ミステリの部屋

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2006年11月17日
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これは『笑酔亭梅寿謎解噺』(  感想  )の続編です。
一作目は文庫化された際に『ハナシがちがう!』というタイトルに変わり、それとともに表紙もソフトになりました。
そして第二弾。表紙はまたコテコテです。色合いも派手ですね。
今回も面白く読めました。

そういえば大阪弁を使う人は、大阪を離れても大阪弁ですよね。
たとえば福岡出身の人同士が東京で偶然出会ったとしても、急に博多弁で喋り始めるなんて事は想像できません。
大阪弁は堂々の第二日本語という感じがします。
それだけ独特の文化を持ち、誇らしげにも見える。関西というところは未だによく知らないのですが、興味があります。




梅寿はとんでもない飲んだくれで、暴力師匠。
しょっちゅう竜二をどつきまわし、大酒をあおり、暴れている。
ある日、竜二は若手噺家のグランプリを決める「O-1」の決勝に出場することに。
一緒に出場した東京の噺家・東西亭豌豆(とうざいてい えんどう)は演出として必要とされる以上に大阪の噺家をばかにし、こき下ろす。
東京代表3名にボロ負けした竜二は、東京の粋な落語に上方落語はかなわない、と落胆する。
しかし、帰り道で偶然豌豆の落語会に迷い込んだ竜二は、豌豆の意外な姿を目にする…「蛇含草」他6篇。
東京の落語、テレビで活躍する噺家、客のエネルギーを「トリ」に集中させるための「モタレ」など、様々な噺家にスポットを当てた、更にバラエティ豊かに進化する本格落語ミステリー短編集。






前作では無理やり弟子入りさせられた上、、師匠にけなされどつかれ、逃げ出すことばかり考えていた竜二ですが、やっと腹を据えたようです。
師匠のすごさも古典落語の魅力もよくわかってきた様子。
ところが、上方の落語を東京の落語と比べたり、漫才と比べたりするうちに、色々と迷いが生じます。

竜二は古典落語の良さを知って欲しいという思いゆえに、迷いを打ち砕くべく突っ走ります。
誰に何と言われようと自分の信じた方向にうらやましいくらい本気でぶつかっていき、そして見事失敗します。
失敗してもいいじゃないか。失敗してこそ気づくこともあるのです。

落語のハナシにどう謎がからんでくるのかも興味深いところです。前作に続き月亭八天の解説つき。
ただし謎解きは影が薄くなっており、竜二の成長物語の色合いが強くなっています。

相変わらず師匠は飲んだくれで破天荒で、でも実は懐が深い?のかもと思わせるお人です。
兄弟子やチカコとの人間関係や、猿右衛門師匠など個性的な登場人物も面白く描かれており、やはり人情話の味わいがありました。


 ハナシにならん!:田中 啓文











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最終更新日  2008年11月14日 14時44分03秒
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