三角猫の巣窟

三角猫の巣窟

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄

コメント新着

三角猫 @ Re[3]:葬儀について考える(04/29) 四角いハムスターさんへ 伝染病や地震で…
四角いハムスター@ Re[2]:葬儀について考える(04/29) 三角猫さんへ 遺言書に書いておけば、家…
三角猫 @ Re[1]:葬儀について考える(04/29) 四角いハムスターさんへ 私は無宗教無神…
四角いハムスター@ Re:葬儀について考える(04/29) 最近は小規模なお葬式が流行しているよう…
三角猫 @ Re[1]:読書会について考える(04/18) あたたさんへ ビブリオバトルなるものを…
2024.05.21
XML
最近はSNSを使った詐欺が急増していて、警視庁によると2024年1月から3月までの3ヶ月間でSNS型投資詐欺の認知件数は1700件、被害額は219億3000万円で、SNS型ロマンス詐欺は認知件数603件、被害総額60億6000万円だそうな。コンビニで大量のギフトカードを買ったり電話しながらATMで入金しようとする人とかも店員に詐欺を疑われて止められても、詐欺師の意見を信じ込んでコンビニ店員や銀行員の制止を素直に聞かない人が大勢いる。このような詐欺の被害者たちはメタ認知能力が低いがゆえに犯罪を誘発して社会の発展を阻害していると思うので、メタ認知と詐欺について考えることにした。

●メタ認知とは何か

メタ認知とは自分が認知していることを認知することである。メタ認知的知識として自分がどういう人間なのか自分自身について知って、メタ認知的技能としてメタ認知的モニタリングで知覚、情動、記憶、思考などの認知活動を客観的に評価したうえで、メタ認知的コントロールで認知活動を制御することができるようになる。
SNSを使った投資詐欺では森永卓郎や池上彰やホリエモンとかの著名人の動画や音声をAIに学習させて本物そっくりの偽SNSアカウントを作っていてこのAIは相手の言葉に合わせて応答もできるので、外見だけでは相手が本物か偽物か見抜きにくくなっている。そこで自分の認知を客観的に認知して検証するメタ認知能力が詐欺に騙されないようにするために重要になってくる。詐欺師のツールとなるAIや詐欺の手法は日々進歩しているので、我々も騙されないように進歩しないといけない。なにか自分にとって都合がよすぎる儲け話が来たときは、もしかしてだけどもしかしてだけどそれってオイラを騙してるんじゃないの、とメタ認知が詐欺に気づくようにすれば詐欺被害を減らせるだろう。

●メタ認知能力が弱い人のタイプ

・感情的なタイプ

感情を制御する脳の前頭前野は成長が遅いので、一般的に子供は感情を制御しにくくて、泣きわめいたり怒って暴れたりする。大人になるにつれて前頭前野が成長して感情を制御できるようになって、誰かに侮辱されて怒っても怒鳴ったり殴ったりせずに証拠を残しておいて後で名誉棄損で訴えようと考えたりして、自分が怒っていることを認知しつつもその怒りをコントロールして適切な行動をとれるようになる。
しかし中国の小皇帝みたいに親に叱られずに過保護に育った子供は、親が子供のわがままを通してしまうので衝動をコントロールする訓練をしてこなくて前頭前野が未熟なまま感情的に振舞う大人になって、周囲が思い通りにならないストレスで感情を制御できなくなってキレて暴力的になったりしてしまう。
感情的なタイプは好き嫌いの感情で全肯定したり全否定したりしがちで、例えば未婚の女性がSNSで知り合ったイケメン外国人からレストランを開業したいから金を融資してくれと嫌なことを要求されて認知的不協和が起きたとき、不協和を解消するために全肯定して好きな相手の言いなりになってしまって、好きな相手でも嫌な要求は断るという細かい認知の制御ができなくてロマンス詐欺の被害にあう。

