PR

×

Calendar

Category

カテゴリ未分類

(0)

Movie

(361)

Jazz

(237)

Progressive Rock

(87)

Metal

(11)

Soul,Funk...etc

(35)

Art

(39)

Book

(10)

TV Drama

(8)

Classic

(9)

Movie Goods

(2)

Soundtrack

(9)

株式投資

(219)

その他の音楽

(9)

お酒

(23)

できごと

(12)

お出かけ

(11)

Rock

(1)

Comments

柿崎和泉守@ Re:『天と地と』 Heaven and Earth(04/25) 映画で残念に思ったのは、まず刀八毘沙門…
背番号のないエース0829 @ Re:『ベルリン 映画「風の電話」に、上記の内容について…
Jul 5, 2008
XML
カテゴリ: Movie



瀬戸内海に浮かぶ非常に小さな島。ここには夫婦(殿山秦司、乙羽信子)と男児2人の1世帯だけが住んでいる。一家は島の斜面を耕し麦や野菜を作っているが、島には水がないため、近くの島に水を汲みに行っては急斜面を登り上から撒く。夏の間は毎日が水汲みの往復であった・・・。


ドキュメンタリー風を狙ったこの作品にはセリフがない。もちろんサイレントではないので音楽や効果音はあるが、主役二人が発するのは殿山の「よいしょ」(子供を抱きかかえるシーン)と乙羽の泣き声だけ。当時としては珍しい実験的作品と言えるが、実際、毎日同じ繰返しの生活においてそんなに会話があるものでもなかろう。

過酷な日々が描かれるが、たまには楽しみもある。ある日次男が釣り上げた大きな鯛を持って尾道に出向く一家。魚屋で買い取ってくれたので、久しぶりに外食をし、千光寺山にロープウェイで登る。こういう明るいシーンがあるだけに、その後の子供の死が衝撃となる。さすがに上手い。


監督はリアリティを追求し、主演二人は現地入り後すぐ天秤棒で桶を担ぐ練習に明け暮れた。桶には水が入るので半端なく重い(ちゃんと天秤棒がしなっている)。その練習光景を島の人たちは最初笑って見ていたが、肩の皮がむけ血が滴っても練習を続ける二人を見て、静かになってしまったという。
しかし、ただリアリティに徹した作品ではなく、ちゃんと映画としての計算がされている。晩秋の麦踏みのシーンでは、非常に慣れた感じでリズミカルに麦を踏んでいるが、あくまでもイメージとしてある麦踏のリズムで麦を踏んでいるのであって、実際とは異なるそうだ。また、夏の炎天下に汲んできた水を撒くなんて実際にはあり得ず、陽が陰ってから撒くのが普通。しかしそこをあえて炎天下にしたことで効果を狙ったのだ。


制作当時は、数多かった独立プロが経営不振で次々と姿を消し、監督率いる近代映画協会も解散寸前であったと言う。それならば最後にやりたいことをやって終りたい、として取り掛かったのが本作だった。「制作費5百万円。スタッフ13人。役者2名」というギリギリの制作であったが、モスクワ映画祭でグランプリを受賞(その他各国でも数々の賞を受賞)したことで各国からの引き合いが殺到し、制作費の20倍以上の利益を上げ、協会は立ち直ったと言う。


だからやはり本作が代表作にふさわしい。新藤監督の思想的な面にすべて賛成はできないけれど、職人としての映画作りへの執念にはただただ敬服する。映画歴67年を誇り日本最高齢の監督であるが、真の映画を撮れる数少ない一人であろう。本作はその特異性から、現在では一般受けすることはないだろうが、監督の代表作として語られないのは実に寂しく、つい長々と書いてしまった。

舞台となった宿祢島。佐木島の北にある周囲400mほどの小島である。

監督:新藤兼人

脚本:新藤兼人
撮影:黒田清巳
美術:新藤兼人
音楽:林光

1960年・日本 / 95分 / 評価:4.5点 / 子供:○






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jul 6, 2008 08:26:50 AM
コメント(1) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: