックリぶりにおどろいたものだ。
 ところでそのスリの親方フェイギンという名前だが、わたしはいままで気にもしていなかったのだが、きょうは「あッ!」と、ひとつの推測がひらめいた。
 フェイギンとカタカナで書いていては分らない。Faginである。
 この名前はアナグラム(文字の置き換え)ではないかしら? しかも三つの言葉を混合した。

 私が連想したのは、fag、fang、fungiである。
 fagは、「苦しくていやな仕事」

 fungiは、「菌類。カビ」でfungusの複数型。「他の有機物に寄生して増殖する菌類」という意味。

 原作者ディッケンズは、孤児たちにスリを仕込み手下にしているフェイギン(Fagin)とい名前から読者がおのずとこれら三つの言葉を連想することを目論んでいるのではないか。これが私の推測である。

 fungiは、uとaとを入れ替えなければならないが、入れ替えれば完全なアナグラムである。この言葉を私が連想したのは、ポランスキー作品の最終シークエンス。フェイギン親方が警察に逮捕され、死刑が確定し、牢獄につながれている。オリヴァーは養父ブラウンロウ氏(原作ではオリヴァーの祖父ということになっている:註)に伴われて牢獄に面会に行く。オリヴァーは、養父ブラウンロウ氏とは異なる優しさをフェイギン親方に感じていたからである。フェイギンは独房のなかで狂ったように逃亡を夢見ていた。オリヴァーは言う。「一度でよいから膝まづいて神様にお祈りしてください」と。しかし、そんな言葉はフェイギンの耳にははいらない。おそらく神様など彼の概念にはまったくないのであろう。・・・オリヴァーはむなしく立ち去ってゆく・・・
 ここが私が問題とするところ。フェイギンは最後まで改心しないのだ。彼は死刑執行されるであろうが、彼のような人間は「今後もいなくなることはなく、無垢な子供達を親切顔して悪の道にひきずりこみ、彼等に寄生し、増殖しつづけるであろう」ことを暗示している。まさにカビのように。旧約聖書においては悪への誘惑者で人間を堕落させる者としての「蛇」の毒牙を隠して。そして映画のなかでフェイギンは言う。「生活するためにやっていることだ」と。まるで本当は嫌な仕事だけれどと言わんばかりに。fag,fang,fungiという三つの言葉で言い表せることがFaginという名前に凝縮されている。

 『オリヴァー・ツイスト』には、他にも意味をふくませている名前がある。オリヴァーが救貧院から売られる葬儀屋の主人はMr. Bumble(バンブル氏)だが、この人物は根は善良なのだが冷酷非情な妻に操られ、つまり女房の尻に敷かれて言いたい事もいえず胸のなかでブツクサ言っている。bumbleというのはそのものずばり、「ぶつぶつ訳のわからないことを言う」という意味である。少年スリのアートフル・ドジャーという名前は、「腕っこきの狡い奴」。悪党ビル・サイクスの情婦のような少女ナンシーは、オリヴァーを悪の仲間から救出しようとしてビルに殺害されるが、NancyはAnn(アン)の愛称でもあるけれど、nanny(乳母)を連想する名前でもある。

 フェイギン(Fagin)という名前がアナグラムであるという確証はない。しかし上に述べたような推測は成り立ちそうな気がする。イギリスのひとたちはどのように思っているのであろうか。


【註】オリヴァーがブラウンロウ氏の孫であるという原作の設定は、映画『オリバー!』ではそのように脚本化されている。ポランスキー作品ではその点にはまったく言及されていないのだが、私はそこに2005年に制作された映画としての現代的な意義を見い出す。
 ディッケンズの時代のイギリスにおいて、救貧院生まれの孤児が階級差を越えて上流階級の養子になることはありえなかったであろう。もしディッケンズがそのような設定をしたなら、読者はこの物語を信じることができなっかたにちがいない。ディッケンズより少し後のアメリカの作家フランセス・バーネット(1849-1924)の『小公子』や『小公女』にしても同様の設定である。
 ところが現代のグローバル化社会は経済問題のみならず異人種間結婚による出生はごく当たり前のことで、既存の階級差は解消しつつあり、人間社会が血筋や家筋にこだわる思想の愚劣さをあきらかにしている。このことは現代の遺伝子学によって補足されてもいる。すなわちアフリカに起源をもつ人間がどのように世界にひろがっていったかを、ミトコンドリアの追跡調査が確認しているのである。人類に純粋な血筋などありえないことの立証だ。

 アメリカ合衆国を例にとれば、ジョンソン大統領によって立法化したAffirmative action(女性や少数民族の雇用促進や学習の機会向上をめざす公民権推進運動)を経て、現在、その法が逆差別を現出させているのではないかという議論がでてきている。この議論のなかには、多くの人種交配によって生まれた人はいったいどっちに区別されるのだ、という冗談のような、しかし根本的な人間の存在問題がふくまれている。人種によって階級格差をつくってきた社会体制が変わらなければならない時が来ているのだろう。

 19世紀イギリス社会ではごく当然だったことが、現代は一国一社会から世界的におよぶ人類的な含みある問題となっているのである。この事実をポランスキー監督がどのようにとらえているにしろ、少なくとも現代映画作家として、オリヴァー少年とブラウンロウ氏の階級格差を越えるための関係を、たんに原作のままに「孫と、実は祖父」とはできなかったのではあるまいか。

 ・・・これは私の深読みだが、映画を観て注目した点である。








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Last updated  Sep 15, 2009 10:15:07 AM
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AZURE702 @ Re:「比叡おろし」(汚れちっまた悲しみに)(08/21) 三角野郎(絵本「マンマルさん」)さんへ …
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