・権力があるタイプ

最近はいなば食品が無知な新卒をだまそうとして説明と実際の待遇が違っていて新卒の大半が入社辞退する事態になって、まともな企業のPRとは思えないような釈明が批判された。ワタミの渡邉美樹も「カンブリア宮殿」で「『無理』というのはですね、嘘吐きの言葉なんです。途中で止めてしまうから無理になるんですよ」と従業員が鼻血を出そうが倒れようが無理やり働かせるやり方を披露して批判された。餃子の王将のブラック研修もテレビに取材させて批判された。ペッパーフードサービスの一瀬邦夫が社員に無意味な点呼をさせたりする様子をテレビに取材させて批判された。
こういうワンマン企業の経営者は事業自体はうまくいっているので記憶力や計算力や判断力とかの認知能力は高いのだろうけれど、自分の言動が他人にどう思われて自分の社会的地位にどう影響するのかを理解する社会的メタ認知能力が低いといえる。権力を持って周りをイエスマンで固めて忠言する人がいなくなると社内で全肯定される自己評価と社外の世間からの評価のずれが大きくなって、非常識な言動をしてもどこが問題なのか自分ではわからないようになる。独裁者やワンマン経営者は自分が間違っていようが社内で異を唱える人を怒鳴りつけて従わせたり粛清したりすれば自分が正しいことにできてしまうので、相手に合わせて言動や感情を制御する必要がなくなってメタ認知的コントロール能力が育たなくなるのだろう。
権力者に従順な権威主義者も権威を妄信して本当にそれでいいのかと疑ったり考えたりすることをやめてしまってメタ認知が働かなくなってしまう。例えば上司が飛行機に乗っていて応答ができないタイミングを見計らって上司を装って部下にオンライン会議のメールを送ってディープフェイクで作ったなりすまし動画で送金を指示する詐欺の手口があるそうで、ターゲットになった部下が権威がある人の言うことだから大丈夫だろうと妄信して新規の送金先について調べたり上司に確認したりすることを怠ると詐欺に騙されてしまう。

