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【中古】 トレント最後の事件 / E.C.ベントリー, 大久保 康雄 / 東京創元社 [ペーパーバック]【宅配便出荷】トレント最後の事件【電子書籍】[ E・C・ベントリー ]
2023.05.25
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『僧正殺人事件』と双璧をなすヴァン・ダインの傑作というふれこみを信じて、図書館から借りて読んだ。ところがこれが1950年刊行の代物。GHQ施政下の本で、紙質が悪くて赤黒く変色している上に、第1章に落丁が見られる。おまけに旧漢字旧かなだから、2時間足らずで読み終えたものの、こんなもの好き好んで読む人が県下にどれぐらいいるか。新訳に置き換えてしまえばいいのに、と思う。内容については、実は『僧正殺人事件』とよく似ている。出てくる探偵も同じなら、真相を突き止められずに次々に犠牲者を出してしまう点も、真犯人が本当の標的に罪をなすりつけて殺す直前にぎりぎり間に合って、かろうじて大円団にまとめる展開も。『僧正』を読んだ読者が続けて本書を読めば、真犯人が誰か、その動機はなんであったか、容易に想像がつくに違いない。そのうえでどちらを良しとするかだが、『僧正』の結末の方が「ざまあみろ」的な爽快感とユーモアがあって好みである。グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫) [ S・S・ヴァン・ダイン ]
2023.05.15
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乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーベスト10、というふれこみである。ベスト1の『赤毛のレドメイン家』とベスト2の『黄色い部屋の謎』はすでにブログで紹介したので、ベスト3の登場と相成った。巻末の鑑賞文を書いた東野圭吾氏同様、不具も今回初めて読んだのだが…なるほど見事だ。本格推理小説、というより古典的な探偵小説の一種の極みだと思う。集英社文庫の表紙を見れば、犯人の僧正が聖職者ではなく、チェスのビショップであることは見当がつく。チェスが高度に知的なゲームであることからも、連続殺人事件の犯人が、本書に数多登場する数学者のひとりであろうことは、読者にも容易に想像がつく。だがそこまでだ。もとより推理小説というか探偵小説には読者と作者の知恵比べ的な要素もあるが、読者がからくりをすべて見通してしまっては面白くない。やはり、「やられた!」という背負い投げをくらわされる快感があってこそ、こういう古典的作品は特に、輝くのである。本書は特に、最後の二章におけるどんでん返しと、さらにその上を行く楽屋落ちが素晴らしい。乱歩が推しただけのことはある、と思った。ヴァン・ダインの他の作品も、手に入るなら、そのうち読んでみよう。【中古】 僧正殺人事件 / S.S. ヴァン・ダイン, S.S. Van Dine, 日暮 雅通 / 集英社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2023.05.05
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ミステリー、というふれこみである。実際は、そうではない。クライム・ノベル、いわゆる犯罪小説である。それも二流の。なぜ二流か。若い兄妹が犯罪に巻き込まれるのはいい。メロドラマでよくある設定だ。問題は、妹を救う警部とか、兄とかが、「ある本」によって救われることだ。作者はもともと推理小説作家ではない。ある種の思想家である。自分の思想を喧伝するために、犯罪小説という形をとり、人間が「罪悪」から逃れ、前向きに生きるための方法を伝えているにすぎない。個人の革命、人間革命。ほら、宗教臭くなった。それどころか。革命と言えばマルクス。「共産党宣言」を手渡され、「これを読め」という小説がいかに読むに堪えないか、素人でもわかるだろう。本書はその禁じ手をやってしまっているのだ。だからつまらない。白けてしまう。もちろん解説者はそんなことを一言も言っていないが、この本の売れ行きはさぞ悪かったろう。昭和51年刊行である。そんなものをなぜ持っているかって?古本屋で30年前に買って、そのまま本棚に眠っていただけのこと。いっそのこと、眠らせたままにしておいてもよかったかもしれない、と思う。
2023.04.29
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アルセーヌ・リュパン・シリーズと銘打ってあるが、肝心のルパンは236p~237pに、作中人物の目撃談という形でしか登場しない。いわば「外伝」である。舞台は第一次世界大戦で、フランス人のドイツ人嫌いが前面に出ており、「ドク助」などという蔑称が頻出しているので、本邦初訳である創元推理文庫版は、今後も絶版のままだろうと思う。お話自体は通俗的で面白い。ポールとエリザベートは婚約者である。ところがひょんなことから、ポールの父親の仇がエリザベートの母だと「分って」しまう。果たしてこれは真実や否や? ポールは逃げるように戦場に戻り、そこで義弟ベルナールとともに、驚くべき疑惑と直面する。一方、オルヌカン城に残ったエリザベートも、真実を暴くための、彼女なりの闘いをしていたが…見どころは、ポールVSドイツ皇帝の駆け引き、そしてポールVS真犯人のやり取り。最後の最後まであなたはこのドラマから目を離せない。刮目すべし。アルセーヌ=ルパン全集(9) オルヌカン城の謎 [ モーリス・ルブラン ]
2022.05.01
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昔、途中まで読んで挫折した本である。なぜ挫折したのか、今となってはわからない。別の本と並行しながら読んだのだが、こちらの方が厚いにもかかわらず、早く読了してしまった。起承転結がはっきりしている。独特の滅びの美学がある。読者さえも気がついているお色気作戦に、まんまと引っかかってしまう刑事のマヌケぶりがおかしい。面白い要素はいくらもあるが、少々推理小説や探偵小説を読みなれた者なら、犯人の目星も犯行の動機もはっきりしている、やはり専門の探偵作家ではないな…と油断しているとどんでん返しを食らう。そこでああ、さすが江戸川乱歩が推しただけのことはあるな、と認めざるを得なくなる、古典的な探偵小説である。あとは実際に読んでみてください。今はこっちの方が入手しやすいのかな。↓赤毛のレドメイン家【新訳版】 (創元推理文庫) [ イーデン・フィルポッツ ]
2022.04.03
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中年の哀愁漂う短編集。「眼の気流」妻に死なれて若い愛人を囲う50代の会社重役。しかし女にヒモがいることを知って…一過性の色盲という偶然のトリックが興を惹くが、眼目はもう一つのところにあった。「暗線」対語はおそらく「明線」。祖父を同じうしていながら、嫡子と庶子(としても認められなかった)の父をもち、その環境による境遇の落差は子にまで及ぶ。暗線側にいる者の静かな怒り。「結婚式」できすぎた妻をもったばかりに、ガス抜きができず、浮気の結末さえも跡を濁さずにできなかった男。もっとも妻にはまるっきり責任がない。これを妻のせいにするのは時代錯誤も甚だしい。「たづたづし」万葉集の歌による。浮気相手は結婚していた。しかもその夫は服役していて、もうじき出所するという。男は慌てて女を絞め殺したはずが、実は仮死状態で生き返っていた。しかも記憶喪失で。「影」純文学志望の青年が、生活のために流行通俗作家の代作者となる。才能の枯れた作家と器用な作家の卵。この関係はうまくいくかに見えたが、思わぬ破滅が待っていた。【中古】眼の気流 (新潮文庫)/松本 清張
2020.11.30
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『シャーロック・ホームズ異聞』の巻末の解説に、太宰治が黒木舜平の名で推理小説を発表していた云々の記載あり、さっそく図書館から取り寄せてみる。昭和9年の作だから、まだ駆け出しのころだ。主人公が騙った新進作家の名前は「太宰治」ではなかろうかと思うくらい、すでに刻印された文体である。面白かったが、あとで青空文庫に収められていると知った。興味のある方はご覧ください。【中古】太宰治全集〈10〉 (ちくま文庫)/太宰 治
2020.11.02
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正直、この作品をどこに分類するかは迷った。海外文学に入れてもいいのだけれど、読み始めると確かに面白いものの、英国の階級社会に縁のない現代の日本人、華族様のいない日本人には、ピンとこない話でもある。いったんそれを受け入れれば、そして『法と淑女』と同じく、否もっと類型的な人物描写とその展開を受け入れたなら、なかなかの娯楽作品であることは認めてもいい。だがやはり通俗だ。名家の次男が商人の娘に一目ぼれする。恋に盲目になった彼は、秘密結婚を受け入れ、一年後に晴れてその結婚を公にすることを承諾する。ところがその女は顔がきれいなだけですこぶる低俗な女だった。しかも不義密通を犯していた。勘のいい読者は、主人公が気がつく前にそのことに気がつくだろう。娘の父親はまるでテナルディエのようだ。母親がか弱くも善良なのが救いだが、娘の方にはエポニーヌほどの同情も覚えない。そして悪党どもは滅び、身の危険を感じていた主人公は、妹と兄に救われる。『法と淑女』もそうだったが、「主人」が弱弱しく、上流階級の御坊っちゃんが苦悩していることはわかり、同情は覚えるものの、共感はできないのである。読者はむしろ主人公の妹の方に共感するかもしれない。そして通俗であるにもかかわらず、短いエピローグで明らかになるように、事件の後もけなげな妹は兄とともに生活しているのである。結婚もせずに!だからよく考えた末、スリルとサスペンスの妙味を重んじ、『レベッカ』と同じくこのカテゴリーに入れることにした。言い訳である。最後まで主要人物の名前を書かなかった。「バジル」は主人公の名前だが、偽名であるという設定だ。そのほかの登場人物もみな、偽名で書かれてある。出版上必要だったから、というわけだ。要するに上流階級の読み物なのである。【中古】 ウィルキー・コリンズ傑作選(Vol.1) バジル /ウィルキーコリンズ(著者),北川依子(訳者),宮川美佐子(訳者),佐々木徹(その他) 【中古】afb
