ミステリの部屋

ミステリの部屋

2005年08月03日
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カテゴリ: 海外ミステリ
友人に重いミステリをリクエストして薦められたのが、この「スコッチに涙を託して」でした。

二人は幼馴染。パトリックはアンジーに好意を寄せているけれど、彼女には問題のある夫がいる、という設定です。

読み始めてわかったのは、チャンドラーのタイプのハードボイルドだということでした。
主人公は比喩を多用して軽口をとばしまくります。
これに慣れるまでがちょっと時間がかかりましたが、話の展開にだんだん引き込まれていきました。

二人が上院議員から受けた依頼は、秘密の書類を盗んで姿を消した掃除婦を探し出してほしいというものでした。

問題の女性はほどなく見つかりますが、彼女はパトリックを信じて書類を託そうとする寸前に射殺されてしまいます。
二人が書類の内容に疑問を抱いて独自の捜査を始めた途端に、ギャングの抗争に巻き込まれ、銃が火を噴き人が死んでいきます。そして二人の命も危険にさらされることになるのです。


人種問題、虐待、暴力、累々とふえていく死体、あまりこういう作品は読まないのですが、こういうハードボイルドも嫌いではないことがわかりました。

ただ、心が痛くなる場面がたくさんあります。二人の心の傷もかなり痛い。
何だかこの二人は幸せになれないような気がします。
今回人を傷つけたり、命を奪ったりしたことで傷は深まり、二人はそれを決して忘れないだろうと思うからです。

原題は「A Drink Before the War」ですが、
邦題はパトリックが酒場で友人のリッチーと飲みながらの会話からとられています。
アメリカの暗部に目をやり憂う二人。
みんなが憎む相手を必要としている。誰も愚か者で、誰もが怒っているこのときに自分たちに残された方法は何か、とパトリックが問いかけます。

リッチーがグラスをあげて答えたのが「スコッチに涙を託して朝まで飲むのさ」ということばでした。


 スコッチに涙を託して :  デニス・レヘイン








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最終更新日  2005年08月22日 18時53分37秒
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