あみの131日間

去年の5月のお話です。母は家の前の道路で虫の息の赤ちゃん雀をみつけました。体は傷ついているし、虫の息でした。 母は小さな命だけど助けてあげたいと思った矢先に ちょうど登校中の小学生が通りかかって、雀を見て騒ぎだしました。子供達に訊ねました。”どうしたらいいと思う?” そうしたら子供達は”助けてあげたい!”という答えだったそうです。その子供達も小さな命を助けたいという気持でした。父は急いで布を持ってきて雀をくるんで家につれて帰りました。

clover看病の日々clover


その時、母はその雀ちゃんが元気になるとは思っていなかったそうです。もし死んでしまうとしても見守ってあげたい! 母はつきっきりで温めたり、餌をスポイトであげたり、懸命に看病をしました。 その結果 傷はなおり、少しだけ大きく成長しました。母は雀ちゃんを あみちゃんと名づけて飼う事にしました。最初は元気になったら自然に帰すつもりだったんですよね、母は。それがなついちゃってね。手乗り雀ちゃんになっちゃったの。 約1ヶ月位たって、ここまで人間になついちゃったら自然に帰れないだろうという判断になって、そのままお家で飼う事にして鳥かごを母は買いました。

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見てください、この大きな口。。
こんなに小さい体なのに、餌を食べるときはぱくっと大きな口を開けます。
AmiEzuke

うちの母はもともと多忙な人です。父が難しい病気で食料制限などもあり、年に平均4回は入院しているので、母はいつも大忙しです。(ひとりっ子の Puruchan はボストンにいる為、何の役にもたたないしね。ごめんなさい) 電話で話すといつも大忙しなんです。最初 雀ちゃんを飼うって聞いた時、何もこれ以上忙しくなることしなくたっていいじゃない?と私はあんまり賛成してませんでした。 お父さんの事、わんちゃん、庭仕事、母の趣味、それで手一杯なのに。なんてね。 母のある友人は雀は野鳥だから人に飼われるのは幸せじゃない!っていったらしいんですよ。 私もそうだよお母さん。元気になったら自然に返したほうがいいよ なんて冷たい事いってました。


cloverあまりの可愛さに私もメロメロにclover


ところが 7月に日本に一時帰国した時、私ったら180度変わっちゃいました。
本当にかわいいんですよぉ。雀ちゃんって。それにとても頭がいいです。あんな小さいのに脳みそつまってるんだなあと正直感心しました。リビングルームの脇に3畳くらいのサンルームがあるので、母はそこに庭の木を切って長細い枝をぶるさげて止まり木を作ったりしてあみちゃんが自然の状態に近いようにしてました。昼間はよく止まり木にとまってました。そしてサンルームの近くに人の気配を感じるとすごい勢いでガラスの方に飛んできました。”遊んでよ!”と訴えてます。 母は洗濯物をサンルームの脇に干しますが、その間中ガラスの脇で母に”遊んで”光線をだしてます。ほんと 追っかけ状態でかわいかったです。

tenori

鳥目 といいますが、あみちゃんの夜は早いです。夏でも6時くらいから薄暗くなりますよね。7時前にはあみちゃんはもう眠ってました。ぶる下げてある植木の葉っぱの中に隠れて寝るのがお気に入り。やっぱり鳥としての本能なんでしょうね。


clover本能か?やっぱり虫も好きclover


母はあみちゃん用に 青菜 (菜っ葉かな?)を栽培しました。もともとお庭にはいろいろ野菜なども育てていたのですが、やっぱり鳥が好きそうな葉っぱ類ってありますよね。。そこに 小さな青虫がついていたら、あみちゃんがとっても喜んでそれを食べてたそうです。 母はインターネットでいろいろ調べたら、ミルワームっていう幼虫(小さなミミズのようなもの)を たんぱく質の補給にあげた方がいいと書いてあったのでミルワームを探す事にしました。 母と一緒に新宿に行った時に、デパートのペット売り場に立ち寄ってミルワームをみせてもらいました。でも 小さ目のタッパに 細い小さなミミズのようなミルワームがかなりの数はいっていて、ひしめきあってる。。それは冷蔵庫で保存が聞くとの事。。

