ミステリの部屋

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2005年08月04日

れんげ野原のまんなかで：森谷明子

(4)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ

ススキばかりがおいしげる斜面の真ん中にたつ秋庭市立秋葉図書館は、辺鄙な場所にあるため訪れる人は少なく、図書館職員はあくびをかみころしています。

第一話　霜降 -- 花薄、光る。　　閉館後の図書館に居残ろうとする少年たちは何をしようとしているのでしょうか？

第二話　夏至 -- 銀杏黄葉　　市内循環福祉バスが止まるようになって利用者が増えた中には、病院帰りの深雪さんもいました。彼女が手に取った本の中から出てきた「白雪姫」のドイツ語版のコピーの意味は？　

第三話　立春-- 雛支度　　図書館の用地を寄贈した秋庭氏が、コンビニのコピー機に残されていた図書館利用者のリストを見つけます。情報は盗まれたのでしょうか？　

第四話　二月尽 -- 名残の雪　　大雪で帰れなくなった文子は秋庭家に泊めてもらうことになります。秋葉氏の子供の頃の思い出話に秘められた雪女の謎とは？

最初の方の謎はとても微笑ましい話ですが、後半には何だか切ない話や悪意が哀しい話もあります。
けれども最後はれんげ畑が目の前に広がるような、前向きにな気持ちになれる終わり方なので、読後感がいいです。

この作品は本好きな人にはとても心地いいはずです。
こんな図書館があったらいいでしょうね。
私がいつも行く図書館職員の方は事務的に見えますが、実はやっぱりこんなふうにすごく本が好きだったらいいな、と思います。

この中に児童書が2冊出てきますが、私はどちらも読んだことがありませんでした。
読んだことがあればもっと楽しめたのだろうにと残念です。

第5話で能勢夫人が長年探していた本を、ちょっと聴いただけで文子がすぐに棚から探し出します。その本は一体何だったんでしょうか。
とても気になります。
わかった方がおられたら、是非教えていただきたいです。

鮎川哲也賞を受賞したという「千年の黙～異本源氏物語」も読みたくなりました。