2020.10.14
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北村宗哲の話も、巻を経るごとに町医の影が薄くなり、最終巻の主役は長井半四郎という浪人である。世が世なら城持ちのはずの彼が、妻のために財産を売り、人を殺め、その妻も亡くし、心ならずも侠客の世界に足を踏み入れ、足を洗い、医者となり、再び妻を娶るまでの連作短編集。まとめていて気がついた。これはもう一人の北村宗哲の物語ではないか。補遺。お話中に、飯岡の助五郎や平手造酒という名前が出てくる。てっきり『座頭市』の創作上の人物と思っていたが、してみると彼らは実在の人物であったということか。【中古】男嫌いの姉と妹 町医北村宗哲/佐藤 雅美、宇野 信哉【中古】 男嫌いの姉と妹 町医北村宗哲 角川文庫/佐藤雅美【著】 【中古】afb
2020.10.09
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『月長石』で有名なウィルキー・コリンズだが、若いころその文庫本の厚さに恐れをなしたのと、その頃はまだ推理小説を年寄りの慰みものとみなしていたこともあって、いまだ書庫のどこかに眠っている。本書は『質屋探偵ヘイガー・スタンリーの事件簿』の巻末の解説に、女性探偵ものの嚆矢として紹介されていたので、手に取ってみたものだ。「ウィルキーコリンズ傑作選11」とあるだけあって、なるほど面白かった。ただそれは物語としての面白さであって、ミステリー要素は濃いけれども、厳密な意味で推理小説であるかはなお疑問が残る。それでも「海外文学」に入れるには人物造型が類型的すぎるので、やはりここに入れておきたい。途中まで読んで連想したのはクリスティの『検察側の証人』だった。法廷小説の古典中の古典だが、あれは自分の夫が有罪だと知っていてなお無罪を勝ち取るべく暗躍する女性の話であった。この小説も妻が夫の無罪を勝ち取るために奔走するのは同じである――本当に無実だったという結論をのぞいては。だが、何という虚しい勝利だろう。妻は夫に事件の真相を告げることができない。そして申し訳ないけれども、この夫は実の母親が語るように「弱い」男である。何よりもまず彼は事件のことを隠して、偽名で結婚した。現代の女性なら、まずそのことに対して憤りを覚えるはずだ。彼が未来の妻となる女性のことを本当に愛しているのなら、結果を怖れず、正直に告白すべきであった。その結果、夫婦二人三脚で事件の真相にたどり着いたのなら、まだ後味がよかっただろう。こうして読み終わった今、本を閉じて思い浮かぶのは影の薄い、弱弱しい夫のことではない。「アウトサイダー」たる不具のデクスター、狂気のデクスター、そしてそんな彼に仕える哀れな知的障害の従妹エアリエル、更には死んだ醜女のサラである。彼らはみな、愛するべき人を間違えたのだ――あるいはそれを運命と呼ぶのかもしれないが。そういう意味では、『ノートル=ダム・ド・パリ』のカジモドと同じくらい、印象に残る「異形の者」たちであった。主人公の義母マッカレン夫人、忠実なベンジャミン、弁護士のブレイモア氏など、他にも類型的ながら魅力的な人物が出てくる。だが、まだ読んでいない読者のために、これ以上語るのはやめよう。すでに情報を与え過ぎてしまったかもしれない。ウィルキ-・コリンズ傑作選(第11巻) 法と淑女 [ ウィリアム・ウィルキ・コリンズ ]
2020.10.03
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日本の名探偵と言えば明智小五郎と金田一耕助以外知らなかった(後の推理小説に出てくる警察関係の「刑事」は探偵ではない)が、ここに「呉田秀雄」という名探偵がいたことを知り、図書館から取り寄せてもらって読んでみた。全24編のうち、17編がソーンダイクの翻案、5編がホームズの翻案、2編がオリジナルくさい作品である。ちなみにホームズものは「河底の宝玉」(「四つの署名」)、「名馬の犯罪」「機関士の拇指」「巻煙草の灰」(「金縁の鼻眼鏡」)、「博士臨終の奇探偵」。オリジナルくさいのは「肝捕り」「床下の怪電話」。あとはおそらくソーンダイクの翻案だろうと思われる。読んでいて、確かにソーンダイク博士はホームズのライバルではあるが、キャラクターが少々異なるので違和感を覚えた。いずれにしろ、警察の鑑識や法医学が発達した現在、100年も前の世界が舞台のこのようなタイプの名探偵が現代に復活することはないだろう。思えば古き良き時代であった。探偵奇譚呉田博士 完全版/三津木春影/末國善己【3000円以上送料無料】
2020.09.15
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昔、『シャーロック・ホームズのライヴァルたち1』という本があった。ヘイガー・スタンリーとはそこで出会った。『犯罪の中のレディたち 下』にも収録されていた。どちらも「フィレンツェ版ダンテ」のお話で、確かにこの短編集から一編を抜き出すならこれしかない、と思うくらいトリックもオチも決まっている。だが収録された文章には、どちらもロマンスの要素が削除されていた。というのもこの短編集はオムニバス連作短編集という性格があり、最初から順番に読んでいく性質のもので、最後にはヘイガーが結婚して終わる、という筋書きになっているものの、いろいろな作家の作品を載せるアンソロジーでは、そういう伏線部分は邪魔だったのだろう。最初読んだときはヘイガーのことを頭は切れるけれど冷たい女だと思ったけれども、今回その印象を払拭することができてよかった。「フィレンツェ版ダンテ」しかない理由をもう少し説明しよう。犯罪小説としては面白いものの、全体の約半分程で、ヘイガーは物語の結末にかかわっていない、知らない。その辺が少々物足りない。「翡翠の偶像」「謎の十字架」「銅の鍵」「秘密の小箱」「ペルシャの指輪」みなそうである。「琥珀のネックレス」「一足のブーツ」は、うぶな読者以外は途中まで読んで結末が透けて見える。「首振り人形」は役者が勢ぞろいする回で、ここだけ抜き出して読んでも興が半減する。「銀のティーポット」はなかなか感動的な話だが、そもそも目の見えない女性に文字がかけるのか、というのと、百歩譲って書けたとして、殴り書きのような筆記が目の見える女性のように丁寧な文字で書かれるようになったのを、まず疑問に思わないほど男は馬鹿なのか? それでも男は女を愛していたと言えるのか? と思ってしまう。要するに作り物であることが見え見えなのだ。質屋探偵ヘイガー・スタンリーの事件簿 [ ファーガス・ヒューム ]
2020.08.28
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思考機械の短編集は、正式には、2冊しか刊行されていない。創元推理文庫の3冊本は、単行本未収録のものも含めてのものだ。本巻で第2短編集収録作品は「オペラボックス」「失われたネックレス」「嫉妬する心」「完璧なアリバイ」「幽霊自動車」「茶色の上着」「余分な指」「妨害された無線の謎」の8編。「幽霊自動車」のトリックは、子ども向けのミステリークイズ本で昭和の昔から使い古されて陳腐になってしまった。「失われたネックレス」のレイトンは犯罪の天才というふれこみだがモリアーティには及ばないし、単行本未収録作「絵はがきの謎」で再登場したものの、あっけなく捕まってしまう。これなら遺作となった「泥棒ガラス」の二人組の方がよっぽどピカレスクである。単行本未収録作品は上記の2作の他に、「にやにや笑う神像」という一見オカルトもの、「偉大な論理家との初めての出会い」というハッチンソンじゃない弁護士の述懐、「紐の結び目」「盗まれたルーベンス」「三着のオーバーコート」「オルガン弾きの謎」「隠された百万ドル」「タクシーの謎」「コンパートメント客室の謎」「バツ印の謎」「女の幽霊鵜の謎」「銀の箱」、禁断の双子トリックの「囚人九十七号」、「空き家の謎」「赤いバラの謎」「消えた男」「壊れたブレスレット」、遺作となった「救命いかだの悲劇」「無線で五百万」「科学的殺人犯人」。見てわかるように、「謎」(problem)というタイトルの話が多い。つまりこの頃は推理小説がトリック小説でもあった、幸福な時代でもあったのだ。中にはどうかと思う作品もあるが、それはホームズものも同じ。読者も質より量を求めたのかもしれない。「呪われた鉦」は日本絡みの短編だが、ある長編小説と抱き合わせで単行本になった経緯がある。これこそ純粋なミステリーというよりオカルトだと思うが、思考機械は問題にもしていない。巻末の「巨大のスーツケースの謎」は、ホームズものパスティッシュである。実際にあった事件をもとにしているので、ホームズの推理が当たったかどうかが明白になる。フットレルがこの後思考機械ものを創造したのは、あるいはその結果に満足しなかったせいかもしれない、と思う。忘れていた。マーサの存在だ。ホームズものでいえばハドソン夫人に当たる女性だが、もっと年配だ。だが教授のお世話はこれくらいでなければ務まらないのかもしれない。思考機械 完全版 第2巻/ジャック・フットレル/平山雄一【1000円以上送料無料】【中古】 思考機械の事件簿 3 / ジャック フットレル, 吉田 利子 / 東京創元社 [文庫]【宅配便出荷】
