ミステリの部屋

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2006年09月11日
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宮部みゆきさんの作品を読むのは久しぶりです。『ブレイブ・ストーリー』まで読んでいたはずですから、3年半ぶりくらいです。

これまで読んだ中で一番好きなのは、『我らが隣人の犯罪』に収録された短編「サボテンの花」、ずしんと心に響いた『火車』、時代物では『あかんべえ』でした。

先日、夫が最新作の『名もなき毒』を買ってきたので、同じシリーズの『誰か』を読んでおくべきかと、夫が単身赴任先から持ち帰った本の中から探し出してきました。



妹の梨子が父親の思い出を本にして、犯人を見つけるきっかけにしたいというのだ。
しかし姉の聡美は出版に反対している。
聡美は三郎に、幼い頃の“誘拐”事件と、父の死に対する疑念を打ち明けるが、妹には内緒にしてほしいと訴えた。
姉妹の相反する思いに突き動かされるように、梶田の人生をたどり直す三郎だったが…。


今多コンツェルンの広報室に勤める杉村三郎は35歳。
やさしくて美人の奥さんと、かわいい娘がいる、ごく平凡なサラリーマン……
ではありません。
目立つつもりもないのに、普通に見てもらえないのは、奥さんの父親が今多コンツェルンの会長、今多義親だからです。

そのために、しなくてもいい苦労までしながら、会長の運転手のひき逃げ事件について調べていく話ですが、これまでの作品と同じように、やめられずに読み通しました。

ただ、次第にわかってくる過去や、事件のてん末よりも、彼が関わる人たちのことの方が印象に残りました。


ここで思ったこと。
主人公はお人好しで善人だし、見るからに幸せそうな家庭を持っています。
いくら義父のことが煙たく、それなりに悩みがあるとはいえ、私には絵空事に感じられるくらいでした。
その存在だけで羨まれ、妬まれるという人間を主人公に持ってきたのには大きな意味があったのではないかということ。

毒が際立つから……。

タイトルから想像すると、このテーマは『名もなき毒』にも繋がっていくのでしょうか。



誰か 誰か : 宮部みゆき









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最終更新日  2006年09月11日 17時30分16秒
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