・自信があるタイプ

歯科医院を運営する「ザ・グランシールド」や信用保証会社「トラステール」がコロナ禍で経営難に陥った病院の債務保証として「年利20%の高配当」「5年満期の元本保証」をうたって無登録で出資を募ったとして経営者の中村佳敬や勧誘役ら8人が逮捕されて、1300人の出資を集めて80億円の被害があったそうで、中村容疑者は実際は病院の債務保証をせずに10億円で外車を買ったりキャバクラで豪遊したりしていたそうな。
東京新聞の記事だと関東の医師(55)は全資産の9割の約6000万円分の社債を買って、子供の大学進学費用もなくなって、妻に社債購入を相談しなかったので妻との信頼関係も崩れて後悔しているそうな。年利20%で元本保証という異常な利回りを変だと思わないのもおかしいし、一つの商品の全ツッパするのは「卵は一つの籠に盛るな」という投資の格言を無視した異常な資産運用の仕方で、金をケチらずに投資助言業者を雇って相談したり、時間をケチらずに投資の勉強をしてセオリー通りにポートフォリオを組んで株と投資信託と不動産とゴールドと外貨にリスクを分散したりしていれば資産の大半を詐欺で失うことにはならなかっただろう。​ 投資と詐欺について考える ​という記事でも考えたけれど、「元本保証」の言葉で安全だと思い込んで思考停止しているんじゃなかろうか。普通はリスクが高い事業ほど出資を集めるのが難しいので利回りが高くなって、例えば楽天モバイルの巨額赤字で資金繰りが苦しい楽天グループのドル建て社債は3年で12.125%でドル債として過去最高の利回りだけれどもし満期になる前に倒産したら元本が返済されないリスクがあるし、国債みたいに満期まで待てば確実に金が増えてリスクがない場合は誰でも投資したがって出資者を集めやすくて利回りが低くなって、例えば個人向け国債の利率は3年満期で0.29%だし、人並みに経済に関心を持っていたら元本を保証しているのに年利20%の超高金利にしないと出資を集められないのはリスクとリターンが矛盾していて怪しいと気づきそうなものだろうに、元本保証で安全だという確証バイアスがいったんできてしまうと自分に不利になる事実は受け入れようとしなくなって危険だと思わずに全ツッパするのだろう。
医師は学力は高いけれど、そのぶん異様にプライドが高くて性格に難がある人も多い。医者が高学歴だろうが医学以外の事については素人なのに、自分が優秀な成功者だという自覚があるせいで自分の考えが間違っている可能性を検討せず、偉い先生とおだてられて増長して謙虚に他人の意見を聞くことができなくなってしまうのかもしれない。詐欺師から見たら金持ちで忙しくて金の使い方を知らなくて世間知らずの医師は騙しやすくていいカモだったのだろう。
能力が高い人だけでなく能力が低い人も自信満々の場合があって、能力が低い人ほど自分の能力を過大評価する認知バイアスはダニング=クルーガー効果と呼ばれる。経済アナリストの森永康平が偽SNSアカウントの詐欺被害にあった人から話を聞いたら、その人はSNSで有名人になりすまして投資をもちかける詐欺のニュースを知っていて騙される人は馬鹿だと思ったけれど自分だけは特別だと思ったと自分に都合がいいように解釈して騙されたそうな。「自分だけは特別」というのは根拠がない感情的な判断で、自分の感情を判断基準にせずに、金融商品取引業に登録していない人が投資を勧誘したら違法だという事実だけを判断基準にすれば詐欺かどうかを判断できたはずである。
高齢男性がマッチングアプリで知り合った相手に結婚や投資を持ちかけられて詐欺被害にあうロマンス詐欺も能力が低いのに自信があるパターンで、社会的メタ認知能力がある人なら老人が若い美女と結婚できるはずがないし言いよって来る奴は詐欺や個人情報の蒐集とかの下心があるはずだと自分の社会的地位を客観視できるだろうに、根拠のない自信がある人は自分に性的魅力があると勘違いしてモテて気分が良くなって相手の言うままに金を渡してしまう。

・障害があるタイプ

発達障害や精神障害がある人は、こうでなければならないという思い込みが強くて修正できなかったり、共感能力が低くて他人の気持ちがわからなくて社会的認知能力が低かったり、言語化する能力が低くて自分の意見をまとめられなかったりして、認知能力自体に問題があるので認知を認知するメタ認知の働きも弱くなる。あるいは健常者でも高齢になるにつれて老眼や難聴などで五感が衰えたり、前頭前野が衰えて記憶を思い出しにくくて考えがまとまらなくなったりして、認知能力もメタ認知能力も落ちてくる。
こうした障害がある人たちは努力して障害を治せるとは限らないし、独力では詐欺を見抜きにくくて騙されやすいので、詐欺被害にあわないように周囲がサポートする必要がある。