2020.06.19
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『隅の老人 完全版』に続く、シャーロック・ホームズのライバルたちの作品全集。作品社ならではの企画で、その道のファンや図書館での購入を当て込んだものだろう。つまり、それだけの資料的価値があるということだ。推理小説にはいろいろな楽しみ方がある。ホームズの場合などは、探偵の行状を楽しむ探偵小説といった趣も強く、フットレルの思考機械ことオーガスタス・S・F・X・ヴァン・デューセン教授も、シャーロックに負けず劣らず個性的だ。その容貌や癖についてはかつて創元推理文庫等で親しんだ方はよくご存じだろう。「不可能な事を消去していき、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実である」はよく知られたホームズの名言だが、教授の場合は「不可能などというものはない。そんなことを言うな。不愉快になる」であり、「初歩的だよ、ワトソン君」に当たるのは「2+2は常に4である」だろうか。「いやはや!」もよく耳にする言葉だ。教授と言えばモリアーティ教授を思い出す。実際、デューセン教授は光のモリアーティと言えないこともない。そしてこのモリアーティが探偵業を行う時、ワトソンに相当するのはハンチンソン・ハッチという新聞記者である。記者としては有能だが、教授の前ではまるで子どもだ。しかもその教授の風貌が、頭でっかちで子どもに似ていないこともないというのだから可笑しい。レストレイド役も登場する。長編メロドラマ「黄金の皿を追って」では最高頭脳と評されているマロリー刑事だ。他の作品にもよく顔を出すが、所詮教授の引き立て役である。第1巻、ことに最初の方を読んで驚いたのは、推理小説の楽しみ方が「謎解き」にあった時代があったということだ。勿論今でもそういう読み方は作品にもよるが可能だろう。だが、新聞社が読者にクイズのように懸賞金を出すなどというのは、現代ではありえないだろう。構成について。第1巻は長編「黄金の皿を追って」の他、第1短編集の全作品(「十三号独房の問題」「ラルストン銀行強盗事件」「燃え上がる幽霊」「大型自動車の謎」「アトリエの謎」「赤い糸」「記憶を失った男の奇妙な事件」)と、第2短編集よりハンチンソン・ハッチとの出会いを書いた「思考機械」以下「楽屋『A』号室」「モーターボート」「水晶占い師」「ロズウェル家のティアラ」「行方不明のラジウム」を所収。「百万長者の赤ん坊ブレークちゃん、誘拐される」「黄金の短剣の謎」「命にかかわる暗号」「絞殺」「紐切れ」は単行本未収録作品である。代表的短編「十三号室」「思考機械」を別にすると、この中で興味深かったのは悪女が活躍する「命にかかわる暗号」と日本人が「活躍」する「モーターボート」だった。「行方不明のラジウム」といい、20世紀初頭の世界情勢を反映したものだろう。そういえば「黄金の皿」の冒頭にも、ミカドに扮した仮面舞踏会の参加者の姿があった。骨相学とか、時代遅れの「科学」に関するツッコミはやめておこう。読者はただ、トリック物語が黄金期だった頃の短編小説を楽しめばいい。そして、ヴァン・デューセン教授語るところの論理の道筋にうっとりと酔いしれればいいのだ。年代物のワインを愉しむように。思考機械 完全版 第1巻 / 原タイトル:The Problem of Cell 13 原タイトル:The Ralston Bank Burglaryほか[本/雑誌] / ジャック・フットレ著 平山雄一/訳
2020.06.08
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クロフツと言えば、『樽』で有名なミステリー作家である。しかもミステリーの論創社から出ているので、これはきっとイエス・キリストの謎に迫る物語に違いない、と思って手に取ってみたら、違った。簡単に言えば、これはウォルター・ワンゲリンの本の先輩格に当たる本であり、もっと言えば、この本が先に日本語訳されていたならば、『小説「聖書」新約篇』は読まずに済んだというくらいの、立派な書物である。単なる小説というにとどまらず、四福音書間の矛盾に見える構成や記述について、いかにも推理小説作家らしい合理的な説明を随所に披露する。たとえば有名な「ペテロが三度否認した」逸話について、四人の伝記作家がそれぞれ細部で異なっていることについて、記憶に基づく記述だからだ、と推測する。言われてみれば、福音書は聖書版「如是我聞」に相違ない。5つのパンと2匹の魚についても、実はイエスの心意気に打たれて、みんなが自分の食料を出し合ったのかもしれない、という仮説を提示する。パンと魚は、主食と副菜の象徴だったというわけだ。あるいは処女降誕。精霊云々はともかくとして、実は「若い乙女」の誤訳だったかもしれない可能性を示唆する。そういえば本書には出てこないが、「駱駝が針の穴を」の「駱駝」は、「ロープ」の誤訳ではないかという説もあったことを思い出す。勿論、精霊とか天使とか復活とかは、信者でもない凡夫にとってはなかなか首肯しがたい問題である。しかしそれでもなお、クロフツの筆を借りて再構成されるイエスの言葉は、何と美しく、説得力があり、感動的であることか。しかも彼は、福音書と註解書を杖にして、誠実かつ忠実に読者に語り掛けているにすぎないのである。【新品】【本】四つの福音書の物語 F・W・クロフツ/著 熊木信太郎/訳
2020.06.07
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三巻目に入って各話の繋がりがより強くなった。切った張ったの剣呑な立ち回りが増えたというべきか。そんな中で、表題作は蘭医が漢方医に喧嘩を売ったばかりに…という話である。『陽だまりの樹』や『藩医三代記』でもモチーフになっているが、西洋医学の内科が強いのは感染症に対してであって、それも19世紀の水準では到底お粗末、だから『JINー仁ー』のような漫画が面白いのだと言っておこう。【中古】 口は禍いの門 町医北村宗哲 /佐藤雅美【著】 【中古】afb【中古】口は禍いの門 町医北村宗哲 (角川文庫)/ 佐藤 雅美、 宇野 信哉
2019.08.12
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『やる気のない刺客』の前日譚、というかこれがそもそもの始まり。始まりだけあって、文体に意気込みが見られる。慣れてくると、いい意味でも悪い意味でも肩の力が抜けるものだ。漫画と同じである。また、主人公の宗哲がいかにして医術を身に付けたか、やくざから追われる身になったか、開業したか、身を固めたかがよくわかる一冊でもある。【中古】 町医北村宗哲 / 佐藤 雅美 / 角川書店 [単行本]【宅配便出荷】【中古】町医 北村宗哲 (角川文庫)/ 佐藤 雅美
2019.07.29
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時代小説だが犯罪小説的要素もあるのでここに分類した。時は幕末。江戸の町医者北村宗哲は薬剤師、じゃなかった、元やくざの医師である。腕はそこそこいいのだが、足を洗った昔稼業の影響もあって、いろいろ厄介ごとが舞い込んでくる。『赤ひげ診療譚』のような連作小説集ではあるが、こちらの方がちと軽い。しかもまだまだ続けられそうな雰囲気である。【中古】afb_【単品】_やる気のない刺客—町医北村宗哲【中古】やる気のない刺客 町医北村宗哲 (角川文庫)/ 佐藤 雅美と思ったら、あったあった。【中古】本セット 町医・北村宗哲 佐藤 雅美 4点。全ての巻に帯付属。『町医 北村宗哲』というのが第1巻らしい。蛇足。作者は女性かと思ったら、男性でした。「まさよし」と読むそうです。
2019.07.27
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文庫化されたものを本屋で座り読み。さきに映画を観てしまったので、500ページ近い本書もスラスラ読めた。それくらい映画は原作に忠実だった。ただ読みながらキャラクターがかぶってしまったのは閉口した。原作に忠実、と書いたがもちろん違うところもある。最大の違いは「テスト」だろう。これは映画にはないものだが、小説では、サトシの「企図するもの」を暗示するアイテムである。ユリの存在は映画の方が明示的だが、これは言葉ではなく映像で説明しなければならない媒体の宿命だろう。アンリの信念や宿業は、原作の方がより凄まじいが、これを忠実に映画化すると観客はついていけないだろう。メイコの幼児的攻撃性(ファザコンぶり)も同様である。もっともフィクショナルかつ戦慄的なのは、主催者サトシの年齢が14歳ということだ。これはいくら何でも映像化できない。だが小説ではアリだ。そのことの意味を、本書を読む大人たちは肝に銘じておく必要があるだろう。【中古】 十二人の死にたい子どもたち 文春文庫/冲方丁(著者) 【中古】afb
2019.02.05
