『続・夕陽のガンマン』 Il bunco,Il brutto,Il cattivo

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Nov 3, 2006

『続・夕陽のガンマン』　Il bunco,Il brutto,Il cattivo

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テーマ：おすすめ映画(4072)

カテゴリ： Movie

『夕陽のガンマン』の続編だが、ストーリー・設定は全く異なる。公開時には『続・夕陽のガンマン／地獄の決斗』というタイトルだった。現題は英語だと「The good,The bad and the ugly」で「善玉・悪玉・卑劣漢」の意味。ストーリーは、このタイトルどおり、３人の男による金貨20万ドルの争奪戦が本筋で、そこに南北戦争という巨大な時代のウネリが被さってくる。

南北戦争末期、南軍の旗色が悪くなりつつあるアメリカ中西部。賞金付きのお尋ね者テュコ・パシフィコ（イーライ・ウォラック）をジョー（クリント・イーストウッド）が捕らえ、賞金を得る。しかしテュコの絞首刑執行時、ジョーはライフルでロープを撃ち、テュコを逃がす。こうやって二人は賞金稼ぎを続けていた。しかし何度も繰返せるわけではなく、ある時ジョーはテュコを置き去りにし、賞金を一人占めにした。怒ったテュコはジョーを探し出し、灼熱の砂漠（モハべ砂漠か？）で瀕死の目に遭わせる。ジョーの命もこれまでかと思われた時、南軍の軍用馬車が通りかかった。乗員の中で唯一人の生き残りビル・カーソンは息も絶え絶え。テュコに金貨の隠し場所である墓地名を告げる。墓標の名前を言うところでカーソンは水を所望。テュコが水を取りに行っている間にカーソンは絶命したが、ジョーが墓標の名前を聞いていた・・・。

片方は墓地の名前しか知らず、片方は墓標の名前しか知らない。ここに絡んでくるのが北軍の鬼軍曹であるセテンツァ（リー・ヴァン・クリフ）。この３人がお互いに出しぬき会いながら、ゴールを目指す。セテンツァは軍人であるが、捕虜の金品巻き上げや殺し屋までやる極悪人。従ってテュコはジョーと行動を共にすることが多く、この二人のやり取りが絶妙だ。

この本筋だけでも十分に面白いが、ここに南北戦争と言う時代背景が影を落し、深みを増していく。

前作『夕陽のガンマン』では大佐（リー・ヴァン・クリフ）の過去が作品に深みを与えていたが、本作ではどちらかというとそれは脇役の担当。足を壊疽にやられ余命幾ばくもない北軍捕虜収容所長（部下である筈のセテンツァの横暴を抑えられない）や軍事目標である小さな橋の奪取を命じられたが、部下が死んでいくのに耐え切れず酒浸りになっている北軍大尉がそれだ。特にジョーとテュコが橋を爆破し、その音を聞いて安心したように死んでいく大尉が印象的。

そしてもう一人、テュコの兄の神父（ルイジ・ピスティッリ）も忘れられない。弟の悪行を怒る兄。しかし弟には弟の言い分がある。貧しさから抜け出すには僧侶になるか泥棒になるかしかなかったのだ。去っていくテュコの背中に向って詫びる神父－－－。この神父役のピスティッリは『夕陽のガンマン』ではお尋ね者インディオの部下だった。本作では見違えるような演技を見せる（短時間だが）。

イーライ・ウォラック／ルイジ・ピスティッリ

他にも、マカロニとは思えない大スケールの戦闘シーンや、ガン・マニアのレオーネの本領発揮である銃砲店のシーン、音楽と撮影が素晴らしい砂漠のシーンなど見所だらけ。私が一番好きなのはラスト近く、テュコが墓を探す場面。5000もある墓標の中を走り回るヴァイタリティ溢れるシーンで、ウォラックの仕草が天才的だ。またここにかかる音楽「Ecstasy of Gold」が素晴らしい（サンプル参照）。