数時間前までは日本国のうだつの上がらぬ三文小説家で、現在は
新生国家吉里吉里国唯一の文筆業者である古橋健二。
「私はケイコ木下と言う女性の愛に導かれて吉里吉里人になったのだ。
もう一度日本人に戻ったら、ケイコ木下を裏切ることになる。」
このたびの吉里吉里の反乱に実をいうと日本国は手を焼いている。
「先生、吉里吉里沼にモーターホ゛ートを隠してあります。
それに乗って日本に帰りましょうか?」
3ページ近くにわたる疑問符。
この大きな疑問符が古橋を現実に引き戻す役目を果たしていた。
「入院患者の9割が外国人なんだもの。」
もっと詳しく言うと、1割が吉里吉里人、3割が日本人、残る6割が
アメリカだのイギリスだのフランスだのイタリアだのの人なんです。
「・・・・・まんず・・・まんず。」古橋が木下家にご挨拶をする。
吉里吉里国立病院 総看護婦長 タヘ湊殿
老女の看護帽はパン焼き職人の帽子 よりも長く
上から下まで8本もの緑線が横に入っている。
「この私に向かって、狸などと言ったのはどこの誰だ。古橋君、
あの元気があれば大抵の仕事をこなせっど思うが、なじょだえ。」
新作を書いてくれることにもなっていたので残念 【共同通信の記事】
演出家蜷川幸雄さんの話 昨年、僕が井上さんの戯曲「ムサシ」を
演出した際にはお元気だっただけに、驚いている。新作を書いてくれる
ことにもなっていたので残念。井上戯曲の根底には激しい怒りのマグマが
燃えている。虐げられている弱者の、強者への怒りを、さまざまな笑いに
まぶして書いてきた。敗戦、戦後の時代の流れとともに得たもの、
失ったもの、大切にしてきたものなど、いろいろと考え、怒りを持続させて
きたのだろう。5月からの「ムサシ」のロンドン、さいたま、ニューヨーク
公演が、追悼公演になってしまった。井上さんがこの作品に込めた
「報復の連鎖を断ち切りたい」という切実な思いを、世界へのメッセージ
として伝えていきたい。
吉里吉里人 第27章 2011.11.05 コメント(24)
吉里吉里人 第26章 2011.11.03 コメント(23)
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