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『蒼穹の昴』の続編である。それなら同じカテゴリーでもよさそうなものじゃないか。ごもっともである。そうしてもよかったのだが、あえてこうした。ところで、珍妃とは誰か。西太后の実子、光緒帝の側室である。西太后と光緒帝は親子であるが、親政以後、権力抗争に明け暮れもした。光緒帝は開明派、西太后は守旧派。だから欧米中心の歴史観では西太后は悪玉である。小説の中とはいえ、そうした歴史観に一石を投じたのが『蒼穹の昴』だった。そのことの是非は問うまい。だが珍妃の死については定説がある。殺したのは、少なくとも命じたのは西太后だと。浅田次郎はこれにも一石を投じた。物語は芥川龍之介の『藪の中』ばりに展開する。はたして、珍妃をほんとうに殺したのは誰だったのか?最後の頁まで読む者は、すべからく頭を垂れるだろう。素晴らしいミステリーである。【中古】afb_【単品】_珍妃の井戸_(講談社文庫)
2018.06.10
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ツイスト博士シリーズの第一弾。フェル博士シリーズの変形だそうである。つまりポールは正しくカーの衣鉢を継ぐ存在というわけだ。そのせいというわけでもあるまいが、本作の舞台はイギリス、登場するのはみなイギリス人である。かててくわえてアーサーの『霧の国』となればこれはもう…物語は第二部で問題編が終わる。幕間の第三部ではじめてツイスト博士の名前が登場し、第四部が解答編かと思いきや、第五部があった! という二転三転する展開。最後の一行を読み終わるまでまったく先が読めなかった。脱帽である。【中古】 第四の扉 ツイスト博士シリーズ ハヤカワ・ミステリ/ポール・アルテ(著者),平岡敦(訳者) 【中古】afb
2017.01.05
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映画の原作。当然のことだが、映画にないエピソードや要素(とりわけ犯人の最期)が盛り込まれ、なかなか読みごたえがある。江戸川乱歩賞を受賞したのもむべなるかな、だ。主人公が大人になるまでの生い立ち等についてはどちらもほぼ共通しているが、ミュンヒハウゼン症候群とか感情表出障害という医学用語に交じって、小説では自閉症という言葉が出てくる。主人公は無論自閉(スペクトラム)症ではないが、誤解を恐れずに言えば、ある種自閉症の理想形と言えなくもない。映画化にあたってこの言葉を慎重に削除したのは、「脳男」が凶悪犯殺しとはいえ殺人犯であることから、自閉症に対する世の誤解や偏見が広まるのを懸念してのこと、あるいはそう懸念する当事者・団体からの抗議をおそれてのことと思われる。脳男 (講談社文庫)・講談社/首藤 瓜於【中古】【中古】脳男 / 首藤瓜於
2016.09.30
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図書館を逍遥してたら、こんなのを見つけた。なつかしくてつい手に取ってみる。5篇中4編が時間に関連した話であった。「未来人F」有栖川有栖舞台は一応1960年代だが、小林、明智、二十面相の口を通して書き手の執筆年代に言及するというメタ短編。「五十年後の物語」歌野晶午現在、五十年前、現在。ノスタルジックに読んでいると背負い投げを食わされる。「闇からの予告状」大崎梢金田一少年やコナンが漫画で活躍している時代です、当然…しかし、二十面相の正体は?「うつろう宝石」坂木司文体は正統派。ただ小林少年はすでに青年となり、名探偵と怪人は…タイトルの宝石とは明智と二十面相の隠喩でもある。「溶解人間」平山夢明妖怪人間ベムをもじったタイトル。乱歩先生はSFには手を出さなかったけれどなあ…【送料無料選択可!】みんなの少年探偵団 2[本/雑誌] / 有栖川有栖/著 歌野晶午/著 大崎梢/著 坂木司/著 平山夢明/著
2016.06.11
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「付けぼくろ」J・D・ベレスフォード誰が誰を殺し、なりすましたのか?「山の秘密」C・ボベット絞首刑を逃れた犯罪者の顛末。「開いていた窓」K・R・G・ブラウンアリバイ作りに利用された男。ネタはありがちだが、読後感がいい。「毒薬の瓶」バーナード・ケープスこれも古典的なネタですれた読者にはトリックがすぐわかる。青酸は実は…「火曜ナイトクラブ」アガサ・クリスティ同名の短編集(邦題は『ミス・マープルと十三の謎』)の冒頭を飾る一篇。「死の日記」マーティン・カンバーランド密室殺人の真相と狂気。「誰がカステルヴェトリを殺したか」ギルバート・フランコウ物語の語り手は作者と同じ名前の【ぼく】。探偵役の女性はおそらく真相を嗅ぎ当てるのだが、犯人の心臓の方が一枚上手だった。「夕刊最新版」ケルマン・フロスト自殺に見せかけた殺人事件。しかしその時刻に届くはずのない夕刊が…「ガーターの夜」アーサー・ホファム幸運の宝石を手放したがらない持ち主がとった方策は。オチはまるでルパン三世。「《セブン》の合図」ジョン・ハンターある凶悪犯罪組織の最期。前口上通りの意外な結末を堪能すべし。「犯罪の芸術家」デニス・マッケイルおしゃべりモデルとボール紙でできた金庫箱。「圧倒的な証拠」バロネス・オルツイ突然現れ、裁判にも勝った家督要求者の正体は? 危機一髪氏が活躍する珠玉の短編。「ラングトン事件」グラディス・セント・ジョン=ロウ愛に破れた男の絶望と復讐譚の真相。「動機」ロナルド・ノックス《晶文社》ロナルド・ノックス 編 ; 宇野利泰, 深町真理子 訳◆探偵小説十戒 : 幻の探偵小説コレクション 【中古】afb【メール便送料無料、通常24時間以内発送、午後1時までは当日発送】【中古】 探偵小説十戒 幻の探偵小説コレクション / ロナルド・ノックス / 晶文社 [単行本]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2016.03.26
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彼女の短編には毒がある。まるでサキのように。…「事件の後に」一座にとって厄介者だった女を殺った真犯人は誰か。みんな役者なんだよねえ。「血兄弟」義兄弟ならぬ実の兄弟は、お互い擦りあっていたのでした。「婚姻飛翔」かなり本格。女王蜂と番えるのはたった一匹の雄蜂というが…真相を見抜かれた後の豹変が見もの。「カップの中の毒」毒は入っていませんでしたが、もっと大事なものも入っていませんでした。「ジェミニー・クリケット事件」誰が誰に真実を伝えるかで変わる読後感。こちらの方が原文だという。著者の意地の悪い、悪夢のような結末を一ダースも見せられたあとではそれも納得。個人的にはアメリカ版の方が好きである。「スケープゴート」犯人は彼だった。間違いなかった。ただ演出があった。また少年は知らなかった。自分の実の父親を。「もう山査子摘みもおしまい」読者(神)には犯人が分かっている。けれど人々は嘘をつき…クリストゥは十字架にかけられる。「スコットランドの姪」二転三転する展開。スコットランドの姪が本当は誰なのか、最後の一行で明らかになる。「ジャケット」アリバイ作りのための証人が命取りになるとは。三文作家の末期。「メリーゴーラウンド」因果は続くーよーどーこーまーでーもー♪「目撃」彼女が真実を知りかつ沈黙を選んだのもまた、神の御業であろうか?「バルコニーからの眺め」妄想にとりつかれていなければ、完全犯罪だったのにね。「この家に祝福あれ」キリストの再臨を信じたばかりに…ブラックな結末と皮肉なタイトル。「ごくふつうの男」サイコな男を扱うコツ。「囁き」法の目はかいくぐれても、人の口に戸は立てられぬ。「神の御業」娘をひき逃げした犯人に、この量刑では手ぬるすぎる…【メール便送料無料、通常24時間以内発送、午後1時までは当日発送】【中古】 招かれざる客たちのビュッフェ / クリスチアナ・ブランド / 東京創元社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2016.03.09
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「ミスター・ビッグ」ウディ・アレン彼女は「神」を殺した。その動機は? 最後まで狐につままれたような一篇。『これでおあいこ』所収。「はかりごと」小泉八雲「かけひき」というタイトルの方が個人的になじみがある。「動機」ロナルド・A・ノックス自殺するために架空の殺人を犯した男の話には、さらにオチがあった。『探偵小説十戒――幻の探偵小説コレクション』所収。「消えた美人スター」C・デイリー・キング人騒がせな事件でやんす。『世界ベスト・ミステリー50選』所収。「密室 もうひとつのフェントン・ワース・ミステリー」ジョン・スラディック楽屋落ち的メタ・ミステリー。「白い殉教者」西村京太郎氏の小説を読むのはこれが初めてだが、なかなかのトリック。末尾も余韻があっていい。『一千万人誘拐計画』所収。「ニック・ザ・ナイフ」エラリー・クイーン戯曲ミステリー。「不可能な要素を排除していけば…」のお手本のような筋書きだが、それでもひっかかってしまうのが作者のうまいところ。「誰がベイカーを殺したか?」エドマンド・クリスピン&ジェフリーブッシュこの問いかけ自体に罠が隠されていることに気がつく読者は、まずいないだろう。「ひとりじゃ死ねない」中西智明なんだこんなの、ミスリードには引っかからないぞ、と思っていると…怖い結末。「脱出経路」レジナルド・ヒルまるでゴルゴ13みたいな…。個人的にはこれが一番好き。『バスコ―の幽霊』所収。「偽患者の経歴」大平健事実は小説より奇なり。本当の患者は…。『顔をなくした女――<わたし>探しの精神病理』所収。「死とコンパス」ホルヘ・ルイス・ボルヘスすべては彼をおびき出すための罠だった。『ボルヘスとわたし――自撰短篇集』所収。【中古】 法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー 角川文庫/法月綸太郎(編者) 【中古】afb参考図書『デイン家の呪い』『処刑6日前』『真鍮の栄光』『さむけ』『ねじれた奴』『刑事くずれ』『暗闇にひと突き』『沈黙のセールスマン』『匿名原稿』『深夜回線の女』『大いなる沈黙』『ブラック・ハート』『密室大集合』『タラント氏の事件簿』『これが密室だ!』『サム・ホーソーンの事件簿』『トレント最後の事件』『カリブ諸島の手がかり』『毒入りチョコレート事件』『ナイン・テイラーズ』『サンタクロース殺人事件』『腰ぬけ連盟』『ユダの窓』『ある詩人への挽歌』『野獣死すべし』『猿来たりなば』『赤い右手』『自宅にて急逝』『五番目のコード』『ママは何でも知っている』
