「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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月下美人の語り草
らぐなlock 第5話
彼女は今リュシスの首都『リキュア』にある官邸の一室にきていた。
そこに集うのは青い長髪の剣士、金髪の優男、黒髪の侍風の男、ローブ姿の男・・・そしてアイラであった。
おそらくここに集まった者がこの国の首脳陣なのだろう。
ローブ姿の男は言わずと知れた、ナンパ男の『牛』である。
しかしあれほど多弁に誘っていた男がこの場では沈黙を守り続けている。
ここではおふざけもできないということか・・・。
アイラは彼らから発するなんともいえぬ重圧に唾を飲み込んだ。
アイラ「・・・(化け物ね・・こんなにも力を感じるなんて・・。)」
この力、間違いなく人間という種族の中でもトップレベルのものだ・・。
彼らがその気になりさえすれば、彼女など気づく間もなく首と胴が離れることになるだろう。
気圧されるアイラ。背中に伝う冷や汗がとまらない。
しばらくの間部屋を沈黙が支配していた・・・。が、ふっと表情を和らげ長髪の剣士が口を開いた。
長髪の剣士「改めて初めまして。私がこの国の王、銀狼です。アイラさん・・ですね?リュシス国は貴方を歓迎します。」
王・・銀狼が口を開いたのをきっかけとして、残りの3人も歓迎の言葉を口にした。
金髪の優男「入国おめでとう♪」
侍風の男「初めましてアイラさんwよろしく^^」
牛「オ~ゥよく来たね我が麗しのマドンナ♪」
・・・どうやら牛が沈黙していたのはふざけられないのではなく、王より先に話さないよう言われていたからのようだ。
とにかくこれで部屋の雰囲気が一転し、アイラも一息ついた。
最後のはともかく、これが普通の歓迎だよなぁ・・とサープでの出来事を思い返して苦笑い。
確かにあの時も最後に謎の言葉はあったが・・まぁそういうものなのだろう。
アイラ「こちらこそ、よろしくお願いしますw」
・・と普段見せないような笑顔で返す。
まったく女というものは恐ろしいものだ・・。
このいざという時にだけ出す笑顔・・・これに私は何度騙されたことか・・・。
パン屋のあの娘が商品を受け渡す時のあの笑顔・・あの笑顔が見たくて私は毎日毎日足を運んで・・・。
金欠になっても通い続けたのに・・あぁまさか彼氏がいたなんて夢にも思わな・・!!
・・・コホン。話を戻そう。(ちょっと赤面)
銀狼「入国したばかりでわからないこともあるでしょう。牛は新人の教育係もしていてね、彼に何でも聞くといい。」
アイラ「ゲッ・・・わかりましたwそうしますね^^」
牛「今、『ゲッ』って・・・(==;)」
侍風の男「気持ちはわかるけど我慢して下さいね^^」
金髪の優男「そうそう、犬に噛まれたと思って。」
牛「・・・orz」
・・・ある程度読めていたが牛の位置関係はやはりそういうことらしい。気の毒に。
挨拶を終えた銀狼たちは国務に多忙なようでそそくさと去っていった。
取り残されたアイラと牛はとりあえずリキュアを見てまわることにした。
リキュアはサープの南に位置し、交通網も幅広く様々な国との連絡にも便利な街である。
肥沃な土地を所有している為、農作物が豊富で他国への輸出で貴重な資金源となっている。
市場を通ると様々な野菜や果物が陳列されているのが見られる。
それらを威勢のいい声で叩き売りしている親父に目を向けながら、牛が話し出した。
牛「リキュアはね、大地に守護された街なんだよw」
アイラ「大地?」
言われて改めて街並みを見回す。
緑が多いわけではないが肥沃な土地のおかげで人々の暮らしは潤っている。
まだ冬も終わらぬ季節だというのに、今立っている地面からは暖かさすら感じるようだ。
なるほど守護されているといわれればまったくその通りだろう。
牛「そう。この世界には光・闇・火・水・風・大地・自然・無の8つの属性があるんだ。その中の大地だねw」
アイラ「ふぅ・・ん。」
牛「街だけじゃなくて人間にも一人一人自分に合った属性があるんだ。僕の場合は『闇』なんだけど・・。アイラさんは何だろうね?」
アイラ「・・・わかんない。」
属性のことなど今初めて知ったのだ。知ってるはずがない。
牛「最初は分からなくて当然だよwそうだな・・・目を閉じて心を楽にしてごらん?心に何かイメージが浮かんでこないかな?」
アイラ「・・・・・・。」
牛「深呼吸して・・自分の奥底に心を傾けて・・・。」
アイラは言われるままに自分の心に精神を集中させた・・・。
瞑想・・といった方が良いのかもしれない。
叩き売りの声もだんだん聞こえなくなっていく・・。
すぐ隣にいるはずの牛の存在さえ希薄になっていく・・・。
5感を失ったように周囲のことが感じられない。
ただ感じるのは・・・。
アイラ「・・風・・・。」
そう、彼女の奥底に眠るのは『風』であった。
時に『風』はあらゆるものを切り裂く。
時に『風』は全てを吹き飛ばす。
時に『風』はやさしく歌をはこぶ。
時に『風』はあたたかく包み込む。
アイラにはそのような力の根源が備わっていた。
牛「風、か。・・うん、アイラさんにぴったりだねw自由奔放なとこなんか特に♪」
アイラ「・・・それどういう意味?」
ジロリと牛を睨みつけるアイラ。
牛「さぁね~wあ、そうそう。装備品にも属性があるんだよ♪」
アイラ「装備に属性?どこぞのゲームみたいに敵と同じ属性で攻撃したら回復しちゃうとか?」
牛「い、いや・・そんなことはないから安心して^^;自分と同じ属性の装備品を装備すると普通よりも威力が高くなるんだよw」
アイラ「へぇ~お得なのね。」
牛「そ♪・・まぁ開発しない限りは滅多に属性のついている装備はお目にかかれないけどね。」
アイラ「開発・・ねぇ。」
牛「あ、ウチ(リュシス)も近々開発するよw会議室で名前のアイデア募集してるからよろしく~ww」
アイラ「名前募集って・・・。」
牛「会議室はちょくちょく覗いておいてね♪じゃあ僕はここらで失礼するよ。ちょっと野暮用があるんでねw」
アイラ「あ・・牛!」
去っていこうとする牛を引き止めるアイラ。
呼び止められるとは思わなかったのか、少したたらを踏み牛は怪訝な顔で振り返った。
牛「おっととと・・。どうしたんだい?」
アイラ「あなたって・・・・・普通にしゃべれたのね。」
うむ。それは私も思った。
牛「・・・・・」
牛は泣きながら去っていった。
まぁ教育係といっていたし、ずっとあの口調では新人も逃げていくだろう。
普段はなにげに普通なのかもしれない。
アイラ「ずっとあの口調でいればいいのに・・・。」
まったくである。
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