月下美人の語り草

月下美人の語り草

らぐなlock 第7話


息を切らせて走る私。
まったく、最近運動不足なのに・・ってそんなことをボヤいている場合ではないな。
ようやく森の入り口が見えてきた。
おい!この先に・・・

アイラ「・・・・・・・くかー・・すぴー・・。」

(°o°(☆◯=(-"-#)。オラッ!
派手に吹っ飛ぶアイラ。

アイラ「ふ、ふふ・・なかなかいい拳してるじゃない・・。私と一緒に世界目指すかい?」

何アホなことを言うとるか!人が様子を見て来てやってる時に気持ち良さそうにヨダレたらして寝くさりおって・・・。
ンなことよりこの先に子供が迷い込んでいたぞ!さっさと助けに行け!!

アイラ「子供ぉ~~?昆虫採集の虫でも採りにきたんじゃないのぉ~?」

アホ!ここにいるモンスターは虫だけじゃない。狼や毒蛇だっているのだぞ!!

アイラ「そ、それは確かにボケてる暇はなさそうね・・。どこ?案内して!」

さすがのアイラも事態を把握したのか、真剣な顔つきになった。
アイラを連れて先ほどの少女のいた場所へ急ぐ。
無事でいてくれれば良いが・・・。

アイラ「いたっ!!」

先ほどと変わらぬところに少女は立っていた。
しかし状況までは同じではなかった。
少女を取り囲む狼の群れ。1・・4・・全部で7匹はいるだろうか。
この数の狼に囲まれては、腕利きの戦士ならまだしも少女では絶望的を言えよう。
しかし少女は状況がわかっていないのか気だるそうな表情をしている。
急いで少女を庇うように立ち、ナイフを左手に構えるアイラ。

アイラ「この娘には爪の一本も触れさせないよっ!」
少女「・・・?」

驚いた表情の少女。
狼の群れも一瞬怯んだ様子を見せたがすぐに唸り声と共に近づいてきた。

アイラ「7匹・・今の私じゃちょっとキツイけど、そうも言ってられない・・よねっ!!」

「られない」で飛び掛ってきた狼の一匹の牙を間一髪で避け、「よねっ!!」で右の掌底を腹にくらわし吹き飛ばす!
それを合図に次々と残りの狼が飛び掛ってくる。
元々体術メインの戦闘スタイルであるアイラにとって、ナイフはほぼ敵の攻撃の受け流し用として使っている。
牙や爪をナイフで受け流しつつ膝蹴りや肘打ちで応戦する。
しかし一人ならまだやり様もあるが、少女を庇いながらでは動きもぎこちない。
攻撃を受け流し損ない、傷が徐々に増えていく。
傷はけして深くはないが、出血が体力を確実に削っていった。
何匹かは戦闘不能にしているが、まだ攻撃は止まない。
アイラも動きが鈍ってきている。

ズルッ・・
アイラ「・・・くぅっ!?」

限界がきたか、アイラが足を滑らしバランスを崩した。
そこを見逃さなかった狼が牙を閃かせ飛び掛ってくる!
・・・とその時、少女がアイラと狼の間に入ってきた。

アイラ「なっ・・!?」

そして次の瞬間・・・

ドガッ!!!!!

飛び掛ってきた狼の姿は消えていた。

アイラ「・・・・・え?」

いや、正確には眼で追えないくらいの速さで吹き飛ばされていた。
アイラは唖然として状況がつかめていない。
残りの狼たちも動きを止めている。表情もびっくりしているように見えてちょっぴりチャーミング♪
確かに眼を疑うだろう。というより私自身も眼を疑った。
そう・・あろうことか少女が狼を殴り飛ばしたのである!

少女「・・・くすっ。」

天使のような微笑み。だがこれは紛れもない事実。
目の前の信じられない光景に恐ろしさを感じたのであろう、狼たちが全て逃げ出した。
『きゃいんきゃいん』が非常に愛らしい。

少女「庇ってくれてありがとねwおねーさん♪」
アイラ「・・・・・。」

未だ固まったままのアイラに無邪気に笑いかける少女。
声も非常に可愛らしい。見た目相応の年齢であることは間違いなさそうだ。

少女「素質はありそうだけど、まだまだ経験不足かな?頑張って強くなってね♪あははwじゃ~ねぇ~♪」
アイラ「・・・・・。」

固まったままのアイラを残し、街の方に帰っていく少女。
うむ・・誤ってこの森に来たのは間違いないようだな。
ただ『初級』と『上級』との誤りだったようだが・・・。

アイラ「・・・・・。」

さて、夜も更けてきたしコイツを運んで帰るか。
このままでも良いのだが、さすがにこの傷のままではマズイだろう。
私はアイラの足を引きずって帰路についた。


運んでいる最中に同業者(ナレーター)に出会った。
彼も担当の主人公の足を引きずり街に帰っているところだった。
「よう。お互い大変だな。ん?そいつ傷はあるが戦闘不能じゃないな?」
あぁ、ちょっと精神的にショックがあったようでな。・・お前のとこは傷一つないようだが?
「まぁな・・。モンスターの出現の時のガサガサって音で失神しちまいやがった。涙が出てくるぜ・・。」
・・・それは災難だったな。ちなみにモンスターって何だったんだ?
「・・・カブト虫だ。じゃあまたな・・・。」
肩を落とし去っていく同業者。本気で気の毒過ぎて泣けてくる。
私もまだ運が良かった方だったようだ。ちょっとホッとした。

この作品を読んでる方々。貴方がたにお願いがある。
貴方がたが戦闘不能になってしまった時、こうやって我々が陰ながら頑張っていることを忘れないでくれまいか。
あぁ・・たまには休日が欲しい・・・。
私はため息をつきつつ再び街に向かって歩き出した。


ちなみにアイラが我に返ったのは翌日の昼頃であった・・・。

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