2016.03.05
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最晩年の長編『フランクフルトへの乗客』にもみられるように、女史の価値観は保守的だ。かつ英国的である。だから、大の虫を生かすために小の虫を殺して良いなどとは決して言わない。それはディケンズが『クリスマス・キャロル』で明確に否定した思想である。それもまた英国の良き伝統なのだ。「私は国家のことなどに従っているのではありません。私のたずさわっているのは自分の命を他人から奪われない、という権利を持っている個々の人間に関することです」エルキュール・ポワロ【メール便送料無料、通常24時間以内発送、午後1時までは当日発送】【中古】 愛国殺人 / アガサ・クリスティー / 早川書房 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】【中古】 愛国殺人 ポアロ ハヤカワ文庫クリスティー文庫19/アガサ・クリスティー(著者),加島祥造(訳者) 【中古】afb
2016.02.18
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御年八〇歳の作である。本人曰く、ファンタジイだそうだが、どちらかと言えば映画的、あるいはコミック的な冒険物語だ。第一、冒頭の主人公とヒロインの出会いからしてふるっている。そこからつぎつぎと謎が謎を呼ぶ展開は、『シャレード』に勝るとも劣らない。クリスティーは保守的だ。頑固なまでに保守的だ。マチルダおばさん(ガンダムとは関係ない)は彼女の分身だろう――ティプトリーのような例もあるから文体と著者の性別を即座に結びつけて考えるのは危険だが、この作者の文体は女性的に饒舌で、覆面男性に書ける類のものではなかろうと思う――。御年八〇歳の女史の目に学生運動やら何やらがどのように映ったかは想像に難くない。しかしそこから壮大な陰謀話を思いつくところが女史の才能である。もちろん彼女はそんな陰謀を信じていない。だからファンタジイと自ら呼ぶのであるが、実はひそやかな寓意を読み取ってほしいという自負が行間に見え隠れしているのである。 【中古】文庫 ≪海外文学≫ フランクフルトへの乗客 / アガサ・クリスティ【画】【中古】afbフランクフルトへの乗客 ハヤカワ文庫 / A.クリスティー 【文庫】
2016.02.16
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「酔いどれ弁護士」レナード・トンプスン密室物が2編。どちらも16歳の少年の作とは思えないくらい完成度が高い。エラリー・クイーンのコメントがまた秀逸。『名探偵パトロール』収録。「ガラスの橋」ロバート・アーサー犯人は真実を語りながら韜晦に酔っていた。それを見抜かれたとき…「やぶへび」ローレンス・G・ブロックマン「五十一番目の密室」より先に読むべし。策士策に溺れるの典型。「ケーキ箱」深見豪…だれにやられた。「ライツヴィル殺人事件」新井素子・秋山狂一郎・吾妻ひでおえー、毎度莫迦莫迦しいお噺を…「花束の秘密」西條八十カナリアの詩人の本格短篇。「倫敦の話」ロオド・ダンセイニ「客」ロオド・ダンセイニ「夢遊病者」カーリル・ギブラン以上西條八十の訳による幻想的掌編。「森の石松」都筑道夫清水の次郎長と言われても若い人は知らないだろうな…歴史ミステリ。「わが身にほんとうに起こったこと」マヌエル・ペイロウミステリというよりSFだと思うのだけれど。『アルゼンチン短編集』収録。「あいびき」吉行淳之介あいびきという言葉を辞書で調べてみよう。「ジェミニー・クリケット事件」(アメリカ版)前に紹介したのがこれだそうな。イギリス版は『招かれざる客たちのビュッフェ』に収録。【メール便送料無料、通常24時間以内発送、午後1時までは当日発送】【中古】 北村薫の本格ミステリ・ライブラリー / 北村 薫 / 角川書店 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2016.02.10
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若かりし頃はじめてそして唯一読んだクリスティの長編小説(ちなみに短編は『検察側の証人』を読んだ)。その頃は作者が女性であるとも知らず、ただただその物語構造、語り口のうまさにつられて読んだのを覚えている。今回何十年かぶりに読み返して、犯人が「最後の一人ではない」と知っていたはずなのに、トリックを忘れていたために、見事にまた背負い投げを食らってしまった。なお、この小説はすでに伝説的古典であり、さまざまなところで派生作品を生んでいる。「〆切りだからミステリーでも勉強しよう」もそうだし、むかしむかし『うる星やつら』にも似たような話があったのを思い出す。そして誰もいなくなった/アガサ クリスティ(著), 清水 俊二 (翻訳)昭和50年発行・ハヤカワ・ミステリ文庫【中古】
2016.02.08
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「埋もれた悪意」巽昌章どちらが本物? どちらも本物? 尋ね人探しの顛末。「逃げる車」白峰良介命の次に大事な車をお釈迦にしてまで着いた病院で飲んだ薬は…脚本みたいな短編。「金色犬」つのだじろう『コナン』や『金田一少年』の大先輩にあたる貸本漫画。乱歩的展開で真犯人の見当はつくが、よく考えればまだ少年探偵シリーズが連載されていた時期であった。「五十一番目の密室」ロバート・アーサー密室物の白眉。「<引き立て役倶楽部>の不快な事件」W・ハイデンフェルトワトソンやヘイスティングが道化役を演じる密室物の極北。『ホームズ贋作展覧会』所収。「アローモント監獄の謎」ビル・ブロンジーニ絞首刑になったはずなのに消えた死刑囚。そのトリックは…「生死線上」余心楽台湾の鮎川哲也によるトラベル・ミステリー。「氷の柱」上田廣車掌さんの推理が冴える書簡を上手に使った佳品。「『わたくし』は犯人……」海渡英祐トリックをトリックにした完全犯罪の内幕。「見えざる手によって」ジョン・スラディック才能の枯れた芸術家をつかって大儲けした男。だが…【メール便送料無料、通常24時間以内発送、午後1時までは当日発送】【中古】 有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー / 有栖川 有栖 / 角川書店 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2016.02.04
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世界ミステリ全集18。うち14編は『天外消失』とかぶっているのでその他について。「虹をつかむ男」ジェイムズ・サーバー夢こそわが人生。「うぶな心が張り裂ける」クレイグ・ライスあの男 あんたのせいで 絞首刑そりゃあんまりだ お嬢さん若者の うぶな心が 張り裂けるそれを承知で だますとは――「燕京綺譚」ヘレン・マクロイ19世紀末の中国が舞台のミステリ。男は碧眼の美女を国宝で贖ったつもりだったが…「九マイルは遠すぎる」ハリイ・ケメルマンホームズの短編の冒頭部分を切り取って深化させたような…。「魔の森の家」カーター・ディクスン日本でいえば江戸川乱歩を思わせる、猟奇的なバラバラ殺人事件。「北イタリア物語」トマス・フラナガンこれも歴史ミステリ。マキャベリイが書いた書簡という体裁をとっているのが凝っている。それにしても後味の悪い騙し方、と思うのは民主主義の申し子だからだろうか。「百万に一つの偶然」ロイ・ヴィカーズその犬は、自分の息子を殺した犯人を訴えたのだろうか?それとも、自分の父親を…「少年の意志」Q・パトリック軒先を貸して母屋を取られる。一難去ってまた一難。「銀の仮面」にひとひねり加えたような味。「五十一番目の密室」ロバート・アーサー殺人現場を見世物にする理由とは…。密室物の傑作。余談だが、本編を読むとヘレン・マクロイとブレット・ハリデイが夫婦であることが分かる。そういう楽屋落ち的短編でもある。「燈台」E・R・ポー&R・ブロックポーの遺作をブロックが書き継いだという趣向の短編。人はあまりに孤独になりすぎると、海草が薔薇に、溺死体が絶世の美女に見えるものだろうか…。「おとなしい兇器」ロアルド・ダールよくあるトリックのオリジナル。「長距離電話」リチャード・マシスン長距離というのは必ずしも物理的な意味ばかりではなく…「歩道に血を流して」エヴァン・ハンター少年は死にかけている。刺されて。人違いで。だが、誰も彼を助けようとしなかった…。