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ミステリの部屋

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2009年03月24日

孤宿の人：宮部みゆき

(10)

テーマ：時代小説がダイスキ(438)

カテゴリ：ミステリではないがミステリ的要素を持つ本

＜あらすじ＞
江戸から　金比羅代参で讃岐国を訪れた九歳の少女　ほうは、丸海の港で置き去りにされ、たった一人　見知らぬ土地に取り残される。
幸い、丸海藩の藩医・井上舷洲宅に奉公人として住み込むことになった。
そして半年―、この丸海の地に幕府の罪人・加賀殿が流されてくることに。
海うさぎが飛ぶ夏の嵐の日、加賀殿の所業をなぞるかのように不可解な毒死や怪異が井上家と丸海藩を襲う…。
（「BOOK」データベースより）

確か、ときあさぎさんが宮部作品のマイベストとおっしゃっていた作品。
私も　大いに心揺さぶられました。

主人公のほうは、自分の名前が阿呆のほう、からつけられたと教えられていました。
ひどい話です。

天涯孤独で、行く先々で邪魔にされ、いじめられてきた　ほうが、置き去りにされたのは丸海藩。

風の穏かな日に、海には白い波が立ち騒ぐ、それをこの土地では“うさぎが飛んでいる”と言うそうです。

きっと美しいところなのでしょう。

加賀殿は鬼、悪霊と恐れられ、それに呼応するように不吉なことが続けて起こります。

ほうが主人公ですが、途中でそのことを忘れそうになるくらい、他の登場人物が描きこまれていました。

それぞれ立場は違うけれど、何かを背負い、正義が通るとは限らない過酷な時代に生きています。

多くの人が、理不尽な目にあい、命を落とすことが切なくて切なくて……。

ある者は私欲のため、ある者は弱さのため、またある者は国を思うがために、真実を覆い隠してしまいます。

ほうのまっすぐな魂は、彼らにどう映ったのか？

余計なもので目を曇らされなければ、本当のことが見えてきます。
そんな　ほうだからこそ、最後に大切なものを貰います。

涙がポロポロこぼれました。

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最終更新日 2009年03月30日 15時48分36秒
コメント(10) | コメントを書く

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■コメント

Re:孤宿の人：宮部みゆき(03/24)

王道名なしさん

へー、これは読まなきゃ。
多分私の故郷の○亀が舞台で、流人は鳥居耀蔵がモデルなんでしょう。
海が荒れるときは「白馬の背」と言っていたのを聴いたことがあるような気がします。
瀬戸内海は内海で穏やかな海ですから、あまり白い波は立たないんです。
(2009年03月26日 05時52分22秒)

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Re[1]:孤宿の人：宮部みゆき(03/24)

samiado さん

王道名なしさん、こんにちは！

＞へー、これは読まなきゃ。
＞多分私の故郷の○亀が舞台で、流人は鳥居耀蔵がモデルなんでしょう。

その通りです♪発想の素となったのは、丸亀藩であり、鳥居耀蔵だと、解説にありました。ぜひ、読んでいただきたいですね。

＞海が荒れるときは「白馬の背」と言っていたのを聴いたことがあるような気がします。
＞瀬戸内海は内海で穏やかな海ですから、あまり白い波は立たないんです。

読みながら、何となく外海を想像していました。四国には行ったことがないので、地理が浮かんでこなくて……。「白馬の背」、見てみたいものです。

(2009年03月26日 17時57分22秒)

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こんにちわー

☆mam さん

TBを送らせていただきました。

本当に「ほう」が良いですよね。
純粋なほうが物語の中核にいるので、お家大事の大人たちの、当時は仕方ないことだとは言え、愚かさが際立ちます。
最期にほうが新しい漢字の名前を貰うところに、私は泣けました。

(2009年03月28日 15時46分25秒)

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Re:こんにちわー(03/24)

samiado さん

☆mamさん、こんばんは！
TB有難うございます♪

＞本当に「ほう」が良いですよね。
＞純粋なほうが物語の中核にいるので、お家大事の大人たちの、当時は仕方ないことだとは言え、愚かさが際立ちます。

理を説いて、正しい事をしていると思っていた人たちでさえ、結局嘘をつきましたからね。

＞最期にほうが新しい漢字の名前を貰うところに、私は泣けました。

私もそうです。ほうが彼に何をもたらしたかを思って、とても泣けました。
(2009年03月28日 23時41分29秒)

