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最近いろいろと身辺に変化があり、専門職業家として(実務修習に一年かかった!)事務所を経営するとともに、それとはまったく脈絡のないナノテク関係の会社の代表取締役も引き受け、なかなか定年後の人生としては目まぐるしく生きています。
昔から仕事が錯綜し頭がこんがらかると、発作的になにもかもほったらかしにして小旅行をしたくなる性分です。そうすると、なぜかかえってすべての整理がはかどるのです。
そういえば、若いころ、何かとよく川辺に降りていって、川面の移り行くさまをボーと眺めていたものです。我が川か、川が我かという境地になりたくて。
年輪を重ねると、そうした心身脱落の装置は、「飲酒」という悪習慣にとってかわったのでした。それをハイブリッドにすると・・
「飲みながら川面を眺めよう!」
遠刈田温泉三治郎の日帰り用の大広間で、さすがに毎週は飽きます。寝ころびながらこの考えでいてもたってもいられなくなりました。幸い、仕事の穴はあけずに済みそうです。
家に電話して、GO TO トラベル!
ネットで当日一人客の空きを調べているうちに、最上川別邸「BENI」という宿に行きつきました。まあ前から気にはなっていました。
草薙温泉といえば、昔「滝沢屋」という川辺の旅館がありましたっけ。
2013年の記事を見つけました。なんでも、
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戸沢村の最上川沿い、最上と庄内の中間に位置する草薙温泉。観光や湯治客でにぎわった時代には 3
軒の温泉旅館が軒を連ねた。しかし、 2011
年に「臨江亭滝沢屋」が事業を停止して以降、温泉街の灯は消えたままだ。「村の観光振興を考えた場合、温泉宿はどうしてもほしい」。村総務課の岸利吉課長( 59
)は言葉に力を込める。
村の観光資源の目玉は「最上川舟下り」。旧温泉街は下船場のすぐ隣だ。船上から最上川の雄大な景色を眺めてもらい、降りてすぐに宿に移動。温泉と郷土料理を楽しんでもらう―。このプランを成立させるためには草薙温泉の復活は村の悲願と言える。
「このまま誰かが土地、建物を買うのを黙って待っているわけにはいかない」。「滝沢屋」の事業停止から 2
年後の 13
年 5
月、村は大胆な策を打つ。競売対象となっていた土地と建物の入札に参加し、計 1400
万円で落札した。
「新たに温泉旅館経営を引き継いでくれる業者が見つかるまで、建物と土地を村が留め置く」。これが目的だった。温泉宿以外の利用目的で落札されては村全体の産業振興に影響する恐れがある。渡部秀勝村長は覚悟を決めた。「民間の旅館を村が買い取って責任が取れるのか」。厳しい批判の中、担当者は温泉旅館経営者らの元をかけずり回った。
そして今年 2
月、老舗旅館のタカミヤホテルグループ(山形市)が再建に意欲を示す。光が見えた
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ということのようです。高見屋さん地力ありますね。
私としては、その滝沢屋さんの記憶では、部屋から最上川の景観を堪能できるだろう、それ以外は望むまいくらいの気分でいつもより早く三治郎をあとにしました。
高速を乗り継いで、約2時間半、新庄~草薙ルートの景観はいつ来てもいいものです。このまま酒田まで行ってしまいたい誘惑にもかられるものの・・。
やがて、高見屋別邸BENIの看板が見えてきました。
入り口では早速、検温やマスクのチェック。萎えます。いつまでこんなことが続くのでしょうか。
でもこれから宿に入るという気分はうれしいものです。玄関をくぐった感じは、民芸調、または和モダン。ちょっと高齢マヨラーひとり旅にはこそばゆき感じもあります。黒塗りの飾り棚に、小さい陶芸品が並んでおり、とても美しい。
フロントのおじさんの丁寧な説明(実は丁寧すぎる説明は苦手なのですが)ののち、いざ、わが「籠り部屋」へ。「別邸のほうにしましたよ」とニヤリとしていたのは、そのときは不明だったのですが、実に真新しい新館のほうだったからなのですね。
なるほど後から調べた記事では、本館のほうはいくらか年期は入っていましょうが、だいぶ徹底的にリニューアルしたのか、劣化は感じませんでした。
途中で一度靴を脱ぎ、裸足で廊下を歩ける趣向。廊下の窓からもちらちらと川が望めていい感じです。
予期はしていましたが、部屋に入ると、大きな窓一面に最上川が広がっています。
恋人たちがならんで座ることを想定したような、川面に面した大きな座椅子。ここには、定年後の私が喜んで座っています。
こりゃいいなあ、読み物も仕事もはかどりそうだわい、と見積もりつつ、はや手にしたカンビールをぷしゅっとやると、もうそんな俗事はどうでもよくなりました。
風呂に行きますと、ここからも川が眼前に広がっており、降りたところに露天風呂もあります。
湯舟のふちに、小さいかわいらしいアオガエルが、壁には大きなかまきりがじっとしていました。無用な衝突を避けるためか、お互いに、近づかないようにしているように見えます。ソーシャル・ディスタンス・・せっかくくつろぎに来て、いやな言葉を思い出しちまったい。
それにしてもこの両者、どちらが強いんだろう。体が大きければカエルに軍配でしょうが、小指の先ほどしかありません。
それにしても本当にかわいいカエルでした。
風呂に入りながら川面と対面のうっそうとした山並みを眺めるのはとてもいい心地です。ただし、誰かが入っていたらちょっと遠慮してしまうぐらいの大きさではありますが。
酒が進んでいたので、夕食はそれほど大きな印象が残っていません(写真さえ誤って削除!)。ただアジア料理の火鍋のように、真ん中から区切られていて、地元産の豚しゃぶをダシとみそだれとを選んで食する趣向はよかった。フィリピンで食した「火鍋」を思い出しました。懐石ふうの品々もならびましたが、でもホッケの焼き物は、ちょっと詰まりません。ここはアユでしょう、と言いたくなりました。
酒は一本だけ地酒をいただきました。
あからさまには聞こえませんでしたが、川の流れの音が重層の低音となって、神経を微調整してくれているのでしょうか?ぐっすりと寝入ってしまいました。
朝ぶろを一風呂浴びて、また朝食会場「川瀬見」へ、またもや食卓が川の正面に並んでいます。
贅沢を言えば、これをテラスで食べたら、京都の川床料理のようでさらに野趣深いでしょう。
朝食はほんのちょっぴりづつ多品目・・これがうれしい。陶板焼きも選べます。これも白身魚?とちと残念。
さて帰る前に意地汚くもう一風呂。10時チェックアウトということもあり、風呂には誰もいません。贅沢な貸切風呂の境地で、湯と最上の景観を堪能しました。
高見屋 最上川別邸 紅
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