「死刑執行の日」ヘンリイ・スレッサー殺人犯を死刑に決めた後、「わたしがやったんです」と言い出してきた老人があった。検事は彼を…。この人はこういうコントがうまい。ただそれだけではあるが。「死者のポケットの中には」ジャック・フィニィヒッチコックの映画にありそうな一篇。「ヨット・クラブ」デイヴィッド・イーリイ第一線から身を引いた実業家たちのヨット・クラブ。しかしてその実態は…。ルフィたちが聞いたら激怒するだろうな。「クライム・マシン」ジャック・リッチータイム・マシンを逆手にとった大掛かりな詐欺。なおこのトリックは江戸川乱歩も『地底の魔術王』で使っている。「一滴の血」コーネル・ウールリッチ昼間見つからなかった証拠が、どうして夜中に見つかったか?「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」ウイリアム・ブルテン綿密な完全犯罪のはずが…。頭隠して尻隠さず。「アスコット・タイ事件」ロバート・L・フィッシュシュロック・ホームズがとんちんかんなことばかりする抱腹絶倒のパロディ。「選ばれた者」リース・デイヴィス老婆の青年に対するご執心はよくわかるが、この短編のオチが一番ピンと来なかった。「長方形の部屋」エドワード・D・ホックこれは殺人ではなかった。復活のための儀式だったのだ。え?「ジェミニイ・クリケット事件」クリスチアナ・ブランド少年が持ち掛け、老人が安楽椅子探偵になる。だがその二人とも○○○だとお互いに知らない。ここは…なお、太字作品は以下にも収録。51番目の密室 ハヤカワ・ポケット・ミステリ / 早川書房 【新書】参考図書。マローン売り出す クレイグ・ライス/小鷹信光訳 /出版社:光文社ハヤカワ・ミステリ文庫 HM 19‐2九マイルは遠すぎる/ハリイ・ケメルマン/永井淳/深町眞理子【後払いOK】【1000円以上送料無料】
2016.01.31
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「道化の町」ジェイムズ・パウエルピエロの町で起きたピエロの殺人事件。オチもピエロ的で…「ああ無情」坂口安吾ユゴーの大作とは何の関係もない無頼派の作家が描く、ヴィクトリア朝ならぬ19世紀末の日本で繰り広げられる殺人事件。勝海舟が活躍(?)。「足あとのなぞ」星新一『ちぐはぐな部品』収録。これが本格ミステリか否かは読者の判断による。「大叔母さんの蠅取り紙」P・D・ジェイムズマックスを殺人者にしないために苦しんだグレアムを髣髴とさせるような一篇。「イギリス寒村の謎」アーサー・ポージス『そして誰もいなくなった』のように次々と起こる殺人事件。最後に残ったのはただ一人。しかし殺人者はその人ではなかった…「Zの悲劇」「僧正殺人事件」「グリーン殺人事件」高信太郎高名な小説の名前を借りたパロディマンガ。「〆切りだからミステリーでも勉強しよう」山上たつひこ植草甚一ではなく『そして誰もいなくなった』のパロディ。「女か虎か」フランク・R・ストックトン既出。「三日月刀の促進士」フランク・R・ストックトン解答編になっていない続編。しかもこちらの方が難しい。「女か虎か」の方はおそらく…「謎のカード」クリーヴランド・モフェット見知らぬ人にもらったそのカードを人に見せると、みんな態度が豹変した。いったいなぜ?「謎のカード事件」エドワード・D・ホックモフェットの短編に対するよくできた解答編。「最後の答」ハル・エルスン最後の質問だ。おれはまともだと思う? それともきちがいかな? と殺人者は言った。「ファレサイ島の奇跡」乾敦ブラウン神父のパスティッシュ。「新納の棺」宮原龍雄毒殺トリックと死体のす…「最後で最高の密室」スティーヴン・バー密室ミステリの極北。既出。「密室学入門 最後の密室」土屋隆夫個人的にはこちらの方が「最後で最高の密室」だと思う。オチも秀逸。「真鍮色の密室」アイザック・アシモフ悪魔との知恵比べ。言語表現の盲点を突く突破法に、『賭博覇王伝 零』を連想した。「マイナス 1」J・G・バラード患者が逃亡した? 否、そんな患者などそもそもいなかったのだ。家族が面会に? そいつはきちがいだ…『時間の墓標』収録。【中古】 山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー 角川文庫/山口雅也【編】 【中古】afb
2016.01.18
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幻のアンソロジー『37の短編』から、他ではなかなかお目にかかれないもの再収録したもの。さてそのお歴々はといえば――「ジャングル探偵ターザン」エドガー・ライス・バローズ既視感があったので確認してみた。やはり『ターザンの密林物語』に収録されていた。ただしタイトルが違ったので(「ティーカ争奪戦」)念のため原文を当たってみたところ、間違いなかった。「死刑前夜」ブレット・ハリデイ処刑されるのが誰ならば面白い小説になるか、読書家なら途中で見当がつく。それでも最後まで読ませ、再読を促す筆力はさすが。味付けはO・ヘンリー風。「殺し屋」ジョルジュ・シムノンメグレ警部の仕事を手伝いたいと志願してきた男。その動機は? 盗賊団の首領は実は彼の…「エメラルド色の空」エリック・アンブラー引退した外国人の元警察官が気がついた事件の真相。副総監の最後の表情が見てみたかった。「後ろを見るな」フレドリック・ブラウン『まっ白な嘘』収録。「天外消失」クレイトン・ロースンSFのような出だし。実は精神病者の妄想をダシにして、奇術的トリックを用いた殺人事件。真相に挑むのは奇術師探偵マリーニー。「この手で人を殺してから」アーサー・ウイリアムズウィリアム・アイリッシュも似たような方法をとっていますが、こちらのほうがより完璧。『懐郷病のビュイック』ジョン・D・マクドナルド村の天才少年が気がついた強盗殺人団の行方。「ラヴデイ氏の短い休暇」イーヴリン・ウォーやさしい心の持ち主は/いつでもどこでも/われにもあわずとして受難者となる。「探偵作家は天国へ行ける」C・B・ギルフォード誰が俺を殺したのか? 気になって気が休まらない作家は、自力で謎を解くために、天国の計らいで殺される当日に一日だけ下界に戻られることになった。結末を変えれば映画になる一篇。「女か虎か」フランク・R・ストックトン臣下の美青年が美しい王女と恋をしたことが発覚し、裁判にかけられることに。手続きは簡単。闘技場に入り、ふたつの扉のうち、どちらかを開けること。一方には猛虎、一方には王女以外の絶世の美女。王女は美青年に合図した。彼女はどちらが猛虎でどちらが美女か知っていたのだ。果たして青年の運命は――? 続編「三日月刀の促進士」「白いカーペットの上のごほうび」アル・ジェイムズ色仕掛けで男を騙して、人殺しの尻拭いをさせようなんて、そりゃあーた、虫が良すぎますぜ。「火星のダイヤモンド」ポール・アンダーソン「バスカヴィル家の宇宙犬」とは一味違う、ホームズ・パスティッシュSF版。「最後で最高の密室」スティーヴン・バー抗議の焼身自殺というのは『宋家の三姉妹』にもありましたが…【送料無料】 天外消失 世界短篇傑作集 ハヤカワ・ポケット・ミステリ / 早川書房 【新書】------------------なお、こんな紹介文もあります。個人的な宿題。『帽子から飛び出した死』『虚空から現れた死』クレイトン・ロースン
2015.12.01
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交通事故で死なせてしまった女の恋人に殺されかけた男の話。じゃ、なかったんだよなあ、これが。謎が謎を呼び、関係者が次々に亡くなり、SFかと思えばホラー。でも全体の構成は紛れもなくミステリー。連想したのは『鉄腕アトム』と『ピグマリオン』とレイモンド・チャンドラーの長編。タイトルはもちろん、ダイイング・メッセージのもじり。 【古本】ダイイング・アイ/東野圭吾【中古】 afb
2015.11.17
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「黄色いなめくじ」H・C・ベイリーフォーチュン氏の活躍する好篇。子どもに罪を着せようとした真犯人の正体は…「見知らぬ部屋の犯罪」カーター・ディクスン(ディクスン・カー)短篇トリックネタもそろそろ尽きつつある時代。色盲をオチにつかうとは、ねえ。「クリスマスに帰る」ジョン・コリアー『炎のなかの絵』収録。「爪」ウィリアム・アイリッシュ証拠隠滅の方法。グロの程度は『特別料理』ほどではないかもしれないが…「ある殺人者の肖像」Q・パトリック子の心親知らず、親の心子知らず。「十五人の殺人者たち」ベン・ヘクト医者は合法的に人を殺せる職業だが、これは誤診の懺悔話。十五人目の告解者はしかし告解ではなく、患者が死んだと偽って助言をもらいに来たのだった。推理小説にしては珍しく後味がさわやかな短篇。「危険な連中」フレドリック・ブラウンお互いに相手をキ印の人殺しだと思い込んでいる二人の乗客は臨戦態勢にあった。そこへ本物の殺人犯が乗り込んできて…。もともとは『まっ白な嘘』に所収。「証拠のかわりに」レックス・スタウト安楽椅子探偵ニーロ・ウルフが活躍する中篇。こういうのを現代の魔女と呼ぶのだろうか。「悪夢」ディビッド・C・クック『暗くなるまで待って』を連想させるサスペンス。「黄金の二十」エラリー・クイーン編最も重要な短篇集1「小説集」エドガー・アラン・ポー2「シャーロック・ホームズの冒険」コナン・ドイル3「マーチン・ヒューイット探偵」アーサー・モリスン5「隅の老人」バロネス・オルツィ5「ジョン・ソーンダイクの数々の事件」オースチン・フリーマン6「ルーサー・トラントの功績」ウィリアム・マグハーグ&エドウィン・ボルマー7「ブラウン神父の童心」G・K・チェスタトン8「マックス・カラドス」アーネスト・ブラマ9「アブナー伯父」メルヴィル・ディヴィッスン・ポースト10「フォーチュン氏を呼べ」H・C・ベイリー次点「八点鐘」モーリス・ルブラン「ピーター卿死体検分」ドロシー・L・セイヤーズ「カリブ人の鍵」T・S・ストリーブリング「トレント乗り出す」E・C・ベントリー「不可能犯罪捜査課」カーター・ディクスン最も重要な長編1「ルルージュ事件」エミール・ガボリオ2「月長石」ウィルキー・コリンズ3「リーヴンワース事件」アンナ・キャザリン・グリーン4「緋色の研究」コナン・ドイル5「トレント最後の事件」E・C・ベントリー6「樽」フリーマン・ウィルス・クロフツ7「アクロイド殺人事件」アガサ・クリスティ8「ベンスン殺人事件」ヴァン・ダイン9「マルタの鷹」ダシール・ハメット10「レディに捧げる殺人物語」フランシス・アイルズ次点「ボウ街の怪事件」イスレール・ザングウィル「赤い拇指紋」オースチン・フリーマン「矢の家」A・E・W・メースンアラビアンナイトの殺人」ディクスン・カー