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早速予約しました！

アルビレオさん

昨日図書館に行きましたが，図書館まで行く道の傍らには，那珂川という大きな川が流れていて，その川原には，一面の菜の花と両脇に何本も満開の桜が咲き誇りそれは，見事な眺めでした！桜を愛でることもなくもったいないことに何十年も過ぎてしまいました。いつもこの春の季節は，多忙を極める仕事量と新しい環境へ移り変わりの時期で心がぎゅっと緊張と不安で締め付けられるいやな季節です。そういう私の事情など意に介さず自然は，あるがままの姿です。惜しみなく。すてきだなあ。春っていいなあ。と感じ入りながら図書館に行って借りた本を返し，迷わず「孤高の人」を予約。ますます，図書館が好きになってます！ (2009年03月29日 12時42分11秒)

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Re:早速予約しました！(03/24)

samiado さん

アルビレオさん、こんにちは！
春はいろいろなものが変わってしまう、落ち着かない季節でもあるのですね。菜の花と桜、鮮やかな色と景色が目に浮かぶようです。そんな時期だからこそ、自然が贅沢な贈り物をくれるのかもしれませんね。こちらは桜はまだまだ。日本列島が縦に長いことを実感しますｗ
図書館の楽しさを知っていただいて嬉しいです♪「孤宿の人」も楽しまれますように。 (2009年03月30日 15時22分49秒)

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Re:孤宿の人：宮部みゆき(03/24)

ときあさぎさん

こんばんは。

「孤宿の人」については、以前「マイベスト」と書きながらも、そのまま放置してしまったままです。
（たぶん、今後もそのまま、かと……）

「ほう」というまっさらな人間と、いろんなことにがんじがらめになってしまっている人々との対比が、すごく描けていて、圧倒された記憶があります。
疑心暗鬼が、大きな動きになって誰にも止められないもになっていく恐ろしさも味わえました。

宮部さんの小説は、難しい言葉は全然ないのに、すごく重くて深いことをぶつけられることが多いですよね。
(2009年03月31日 22時27分04秒)

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Re[1]:孤宿の人：宮部みゆき(03/24)

samiado さん

ときあさぎさん、こんばんは！

＞「孤宿の人」については、以前「マイベスト」と書きながらも、そのまま放置してしまったままです。
＞（たぶん、今後もそのまま、かと……）

おかげで読むきっかけとなりました。有難うございました♪

＞「ほう」というまっさらな人間と、いろんなことにがんじがらめになってしまっている人々との対比が、すごく描けていて、圧倒された記憶があります。
＞疑心暗鬼が、大きな動きになって誰にも止められないもになっていく恐ろしさも味わえました。
＞
＞宮部さんの小説は、難しい言葉は全然ないのに、すごく重くて深いことをぶつけられることが多いですよね。

そうですね。改めて言葉にして貰えると、まさにその通りだと感じます。

かなりずっしりとくる話でした。ほうや加賀様のことを、今でもときどき頭に浮べては、思い返しています。

(2009年03月31日 23時09分55秒)

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読み終えました！

アルビレオさん

宇佐と啓一郎の再会の場面，そして，ほうが最後にもらった名前に泣けました！もう，言葉になりません。どうして，私たちは，言葉を媒介として時間，空間を乗り越えて人の心の中にまでも入り込んでいけるのでしょうね。不条理の数々に息苦しくなったり，切なさに胸締め付けられたり，もう，はらはらさせられたり，ああよかったとほっとしたり，何と愚かなと思いながらもその愚直さに頭を垂れたり…。人の心の奥底おられるという御仏に手を合わせたくなったりです。いい本と出会わせていただき深く感謝しています！ (2009年05月17日 15時59分32秒)

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Re:読み終えました！(03/24)

samiado さん

アルビレオさん、こんばんは！
読み終えられたのですね。
私も泣けました。読み終えたのが誰もいない夜中だったので、遠慮なくポロポロ涙を流しました。
今でも“うさぎが飛んでいる”のを眺めている　ほうの姿が浮かんできます。 (2009年05月17日 23時35分32秒)

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