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ロボサムライ駆ける■第58回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■第七章 血闘場(5-2)「リキュール、何をしておるのじゃ」 怒りの声が女に飛んでいる。 リヒテンシュタイン博士は、自分の実験室で資料をまさぐっている我が娘を発見していた。リヒテンシュタイン研究所は、博士がロボットでありながら、新しいタイプのロボットを研究していることで、世界でも有名であった。「ま、まさか、お前、私の発見をロセンデールに…」 少し考えていたリヒテンシュタイン博士だが言う。「わかったぞ、今までロセンデールに情報を流しておったのは、お前だったのか。我が娘だとは気付かなかった」「今頃、気が付いたのですか、お父様。まあ頭の古いタイプのロボットのお父様としては仕方がないですわね」「何を言う…」 階下での二人の大声の、ののしりあいを聞き付けて、登場するのはリキュールと双子ロボットであるマリアであった。「いったい何があったの」 研究室で睨み合っている二人のロボットに気付く。「お父様。まあ、リキュールお姉様もどういうことなの」「マリア、このお前の姉は裏切り者なんじゃ。ロセンデールに秘密を漏らしておったのじゃ」 博士は怒りにまかせて、リキュールを非難する。「どうして、お姉様」 マリアはリキュールに目を向けた。「どうしてですかって、マリア、お前はあの主水とかいう東洋のロボットにううつを抜かしてしまって目が見えなくなってしまったのですか。今の世界をご覧なさい。早く世界を統一しなきゃあ、大変なことになってしまうのですよ」 妹のマリアの方を向いてリキュールは毒ついた。「それとロセンデールに秘密をしゃべることは関係があるのですか」「この娘はロセンデールにたぶらかされおって。よし、今からロセンデールの家に行こう、お前は留守番だ、マリア」「でも、私もいったほうが…」「いい」 それが、マリアが生きている二人を見た最後だった。二人は邸から出て行く。悲劇はこの後おこった。 二人の遺体がロセンデール家から送り返されてきた。 『当家に侵入しょうとして殺された』との添え書きつきで。 ロセンデールが、リキュールとリヒテンシュタイン博士を殺したのか。それははっきりとはわからない。 マリアは博士とリキュールの遺体を前に復讐を誓う。「お姉様。いい、あなたの記憶を私の電子頭脳の一部に移植するわ。だから、私は今日からマリア=リキュール=リヒテンシュタインとなるわ。ロセンデール卿、覚えてらっしゃい。きっと父の恨み晴らして見せるわ」「マリアどうした。なぜそんなに嘆き悲しんでいるんだ」 主水がリヒテンシュタイン博士の屋敷を訪れていた。「主水…、もっと早くきてくれれば……」 主水の胸元で泣き崩れるマリアでった。「お父様とお姉様が…、ロセンデールに滅ぼされたの」「が、リキュール殿はロセンデール卿の…」「そう、姉はロセンデールの愛人ロボットだった。でもこの状態よ」「ルドルフ殿下に訴えれば…」「だめよ。証拠がない。それに、ロセンデールはルドルフ殿下のお気に入りだもの」「おのれ、ロセンデールめ、この恨みはらさいでか」「復讐は、ロセンデールが他の国にいるときでないと…」 が、主水とマリアは、とうとうロセンデールの屋敷まできてしまっていた。ロセンデールの館は中世の城を模して作られている。回りに堀が巡らされている。「ロセンデール、姿を見せろ」 主水は長い間叫んでいた。やがて、ロセンデールが城壁の上から姿を見せた。「おや、これはこれは私の愛しいザムザを滅ぼした黄色いロボットではありませんか。それに黄色いロボットにくっついた裏切り者では…」 ロセンデールの嘲りの言葉に、急にマリアが珍しく、癇癪を爆発させていた。「ロセンデール、降りてらっしゃい。父と姉の敵…」「おやおや、麗人マリア、どうかしたのですか。そんな怒りは体によくありませんよ。私があなたの博士と姉を殺したですと…。間違ってもらっては困ります。二人は、私のこの屋敷に不法侵入しようとしたのです。それ故、自動装置が働き、二人を焼き殺してしまったのです。事故ですよ。事故」「ロセンデール、覚えていなさい。この敵、必ず打って見せます」「おやおや、マリア。恐ろしい表情ですね。あなたの姉リキュールはいくら怒ったって、このようなお顔は見せませんでしたよ」「止めなさい。私の姉を嘲るのは」「主水よろしいですか。愛しい者を失ったものの痛みがわかったでしょう」 ロセンデールの青い目に冷たい光が宿っていた。騒ぎを聞き付けてルドルフの親衛隊が駆けつけ、とりあえず収まったのであるが。ロセンデールは次々と刺客を二人の身を襲わせた。それ故、二人は神聖ゲルマン帝国より逃れたのである。(続く)■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(5)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook/
2016年02月03日
「歴史小説から広がる歴史コンテンツ」織田信長像~史実と創作~-------------山田は、UZUトークセッション「歴史小説から広がる歴史コンテンツ」第1回に参加しました。第2回は、「『蒼き信長』『信長燃ゆ』の織田信長像~史実と創作~」と題し、織田信長の人物像の制作方法について、自身の制作体験をもとに、安部龍太郎氏に語っていただきます。また、若干ではございますがお席に余裕がございますので、。との事です。-------------■日時[第2回]10月14日(金) 18:00~20:00■場所 京都太秦クリエーター支援拠点(UZU)(京都市右京区太秦多薮町45-19 ヤマモトビル2階)※駐車場はありませんので、公共交通機関でお越し下さい※会場に上がる階段は建物の裏手にあります。地図http://www.uzu-creator.com/? page_id=78■参加費 500円(軽食がつきます)※当日、会場で申し受けます※釣り銭のいらないようお願いいたします本件に関するお問い合わせ先NPO法人映像産業振興機構 京都太秦クリエーター支援拠点(UZU)〒616-8167 京都市右京区太秦多藪町45-19 ヤマモトビル2階電話・FAX:075-432-7340E-Mail:uzumasa@vipo.or.jp担当:中谷、衣川-------------
2011年10月12日
信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス /宇月原晴明 面白い!想像力の爆発!新潮社の第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。信長が、古代シリアの牛頭神バールの信仰を残す一族の末裔という発想。「バール信仰」に関しては、古来から言われている説である。ナチスドイツものと、戦国ものが好きな山田としては想像力の爆発に感動。ただし、かなり、ファンタジーと歴史時代小説(特に伝奇小説)に読みなれていない方には、わからん部分もあるかも。
2006年08月21日
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