2015.10.19
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「殺人者」アーネスト・ヘミングウェイハードボイルド小説のはしり。「三死人」イーデン・フィルポッツ一見何の連関もなさそうな三人の死の意外な真相。「スペードという男」ダシール・ハメット『マルタの鷹』のスペードが活躍するハードボイルドな短篇。「は茶め茶会の冒険」エラリー・クイーン『不思議の国のアリス』を下敷きにした、殺人事件暴露に至るまでの経緯。10500円以上お買い上げで送料無料【中古】afb_【単品】_ふしぎの国のアリス (集英社文庫) ルイス・キャロル; Lewis Carroll; 北村 太郎「信・望・愛」アーヴィン・S・コッブ脱獄した三人の囚人がいいことをする話…じゃなくて、せっかく脱走したのに、それぞれ自分が最も恐れていた形で死を迎えることになったという因果応報譚。国旗よ永遠なれ。「オッターモール氏の手」トマス・バーク神の視点から切り裂きジャックの連続殺人事件(完全犯罪)を描いた恐怖小説。映画にしたらもっと怖そう。「いかさま賭博」レスリー・チャーテリス『スティング』も顔負けの詐欺師集団。だが主人公はさらにその上手をいく男だった。「疑惑」ドロシー・L・セイヤーズ読者をミスリードする手際よさは一流。最後の一行がとっても怖い。「銀の仮面」ヒュー・ウォルポール廂を貸して母屋を取られる話の典型。お人よしも程々に。なお、作者は『オトラント城奇譚』を書いたホラス・ウォルポールの曾孫。
2015.10.07
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「キプロスの蜂」アントニー・ウインアナフィラキシー・ショックを利用した殺人事件の顛末は。「堕天使の冒険」パーシヴァル・ワイルドいかさまトランプを用いたポーカー勝負。実話に基づいたフィクション。「茶の葉」E・ジェプスン&E・ユーステス他殺に見せかけた自殺。そのトリックは…「偶然の審判」アントニイ・バークリー毒入りチョコレートを仕込んだのは誰か?「密室の行者」ロナルド・A・ノックス行者の餓死の真相は。「イギリス製濾過器」C・E・ベチョファー・ロバーツこれまた密室殺人事件。ノックス以上にトリッキー。「ボーダー・ライン事件」マージェリー・アリンガム女は一見親分を庇っているかのようにみえたが…うだるような蒸し暑い夜の殺人事件。「二壜のソース」ロード・ダンセイニ佐ー川君、見ーつけた!「夜鶯荘」アガサ・クリスティ青髭とは知らずに結婚した女は…ヒッチコック映画にありそうなサスペンス。これって完全犯罪?正当防衛?本編随一の傑作。「完全犯罪」ベン・レイ・レドマン博士は、自分のミスを指摘した男を、決して許さなかった…ザ・「完全犯罪」。
2015.09.15
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本編は、「シャーロック・ホームズのライバルたち」という副題をつけたほうが適切かもしれない。以下、ご紹介。「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン宿敵ガニマール警部に「おいしい話」を持ちかけたルパンの真意は。二転三転して読者を魅了する展開はまさに本編随一の傑作。『ルパンの告白』所収。「奇妙な跡」バルドゥイン・グロルラー探偵ダゴベルトを生んだ作者は、オーストリアのコナン・ドイルだそうである。犯人が誰かは途中で見当がつく。トリックの設定上仕方ないと思うが、個人的にあまり愉快なものではない。「ズームドルフ事件」M・D・ポーストアブナアなる探偵をこの短篇で知った。密室「殺人」事件の真相は。あなたは神を信じますか?「オスカー・ブロズキー事件」オースチン・フリーマンソーンダイク博士が活躍する、作者が得意とする倒叙推理小説の佳品。「ギルバート・マレルの絵」V・L・ホワイトチャーチ進行中の列車の中央部から貨車を一台抜き取ったトリックと、名画の贋作を掛け合わせた一篇。「好打」E・C・ベントリーゴルフ場殺人事件。フィリップ・トレントの推理がさえるが、トリックよりも会話の妙に着目。「ブルックベンド荘の悲劇」アーネスト・ブラマ盲人探偵マスク・カラドスの存在を本編ではじめて知った。殺人は未遂に終わるが、なぜ「悲劇」か。是非お読みください。「急行列車内の謎」F・W・クロフツクロフツは『樽』を読んだ記憶はあるが中身は忘れてしまった。殺人の動機は怨恨と嫉妬。ここまでは書いても差し支えないだろう。犯人もトリックも見破れる読者はまず、いない。「窓のふくろう」G・D・H&M・I・コール夫婦作家による密室殺人ミステリー。ウィルスン警視とブレンダガストの掛け合いがホームズとワトソンを思わせる。
2015.09.01
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『幽霊射手』の続き。本来は2冊で1冊。「死を賭けるか?」意地悪な継父が義理の息子に突きつけた遺産相続の条件とは? ラジオドラマでよかった。バッドエンドにはならないから。「あずまやの悪魔」これもラジオドラマ。三十年前の殺人事件の真相とは?「死んでいた男」「二つの死」の原型となる短篇。ただしこちらの結末は怪奇趣味。「死への扉」宿泊客への悪意。木乃伊取りが木乃伊になる怪奇譚。「黒い塔の恐怖」一見怪奇小説風の推理小説。カーの短篇ベスト5に入るか。「コンク・シングルトン卿文書事件」ホームズ・パロディ。もう一篇、「パラドール・チェンバーの怪事件」は『ミニ・ミステリ傑作選』に収録。「有り金残らず置いてゆけ!」エッセイ。実在した追剥紳士列伝。「地上最高のゲーム」推理小説には「フェア・プレーの精神」「緊密なプロット」「独創的なトリック」がなければならないとするカーの推理小説論。「カー問答」江戸川乱歩日本版の付録。チェスタトンの弟子としてのカーの位置づけ、手品趣味、怪奇趣味への言及が興味深い。メール便送料無料!【中古】 黒い塔の恐怖 / ディクスン・カー / 東京創元社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2015.08.25
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「人を呪わば」ウィルキー・コリンズ『月長石』の作者によるユーモア・ミステリー。悪妻は百年の…「安全マッチ」アントン・チェホフてっきり死んだと思ったら…亭主元気で留守がよい。知らぬが仏。「レントン館盗難事件」アーサー・モリスン人間にはできないことも…「医師とその妻と時計」アンナ・カサリン・グリーンてっきり妻が下手人で夫がそれをかばっているのかと思ったよ。「ダブリン事件」バロネス・オルツィ遺言書偽装事件の顛末。『隅の老人』参照。「十三号独房の問題」ジャック・フットレル脱獄テーマの古典。『少年探偵シリーズ』の「魔法博士」に応用問題あり。「放心家組合」ロバート・バー果たして無実だったのか証拠隠滅されたのか。いずれにせよ、相手が一枚上手だったわけで…
2015.08.19
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「死者を飲むかのように…」杯に毒は入ってなかった? ではどこに? ボルジア・ミステリー。「山羊の影」悪魔はいない。悪魔的な行為があるだけだ。以下四編アンリ・バンコランの名推理。「第四の容疑者」証拠隠滅の経緯。「正義の果て」冤罪と救えなかった命。「四号車室の殺人」読者をミスリードする手際のよさ。以下四編はラジオ・ドラマの脚本。「B13号船室」消えた花婿殺人未遂事件。「絞首人は待ってくれない」絞首人さま、真犯人をどうぞ。「幽霊射手」矢は射るものとは限らない。「花嫁消失」超自然現象じゃないけどホラーに近いお話。 「初版発行日」 1982-11-26 「著者」 ジョン・ディクスン・カー (著) 「出版社」 東京創元社【中古】幽霊射手 (創元推理文庫-カー短編全集 4 (118‐20))
2015.08.17
