リバーサイド

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March 21, 2007
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 強 情 な 雛

「あれ、今度は虫をくわえてきたぞ!」
夫の言葉に、鳥籠の上にきた母鳥をよく見ると、蜘蛛らしきものを
くわえていました。チーちゃんとダイちゃんは、真上に大きく口をあけ、
青葡萄のとき以上に羽をふるわせています。

蜘蛛は、母鳥の細いくちばしとともに、やすやすと金網の中に入りました。
やれやれ、ちびさんたちはこれでやっと餌にありつける、今度こそ
だいじょうぶと思いました。

ところが、雛たちときたら、やっぱり餌に向かってジャンプもしなければ、
背伸びもしません。ただ口を思い切り大きくあけているだけなのです。
母鳥のほうも蜘蛛をくちばしから放してまっすぐ落下させれば、
雛の大きくあけた口に難なく入るのに、いつまでたってもくわえたままです。

夫はみかねて、母鳥が飛び去ったすきをねらって、止まり木を
すばやく上にずらしてやろうとしました。

が、鳥籠の中に手を入れようとしたとたん、どこからともなくサッと
母鳥が舞い戻り、狂ったように鳴きだしました。そして、夫の頭上を
せわしく飛び回り、威嚇しはじめたのです。実際に夫の髪の毛が、
母鳥の爪に少しひっぱらればらつきました。

あの細いくちばしで、眼球でも狙われたらたいへんです。結局彼は
目的を果たせないまま、ふたたびカーテンの陰に身を隠したのでした。

夕方の雲.JPG

気がつけば、あたりは暮れはじめています。
母鳥のやってくるのがだんだん間遠になり、ついにはピタリと来なく
なってしまいました。
わが子たちのことをあきらめてしまったのだろうか。
あれほどまでにわが子を奪い返そうと必死だった母鳥が...。
もしかしたら、疲れが限界に達してしまったのかもしれない。

もう一羽の雛を誘導しようとしていた父鳥のほうも、そのあとまったく
姿を見せませんでした。

母鳥の絶叫が、そして親鳥同士の励ましあう声が、いつまでも幻聴
となって耳から離れません。 

ピッタリ寄り添ったチーとダイの胸の産毛が夕風に優しくふるえています。
いったいどうしたら、この子たちを無事親に返してやることができるのだろうか? 
なんとも切なくなってくるのでした。

夫が、ためしにもう一度、白樺の巣にチーちゃんとダイちゃんを戻して
みました。しかし、どちらもすぐ出てきてしまい、ヒヤヒヤハラハラ
させられるばかりで、とても目が離せません。

「仕方がない。やっぱり飛べるようなるまで、うちでこのまま面倒を
見ることにしよう」
夫のこの決断に異存はありませでした。小さな縫いぐるみのように
愛らしい雛たちを見ていると、面倒なことになるという思いよりも、
たとえ一時でもそばで世話ができてうれしいという思いのほうが強いのでした。

いまは建て替えましたが、当時、狭い中庭をはさんで、木造の古い
離れがありました。鳥籠をそこに運び、二羽を部屋に出してやりました。
どちらも飛ぶどころか、固まったままです。わざと少し離れた場所に
おいても、すぐ互いににじり寄ってピッタリと寄り添ってしまいます。

かわいい雛2ーあ-1.JPG

まったくの別世界につれてこられて、どんなに心細いことだろう。親鳥はどこからか網戸越しに、この様子をみているのだろうか。

問題は餌でした。私たちが与えるものは、絶対に口にしないのです。
鳥籠の中のデラウェアもすり餌も元のままでした。

「そうだ、蜘蛛なら食べるかもしれない。それがだめなら、口をこじ開けて、
ジュースでも流し込むよりほかないね」
夫はいいながら、フィルムの透明な空ケースを持って庭におりていきました。

そしてじきに戻ってくると。雛たちの目の前で、ケースをふってみせました。
「ほら、これを食べなきゃ、もうしらないぞ」

ケースには、コガネグモばかりが数匹、もぞもぞ動いていました。
蜘蛛には気の毒だが、雛たちにはご馳走のはず。
夫は指先につまんだ蜘蛛を、彼らの目の前ででふって見せました。
しかし、チーもダイもまったく反応しません。かたくなに口を閉じたままなのです。

「おそろしく強情だ!」
あきれながらも、夫は何とか相手に口をあけさせようと必死でした。

私も試みてみました。
「ほら、アーンしなさい。あんたたちの好物なんでしょ。はやく、アーンして」
雛たちはゴクリともしません。スポイトでオレンジジュースをやろうとしましたが、
それさえもまったく受け付けようとしないのでした。

口では乱暴なことをいってみても、黄色くてか細い雛たちのくちばしを
こじ開けるなんてことは、夫にも私にもできません。万策尽きて、
私たちはただただ途方にくれるばかりでした。

ところが、なんとなんと、ごく身近なところに思いがけない救いの神が
いたのです。

かわいい雛akimari.JPG

このときは、大きさの違いはまだわずかでした
口は誓い合ったようにどちらもかたくなに閉じたままです






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Last updated  March 21, 2007 01:21:21 PM
コメント(14) | コメントを書く


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Re:ヒヨドリをよろしく 【十五】 保護したけれど(03/21)  
おお!救いとは何だったのでしょう?
それにしても本能なのか、口ばしから口ばしへ運ばないと食べないなんて。助けてあげたいのに・・ね。 (March 21, 2007 05:08:00 PM)

Re:ヒヨドリをよろしく 【十五】 保護したけれど(03/21)  
雛たちはずいぶん大きくなっているのですね?
黒い毛がふさふさと生えていますね?

