放浪の達人ブログ

岡崎トリエンナーレ

   【岡崎トリエンナーレ】

俺はゲージュツというものがよく分からない凡人である。
美術館などに行っていかにも分かってるような振りをして後ろ手を組み、
近付いて「ふむふむ」と頷き、一歩下がって「う~む」と難しそうな顔をして
紳士的に静かにコツコツと歩くのがどうも似合わない。

そんなわけで今回は「トリエンナーレ」の会場が岡崎だと知っても
別に行こうとも思わなかったのだが、ひょんなことから行くことになった。
場所は岡崎シビコ。俺が去年まで店をやってたビルである。

ダイソーの横にひっそりと会場への入り口があり、非常階段を昇って行く。
重い鉄の扉を開けて4階に入った瞬間、「これは来た甲斐があった!」と確信した。
まだ行ってない人達のために詳細はあえて書かないが、
4階では夕暮れ時にどこかのゴミ処理場(失礼!)に迷い込んだような錯覚に陥る。
5階では中東の迷路に迷い込んだ感覚で、既にシビコにいることを完全に忘れていた。
その迷路では「やられた!どこまで惑わせるんだ!」という心地良い気分だった。
6階では重いどんよりとした作品が並び、文字では上手く表現できないのだが、
各階では子供の頃に聞いた足踏みオルガンの単音を延々と聞いているような、
懐かしいというかデジャヴーというか、とにかくナチュラル・トリップ状態だった。

そして最後に屋上。「うわああぁ~っ!」としか言いようがない。
塩の湖、白砂の浜辺、どこか知らない南の島に突然瞬間移動した感覚。
トリエンナーレの岡崎シビコ会場のゲージュツは「鑑賞するもの」ではなかった。
「体験するゲージュツ」、しかも魂が揺り動かされるほどのものであった。
トリエンナーレは10月27日まで。ぜひシビコ会場を体験して欲しい。
できれば晴天の日に屋上の作品(?)を体験して欲しいなあ。
チケットは岡崎シビコ1階のサービスカウンターでも買えるよ。

そういえばこんなゲージュツとは無縁の俺であるが、昔美術館にハマったことあったわ。
場所はインドネシアのバリ島、ウブドゥ村のプリルキサン美術館。
当時は入場料が30円弱だったということもあって、ここには4~5日通い詰めたな。
村外れの川のほとりの安いコテージの2階に泊まってのんびりと過ごし、
午後から夕方には必ずその美術館に行ってヒンヤリしたタイルの床を裸足で歩いたなあ。
とにかくゲージュツにヤラレたのはあの時以来だな。岡崎シビコ会場、ぜひっ!!!


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