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フレドリック・ブラウンと言えばその昔『火星人ゴーホーム』『発狂した宇宙』などで親しんだせいかSF作家というイメージがあるが、ミステリに属する範疇の作品も発表している。ただしいわゆる推理小説というより、犯罪小説(クライム・ノベル)に近いものである。何となれば謎解きよりも読者をあっと言わせることに主眼が置かれているからで、真相が解明される段階で読者は「え、そんなの聞いてないよ」と肩透かしを食らわされてしまうことが多い。綿密な伏線よりスリルやサスペンスなどの力技で押す感じである。このあたりミステリー好きには評価の分かれるところだろうが、《奇妙な味》の愛好者にとっては、それもまたよし、となるのだろう。「笑う肉屋」正義の冤罪。「四人の盲人」確かに象の話だけどさ。「世界がおしまいになった夜」客観的世界ではなく、主観的世界の話。「メリー・ゴー・ラウンド」すべては愛する女性のために。「叫べ、沈黙よ」聾ゆえに無罪とされたなら、何を言われても、それを押し通さなきゃな。「アリスティッドの鼻」探偵より俳優に向いていた男。「後ろで声が」妄想に負けて愛する人を刺した男。「闇の女」ある警察官に追われていたわけは…「キャサリン、おまえの喉をもう一度」ヒッチコックの映画になりそうなサスペンスの佳品。「町を求む」政治的無関心が、やくざを生む。『さあ、気ちがいになりなさい』にも収録。「史上で最も偉大な詩」いわゆる四文字言葉。何故でしょう? 読んでください。「むきにくい林檎」犯人が死んでやれやれだけど、それまでに犠牲になった人間の数は。「自分の声」ニブチンの刑事に啓示あれ。「まっ白な嘘」これも映画になりそうなサスペンス。誰でも彼を疑うよね。「カイン」明日、電気椅子にかけられるのと、発狂して毎晩、電気椅子にかけられる悪夢にうなされつつしかし精神病院で生きながらえるのと、どっちがいいですか?「ライリーの死」グズも最期はキリスト教徒らしく英雄的に死んだと思ったのに・・・「うしろを見るな」どうぞこの短篇集の一番最後にお読みください。間違っても最初に読んではいけません。まっ白な嘘 創元推理文庫 / フレドリックブラウン 【文庫】
2015.08.14
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この世ではとても起こりえないようなことが起こったとき、それを怪談的に扱うのが怪奇小説なら、あくまで論理的にこの世での合理的説明を求めるのが推理小説だと言えよう。もっともカーの場合、事情は複雑である。明らかにトリッキーな推理小説作家なのだが、とくに初期作品には怪談趣味もみられる。その点、文化は異なるが似た傾向を持つわが国の江戸川乱歩に評価されたのもむべなるかな、であろうか。ただ彼の作品が面白いのはあくまで「お話」としてであり、近代的捜査法の確立した現在ではあのような小説は新たに書けない。いわば一種の古典であり、『シャーロック・ホームズの功績』の時代の作家と言ってもいいだろうと思う。前置きが長くなった。以下、謎解きに触れない範囲での覚書。「新透明人間」出歯亀は往ぬ。ユーモラスなオチ。「空中の足跡」体重が異なるから、足跡の深さも違うだろう、と思うのだが。「ホット・マネー」札束の隠し場所。「楽屋の死」その時間に舞台にいたのは…「銀色のカーテン」殺人犯に間違われた男。「暁の出来事」消えた死体の謎。ひねったオチ。ここまでがマーチ大佐の「不可能犯罪捜査課」の事件簿。「もう一人の絞刑吏」これぞまさしく完全犯罪。カーの全短篇中五指に入る傑作。「二つの死」怪異譚のオチは…芥川の二流のミステリーのようなお話。「目に見えぬ凶器」誰でも真っ先に氷を思い浮かべるだろうが…「めくら頭巾」器は怪談、中身は推理小説。【日時指定不可】【銀行振込不可】【2500円以上購入で送料無料】【新品】【本】不可能犯罪捜査課 ディクスン・カー/著 宇野利泰/訳
2015.08.13
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再読して、どこかで読んだような設定だと思ったら、同じ作者の少年探偵シリーズ『灰色の巨人』に似ているのだった。『大金塊』と同じようなトリックもある。というより、ジュブナイルの方が『黄金仮面』を参考にしたものだろう。もっと言うなら「怪人二十面相」こそがこの物語の主人公をモデルにして誕生したものだった。ルブランが本場の名探偵に敬意を表して作ったのが『ルパン対ホームズ』なら、乱歩が本場の怪盗に表敬したのが本書『黄金仮面』である。敬意の連鎖はさらに続く。ルパンの日本での恋人は大鳥不二子。不二子と言えば『ルパン三世』。ちなみに峰という苗字は不二→富士→山→峰という連想ゲームによるものだろう(か)。10500円以上お買い上げで送料無料【中古】afb_【単品】_黄金仮面(創元推理文庫ー現代日本推理小説叢書)[文庫]乱歩,江戸川【中古】 灰色の巨人 少年探偵第11巻/江戸川乱歩(著者) 【中古】afb【中古】 大金塊 少年探偵・江戸川乱歩第4巻/江戸川乱歩(著者) 【中古】afb
2015.07.28
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本書の前に、次の三冊を読んでおくことをお薦めします。前編の前に『サーカスの怪人』『怪人二十面相』後編の前に『青銅の魔人』実は怪人二十面相シリーズ(とあえて言います)は、第二次世界大戦を挟んで約10年ほどのブランクがあるのですが、まるでその間何もなかったように、『青銅の魔人』は始まるのです。平たく言えば、明智小五郎も小林少年も怪人二十面相も、全然年をとっていない。しかしそれでは、「伝記」になりませんので、そこのところをどうするか。ということで、作者は、「二代目」を考案しました。しかも二十面相だけでなく、です。詳しく書くと興ざめなので、もうひとつ。作者は、いかにも彼らが実在の人物であったかのように印象付けるため、日本文学史上のとある有名人を絡ませています。それが誰であるかは、読んでみてのお楽しみ、です。【中古】 完全版 怪人二十面相・伝 完全版 ふしぎ文学館/北村想(著者) 【中古】afb10500円以上お買い上げで送料無料【中古】afb_【単品】_少年探偵江戸川乱歩全集(13)サーカスの怪人 江戸川 乱歩; 山内 秀一[単行本]【中古】【メール便可】少年探偵1 怪人二十面相 / 江戸川乱歩【はじめての方限定!一冊無料クーポンもれなくプレゼント】江戸川乱歩・少年探偵シリーズ(5) 青銅の魔人(ポプラ文庫クラシック)【電子書籍】[ 江戸川乱歩 ]
2015.07.22
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「みんなの少年探偵団シリーズ」最終巻。タイトルはこれまでのものよりずっと原典に近いが、中身はどうか。時代はまさにあの時代だ。文体も似ている……と思っていたら???となった。まるで漫才なのだ。書き手が自分の文章に自分でツッコミをいれているし、登場人物の会話はまるで掛け合い。面白いといえば面白いが、読んでるうちに辟易してくる。辟易とは、つまり、うんざりするということですよね、芦原さん。とくに小林少年や文代夫人のイメージをああまで壊されては……さて、原典のお約束事からすると緑魔帝王=怪人二十面相となる。ところが、この小説では事情が違う。じゃあいったい誰なのか、正体は、本名は…というのは読んでのお楽しみ。ちなみにシリーズはこれでおしまいだそうだ。もっと続き、というか競作を読みたい気もするが、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ26巻+4で、30になるからということだろうか。まあ四巻で起承転結、よくできたシリーズだったと思う。みんなの少年探偵団恐怖の緑魔帝王/芦原すなお【後払いOK】【1000円以上送料無料】個人的には、よくできたパスティッシュという意味で、『全員少年探偵団』がイチオシである。再掲。みんなの少年探偵団全員少年探偵団/藤谷治【後払いOK】【1000円以上送料無料】
2015.07.02
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「みんなの少年探偵団シリーズ」第3弾。うん。何とも言えない読後感である。活字だけを追って速読した。面白くなかったとは言わない。途中まではルパン三世的かな、とも思ったものだ。しかし……この小説の中で「明かされる」明智小五郎の素顔。文代さんとの関係。小林少年の出自。怪人二十面相の正体。あまりにもドロドロしている。乱歩の視覚的ドロドロさと違って、こちらは心理的ドロドロさだ。ああ、嫌だ。嫌々ながら引き込まれ、読まされる。その筆力は才能だろう。最後に。「小林少年」を育てた「次郎」は誰か、という謎が残る。おそらく…みんなの少年探偵団少年探偵/小路幸也【後払いOK】【2500円以上送料無料】
2015.07.01
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『みんなの少年探偵団』シリーズ第二弾にして、文体も含め江戸川乱歩の原典にかなり忠実なパスティッシュ。ただ時代設定は21世紀になっていて、携帯電話やインターネットや写メールが登場する。あえてそうしたのは、不易流行の不易の部分、つまり時代は変わっても怪人二十面相は永久に不滅です、という点を強調/主張したかったのかもしれない。実際(作者が同じだから当たり前だが)、二十面相の演説は「解散二十面相」に通じるところがあった。もっとも乱歩ならタイトルを『こうもり紳士』か何かにしただろう。あえてそうしなかったのは、これはあくまでも贋作ですよ、というメッセージとも考えられる。原典に対するオマージュはいたるところに現れていて、小林少年の変装や監禁先での食事、地下26階の建物、などがそうである。余談だが、黒澤ファンなら『天国と地獄』を連想するだろう。なお、作中に出てくるフジツボ・ムサオという人は言うまでもなく……【日時指定不可】【銀行振込不可】【2500円以上購入で送料無料】【新品】【本】全員少年探偵団 藤谷治/著
2015.06.29
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