私と母は顔をみあわせてちょっとこれを冷蔵庫で保存するのは。。。

  無理

という結果になりました。 やっぱりグロすぎる。 それから母はラッキーな事に青虫が青菜についたらそれをあみちゃんにあげて、ない時は ハムをすごく小さくちぎってあげてました。ハムはあみちゃんの大好物のひとつでした。ある程度小さくちぎったハムを手のひらにのっけるとあみちゃんが飛んでくるんですが、急いで食べるあまり、母の手をしょっちゅうつついてたのがかわいかったです。母はちょっと痛そうでしたが。。


cloverご近所のCさんにも可愛がられる♪clover


そういえば 去年の夏は母がアメリカに遊びに来たんです。私と一緒にワシントン、ボストン、ニューヨークを旅行して、私は母と一緒に日本に帰りました。母の留守中、ご近所のCさんが あみちゃんを預かって下さいました。母と一緒にCさん宅にあみちゃんを引取りに行きました。わーお Cさん宅の玄関とリビングの窓際にしっかりあみちゃんスペースができてました。止まり木もいくつもありましたし、洗濯のあみ袋でカバーをかけてくださったり。すごーい器用でびっくりしました。さらに昼間は日に当たる様にという気遣いでリビングにもあみちゃんスペースを作ってくださってんです。本当にありがとうございました♪ そのCさんが撮って下さったあみちゃんの写真です!

さて 面白かったのは、うちのわんちゃん(あーちゃん)の反応です。面白いといったら可哀相なんですが、今まで家族全員の愛情をひとり占めしていたのに、小さなあみちゃんにみんなの愛情を取られて、内心ちょっと複雑だったんじゃないかなあと思います。猫じゃないから、あみちゃんを襲うことはないと思ってたのですが、逆にあみちゃんがくちばしで あーちゃんの目でもつついたら危ないので とりあえずいつも分けてました。 あみちゃんもあーちゃん見るとこわがってたし。 でも あーちゃんは興味津々なんですよ。  しょっちゅうサンルームにいって、ガラス越しにあみちゃんをジーっとみてました。特にサンルームで母や私があみちゃんと長時間遊んでると寂しそうでした。


cloverあーこちゃんとの交流を試みるclover


私は日本に3週間弱しかいなかったのですが、昔テレビで見た”ムツゴロウ王国”のようにわんちゃんと 鳥などが仲良く共存する図に憧れていたので、どうか あみちゃんとあーちゃんを お友達にさせようとがんばりました。 あみちゃん(雀)はあーちゃんを見ると震えるし、あーちゃんも手を伸ばしてみたりするので さらにあみちゃんは怯えるし。  でもあみちゃんを手にのせながら あーちゃんの隣にいったりして 結構仲良しになってきたんですよ。 あーちゃんが眠そうにぼーっとしてるときに、あーちゃんのしっぽの近くにちょこんと あみちゃん のせてみたんですけどね。。へへ 遊んでごめんよ。あーちゃん。まあ 隣同士で寝るとまではいかなかったですね。 当たり前か?


clover突然 あみちゃんが天使にclover

夏のあまりに暑い間は 基本的にサンルームのドアを開けっぱなしにして(網戸がありましたが)クーラーをかけっぱなしにして、無事夏をこしました。 あーちゃんともだんだん仲良くなりかけていた9月20日。母が起きてあみちゃんの所にいったら、止まり木の真下であみちゃんが倒れていました。もう息はありませんでした。まだ温かく息絶えたばかりという感じだったそうです。あみちゃんが苦しむのをみたら 母が悲しむと思ってひっそりと息をひきとるなんて、親孝行な子だよなあ。あみちゃんが 家に来てから131日目の事でした。その10日位前から、今まで平気で飛び乗っていた止まり木に上るのが難しくなってきていたそうです。どこか悪いのではないかと母は心配してました。やっぱり赤ちゃんの時に傷ついて倒れていたというのは、他の赤ちゃん雀より弱かったから巣からおっこちてしまったとか、そういう事だったのかもしれないなあと母は言っていました。 今はアミちゃんは天使になって、実家のお庭の大好きなハナミズキの下で眠っています。母は何年か前からお庭に鳥の餌を毎日おいている為、近所の雀がたくさんやってきます。(たまに綺麗な野鳥がやってきます。1度は鷹が来た事もあったそうです。すごいぃ。)毎朝 たくさんの雀が あみちゃんのお墓の前(ハナミズキのお花の前)に集まってきて餌をたべてます。だからあみちゃんも寂しくないと思います♪

あの時 母が見つけなかったら あみちゃんは赤ちゃんのうちに亡くなっていたと思います。あみちゃんは1度は死にかけたけど、母に拾われ、愛情をそそがれて育って、わがやのアイドルになりました。本当に幸せな生涯だったと思います。 今 子供が命を軽軽しく考えているというニュースをよく聞きますが、あの時 母と一緒にあみちゃんを見つけた子供達は、”小さな雀を助けてあげたい”という優しい心の持ち主達でした。あのあと131日も あの雀は幸せに生きたんだよ!って教えてあげたいです。でもどこのお家の子供達だったのかわからないのが残念です。

  やっぱり 小さくても大切な命 って思います。
  小さな命の 生命力の強さは素晴らしいです。

clover
あみちゃんの写真館はこちらです♪clover


ぜひご覧下さい。



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