親鳥の泣き声をテープにとっておき、それを流せば餌を食べるかも? (March 21, 2007 09:20:02 PM)

こんばんは!  
自然薯パパ  さん
今日も我が家の裏庭の住民
ヒヨさんは朝からピーピー鳴いてました。
ほんと良く見ると可愛い目をしてますよね。 (March 21, 2007 11:04:44 PM)

Re:ヒヨドリをよろしく 【十五】 保護したけれど(03/21)  
カヨ さん

KeiKei. Fさんへ  
☆おお!救いとは何だったのでしょう?
★思いがけないものが救ってくれたんですよ。
といっても珍しいものではなく、我が家の…。

☆それにしても本能なのか、口ばしから口ばしへ運ばないと食べないなんて。助けてあげたいのに・・ね。
★そうなんですよね。
時には親は雛ののどの奥まで餌を押し込んだり―。
救いの神が現れるまで私たちは途方にくれました。 (March 22, 2007 02:56:37 AM)

どじょう家族さんへ  
☆雛たちはずいぶん大きくなっているのですね?
黒い毛がふさふさと生えていますね?
★最初のころの写真は、赤い肌が見えていましたが、それと比べると、だいぶ大きくなっていますよね。

☆親鳥の泣き声をテープにとっておき、それを流せば餌を食べるかも?
★なるほど、その手がありましたね!
このとき雛たちの口を開けさせ救ってくれたのは、
実は…。 (March 22, 2007 03:05:39 AM)

自然薯パパさんへ  
☆こんばんは!
★おはようございます♪

☆今日も我が家の裏庭の住民
ヒヨさんは朝からピーピー鳴いてました。
★最近、自然薯さんところで拝見した可愛いヒヨさんも、
その仲間のひとりだったのでしょうか♪

☆ほんと良く見ると可愛い目をしてますよね。
★たまらなく可愛いですよね~。 (March 22, 2007 03:17:22 AM)

カヨさんへ  
☆こちらをご覧になってね。
http://www.jspb.org/hina.html
http://plaza.rakuten.co.jp/miyanooka/7010
http://www.gt-works.com/yachoo/kissa/colum/essey03.htm
★ご親切に感謝いたします。
いずれも、心得ておきたい大切なことばかりですよね。
私は当時、野鳥保護の基本的なことさえよく知りませんでした。
あとで、反省すべき点に気づくのですが、
この「ヒヨドリをよろしく」は、当時の心情までありのままに書いております。
どうやら、三番目の最後のほう4にあたるようですね。
私はこの体験のおかげで、以来野鳥に魅力を覚えるようになりました。
のちに、県から「傷病鳥獣里親の証」を渡されたりして、
空を飛べなくなってしまった野鳥のお世話も何度かさせてもらいました。

「ヒヨドリをよろしく」は、まだ途中ですので、
これからも、どうか見守ってくださいね。 (March 22, 2007 10:40:39 AM)

Re:ヒヨドリをよろしく 【十五】 保護したけれど(03/21)  
野鳥大好き  さん
また、続きを楽しみにしています。
ヒヨの愛情深さ、わたしも違う場面で何回か見ています。親が突く、考えられますねー。うーん。
ま、続きを楽しみに。 (March 22, 2007 01:07:23 PM)

野鳥大好きさんへ  
☆また、続きを楽しみにしています。
★専門家に、そうおしゃっていただけて、
とても心強いです。

☆ヒヨの愛情深さ、わたしも違う場面で何回か見ています。
★そうですか♪
私など、もう最後まで驚きっぱなしでした。

☆親が突く、考えられますねー。うーん。
★あの時は、親鳥がほんとにすざましくて、
細いくちばしが、とても怖かったです。
でも実際には…。

☆ま、続きを楽しみに。
★ありがとうございます♪ (March 22, 2007 08:55:11 PM)

Re:ヒヨドリをよろしく 【十五】 保護したけれど(03/21)  
juli-tamami  さん
救いの神?
なんでしょうか・・・気になります。

きゅっと閉じたくちばしが「絶対食べない!」って言ってるみたいですね(笑) (March 23, 2007 07:48:43 AM)

juli-tamamiさんへ  
☆救いの神?
なんでしょうか・・・気になります。
★それが、私たちの愛する○○…♪

☆きゅっと閉じたくちばしが「絶対食べない!」って言ってるみたいですね(笑)
★でしょ~(笑)
腹ペコのはずなのに、目の前のゴチソウにまったく反応しなかったんですよ!

***
このあいだ心配してくださった野良猫親子のことなんですが、
全部の写真をも一度よくみたら、
子猫だけ庭にいるところが写ってました。
日付から、もう夏休みも終わりに近づいたころです。 (March 23, 2007 09:19:35 AM)

Re:juli-tamamiさんへ(03/21)  
juli-tamami  さん
四季の風365さん
>このあいだ心配してくださった野良猫親子のことなんですが、
>全部の写真をも一度よくみたら、
>子猫だけ庭にいるところが写ってました。
>日付から、もう夏休みも終わりに近づいたころです。
-----

そうなんですか・・・
もしかしたら、又貰えるかもって戻ってきたのでしょうか。
ごめんなさいね、つい、気になってしまって・・・
(March 23, 2007 11:38:50 AM)

juli-tamamiさんへ  
☆そうなんですか・・・
もしかしたら、又貰えるかもって戻ってきたのでしょうか。
★かもしれませんね。
なにしろメモや記憶はヒヨドリ親子のことが中心でして…。
(猫ちゃんたちごめんなさい~)

☆ごめんなさいね、つい、気になってしまって・・・
★あら、juli-tamamiさんは、あやまらないでくださいね。
そういうふうに気にしてくださるところが、やさしくて素敵なんですから♪
-----
(March 24, 2007 06:46:12 AM)

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