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柿崎和泉守@ Re:『天と地と』 Heaven and Earth(04/25) 映画で残念に思ったのは、まず刀八毘沙門…
背番号のないエース0829 @ Re:『ベルリン 映画「風の電話」に、上記の内容について…
Jun 6, 2008
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カテゴリ: Movie



太平洋戦争末期の1945年春。ボルネオ島北部のジャングルに英陸軍のフェアボーン大尉(ナイジェル・ヘイバース)と通信兵のテンガ(フランク・マックレー)が潜入した。目的は未開の現地住民を組織し日本軍にゲリラ攻撃を仕掛けること。二人は現地の部族に捕らわれ集落に連行されたが、そこにいた部族の王はなんとアメリカ人のリーロイド(ニック・ノルティ)であった。


リーロイドから王になった経緯を聴き、また彼が意外にも平和主義者であることを知ったフェアボーン大尉は王に興味を抱き、やがて尊敬するようになる。だが、それはフェアボーンの目的とは相容れないものであった。連合軍最高司令官マッカーサーから戦後の自由を保障する旨の一筆を取り付けたフェアボーンは王に報告。ついに王と部族は日本軍に戦いを挑むのだが・・・


この作品はコッポラの 『地獄の黙示録』 との関連で語られることが多い。『地獄の黙示録』の原作はコンラッドの「闇の奥」であるが、それを基に脚本を書いたのはミリアスであった。ミリアスはジョージ・ルーカスを監督にして映画化しようと考えたが実現せず、後に脚本の映画化権はコッポラに渡った。しかしコッポラは脚本に満足せず、大幅に改変したためミリアスは相当の不満を表明していた。

本作の原作はピエール・ショーンドルフェールであるが、登場人物の配置は『地獄の黙示録』と酷似している。狂言回しの役は陸軍の大尉であり、主人公はジャングルの「王」になった脱走兵である。ただ本作では両者の間には友情が芽生えるが、『地獄の黙示録』では畏怖と敵対の関係である。だが逆に見れば、これこそが『地獄の黙示録』のオリジナルの形であったのかもしれない。文明社会を飛び出して王となり、戦い続ける男と、それに共感する男の友情物語として。


また、『アラビアのロレンス』の太平洋戦争版という見方もできるだろう。あらすじはソックリだし、戦後の挫折もよく似ている。ただ本作の結末はハッピーエンドに近いもので、ここだけはジョン・ブアマンの 『エメラルド・フォレスト』 のラストを彷彿とさせる。

夕力派のミリアスは男の戦いだとか武器には格別の思い入れがあるようで(全米ライフル協会の重鎮でもある)、本作にも象徴的な場面がある。日本軍の三田村大佐が王に降伏した時に、日本刀を差出すシーンがそれ。日本軍による村民虐殺の場面などもあるが、三田村大佐個人は教養ある立派な軍人として描かれており、その象徴が日本刀であったのだ。思えばミリアスの名作 『風とライオン』


そういえば、『風とライオン』には『王になろうとした男』を監督したジョン・ヒューストンも出演していた。またリーロイドがボルネオに漂着した時の海の大波や、ラストの波は『ビッグ・ウェンズデー』も思い出す。いろいろと他の作品との関連性が感じられて面白い。

ただ予算の関係なのか、美術面などがイマイチなのが惜しい。現行のDVDでも、1989年の制作なのにこの画質はないだろう、と思う。集落のつくりも何だか真新しく、広場のトーテムポールも取って付けたようだ。この辺りはサスガに『地獄の黙示録』のカーツ王国の迫力にはかなわない。

ほとんど触れられることのない作品であるが、ナカナカ興味深いのである。安っぽい邦題はどうにも頂けないが、もう少し顧みられてもいい作品ではないだろうか。


監督:ジョン・ミリアス
製作:アルバート・S・ラディ/アンドレ・モーガン
原作:ピエール・ショーンドルフェール
脚本:ジョン・ミリアス
撮影:ディーン・セムラー
音楽:ベイジル・ポールドゥリス

1989年・アメリカ / 117分 / 評価:4.0点 / 子供:○






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Last updated  Jun 7, 2008 10:35:11 AM
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