プレリュード

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2007年09月19日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽

チャイコフスキー(1840-1893)には同性愛者という影のようなものが終生ついてまわっていて、有名な第6交響曲「悲愴」の初演からわずか9日後に、同性愛が原因で自殺によって亡くなったと現代では定説のように言われています。 亡くなった日はたしかに1893年11月6日なのですが、その死因はコレラによるものと長い間言われていましたが、自殺の原因はあるロシアの公爵の甥と親しく同性愛として交際をしていたことから、公爵に訴えられると脅迫観念から起こったとされており、これが彼の自殺の原因と言われています。

そのチャイコフスキーにも生涯に関わった女性が二人いて、それが光の明と暗のような存在を示しています。 一人はチャイコフスキーの音楽を愛し、パトロン的な経済援助を13年間も続けたフォン・メック夫人。 もう一人がアントリーナ・ミリューコバという女性です。 

チャイコフスキーの弟子にイオシオフ・コチェークというヴァイオリニストがいて、彼が時々ある未亡人の依頼だと言ってヴァイオリンの小品の作曲を頼んでいました。 しかし小品にしては法外な多額の謝礼を寄こすのでチャイコフスキーは非常にこの未亡人に興味を抱き始めたのです。 その未亡人こそがフォン・メック夫人だったのです。

フォン・メック夫人の夫、カール・オットーはロシアの鉄道王のような存在でロシアを縦横に走る鉄道経営で巨万の富を築いていたそうです。 この夫婦には6男6女という子宝に恵まれており、相当仲のいいカップルだったのでしょう。 しかし夫カールが50代で世を去ってのちに、メック未亡人は残された子供たちの養育と引き継いだ鉄道経営のかじ取りをしていたそうです。

チャイコフスキーと最初の手紙のやり取りを始めたのが1876年の冬で、この頃には息子に鉄道経営を任せて好きな音楽を聴く余生を楽しむ夫人となっていました。 

この手紙での交際は13年間も続きチャイコフスキーも経済的に相当余裕が出来たそうです。 年間の援助額が6,000ルーブル。 彼のモスクワ音楽院での初任給が800ルーブルであったことと比較すると、いかに夫人の援助がチャイコフスキーを安心して作曲に没頭できたか想像できます。

しかし、この二人は終生一度も会うことなく13年間で1200通にも及ぶ手紙だけの交際に終わっています。 世にも不思議な男女の交際です。 



彼が教鞭をとっていたモスクワ音楽院に9歳年下のアントリーナ・ミリューコバという女性の教え子がいました。 彼女が突然にラブレターを送ってきたのです。 チャイコフスキーは彼女と一言も言葉を交わしていないので、このラブレターには驚き・狼狽さえ感じたようですが、手紙には彼女の誠実さが見られ、傷つけまいと思って返事を書いてしまったのです。 

その後は続々と手紙を送ってくるようになり、「あなたなしでは生きてはおれません。 いっそうのこと自殺した方がましです」と熱烈な内容となり、結婚まで迫るようになってきました。

現代のストーカーのような存在だったのでしょう。 私も一度この類の経験を学生時代に味わったことがあります。 普通なら路上ですれ違った、ただそれだけの邂逅の機会くらいに思っていなかったのに、10枚ほどのラブレターをもらい、その後夜を徹して迫られたことがあります。 惚れられる方が辛いこともあるんだと思った体験でした。

話は横道にそれました。 チャイコフスキーは気が弱かったのか、結局二人はひっそりと式をあげました。 1877年9月のことでした。 彼は最初は彼女のことをそう悪くは思っていなかったようで、メック夫人への手紙に結婚のことを述べて妻となるミリューコバのことは好意的に書き添えていたそうです。

ところが結婚してチャイコフスキーは愕然となり、その驚き・怒りの心情を手紙に書いています。 そしてあの名曲がこの摩訶不思議な結婚~悲劇へと導かれて生まれるのです。

つづく

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今日の風景 」      お地蔵さん


「大野の阿弥陀さん」として親しまれている堯王院(ぎょうおういん)は、自宅から車で約20分くらいのところにあり、聖武天皇の皇后である光明皇后の安産を祈るために行基が作ったという阿弥陀如来像を祭っています。そのため安産を祈願する女性が多く参詣し、丈夫な子どもが産まれるようにと腹帯を授かりにくる参拝者で賑わっています。 その阿弥陀如来像が鎮座する堂の前に可愛らしい石のお地蔵さんがありました。 参拝客の妊婦が掛けていったのでしょう。 安産祈願や出産のお礼を書いた白いハンカチのような布が巻かれていました。


IMGP6268大野 阿弥陀さん 地蔵.jpg





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最終更新日  2007年09月19日 05時34分03秒 コメント(4) | コメントを書く
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