●メタ認知能力を鍛える方法

・エポケーする

エポケーとは判断を保留する状態のことで、しばしばカッコに入れると言われる。人間はさまざまな認知のバイアスがあって無意識に間違った認知をして間違った結論や判断に至ってしまうことがあるので、いったん判断を保留することで正しい判断をしやすくなる。例えば著名な経済学者A氏とSNSが炎上した個人投資家B氏が討論番組で投資について異なることを言っている場合、ハロー効果でA氏はすごい経歴と業績があるのだから正しいに違いないと過大評価されがちで、B氏はスキャンダルがあるから間違っているに違いないと過小評価されがちだし、二項対立の選択肢を提示されるとどちらかが正しくてどちらかが間違っていると思いがちでA氏とB氏が両方とも間違っている可能性に気付きにくくなる。このときに片方が正しくてもう一方を間違っていると直感的に判断せずに、(A氏はこう主張している)(B氏はこう主張している)とカッコに入れてひとまず脇に置いて、データが間違っていないか、他のデータはないのか、データは正しくても解釈が間違っていないか、データと解釈は正しくてもロジックが間違っていないか、討論番組の参加者に選択バイアスがあるかもしれないしA氏とB氏以外の人はどういう主張なのか、とひとつづつ検証していけば、A氏とB氏の主張の正しい部分と間違っている部分が明らかになっていって認知バイアスの影響をなくして客観的に判断できるようになる。
他人の意見だけでなくて自分の思考もエポケーできる。(羽振りがいいN氏に元本保証で年利20%の投資を持ちかけられたけれど、これは儲かるので投資するべきだと私は考えている)という認知をエポケーしてカッコに入れていったん脇に置くと、儲けたいという欲やN氏の主張から離れて投資に対する自分の認知を客観視できるようになる。そもそも資産運用とは何なのか、なぜ仕事をして収入を得るだけではだめで投資する必要があるのか、資産運用にはどういうものがあるのか、と冷静に投資に対する自分の認知を検証していけば、そもそも収入と預金で余生を十分に過ごせそうなのでわざわざリスクを取って投資する必要はないとか、今は子供の学費を確保することを優先して子供が大学を卒業してから今の家を売って夫婦で小さい家に引っ越して残った金で老後の生き方を考えればいいとかの投資する以外の考え方にも気付けるようになる。
詐欺師はまくしたてるように話してその場で契約や振り込みを迫って相手に考える時間を与えないようにして論理の飛躍や根拠不足を相手に気付かせないようにしているので、いったん判断を保留するのは詐欺被害防止には有効な手段になる。

・情報と感情を切り離す訓練をする

情報自体には感情がないけれど、感情が思考を鈍らせて判断を間違えさせる。これは投資の判断としては致命的なので、投資詐欺で騙されないようにするには少額で株取引をして損したり儲かったりするのを繰り返して感情の変化に慣れておくことが情報と感情を切り離す良い訓練になると思う。例えば株価が下がったというのは単なる情報だけれど、含み損を抱えて悲しいという感情を持ってしまうと、株価の変動に自分の感情は関係ないはずなのに負の感情を解消しようとして慌てて損切りしたりして判断を間違えやすくなる。損得で自分の感情がどれくらい揺れ動くのかという自分自身の特徴についてメタ認知知識を得たうえで、メタ認知的モニタリングをして判断する前に不足している情報を補足してなんで株価が下がったのか、将来の業績見通しはどうなのかを分析して、メタ認知的コントロールをして情報から感情を切り離して感情が判断に影響しないようにすれば、一時的な感情に左右されずに客観的で合理的な判断ができる。少額の投資の経験さえ不十分なのにいきなり資産の大半をぶっこむような投資をしてはいけない。
他人から投資を持ちかけられたときは金持ちや有名人や美男美女が自分を特別視して声をかけてくれてうれしいという感情をいったん切り離して、誰が何の事業をしようとしているのかという情報だけを判断基準にすれば投資詐欺を見抜けるだろう。

・長い文章を書く

人間のワーキングメモリーは個人差があるにしても、複雑なことを一挙に考えることはできない。しかし文章を書くことでちょっとづつ自分の思考を可視化していって客観視できるようになって、根拠を集めて論理を組み立てて複雑な思考ができるようになる。特に小説を読んで記憶を頼りにして感想を書くのは自分が認知したことを認知する訓練としてはうってつけである。「おもしろかった」「つまらなかった」と一語で感想を終わらせずに、自分が何を面白いと感じたのかという認知を掘り下げていくとメタ認知能力が鍛えられていく。
私は自分の考えを言語化してしゃべったり文章を書いたりするのが苦手な子供で、大学のレポートを原稿用紙10枚分書くのも苦労していたけれど、ブログを書くようになってからたいていの物事について4000字から8000字程度の文章を書けるようになったので、継続して長い文章を書くことによる前頭前野の能力強化の効果はかなりあると思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024.05.23 20:38:58
コメント(0) | コメントを書く
[その他・考えたこと] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: