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で奨学金問題など若者の貧困問題に取り組む、一橋大学院生)の発言については、すでに SNS
上で大きな注目が集まっているようですが、上記 動画
と 今野 晴 貴 の 文章
をもとに、内容を簡単にまとめておきます。過日、私は 『ヒーローを待っていても世の中は変わらない』
における(湯浅誠)の考えを紹介しましたが、通じ合う点が数多くあります。
〔討論・発言の内容〕
・若者の貧困対策 について
小倉大臣は、「異次元の少子化対策」と銘打つ少子化対策のたたき台について「将来を考えると子どもを持つこともできないという社会構造を変えて対応していく」と、自身の政策をアピール。
それに対し、岩本さんは「 全く『異次元』の少子化対策とは思えない。 若者は貧困によってあらゆる機会を奪われているが、そこに対する対応が全くなされてない」と指摘。 数千件の奨学金返済者の声を聞いてきた立場から、奨学金返済の過酷な実態を指摘 した。
まず、学生の3人に1人が平均およそ 300 万円の奨学金を背負い、3割の人が低収入による延滞を経験しているにもかかわらず、今回の少子化対策では「月々の返済額を減額することで、債務の返済を先送りにする」措置の拡充など、その場しのぎの対策しか行われていないことを批判。
これに対し、小倉大臣は給付型奨学金の拡充もプランに入っていると反論。
しかし、岩本さんは、「 それってこれから借りる人に対する対策 ですよね。いま現在まさに奨学金を借りて、その債務が返せなくて困っている人への対策が求められていると思うのです。・・・ 400 万円の奨学金を借りてなんとか子どもを育てながら働いて返えそうと思っていたんだけれども、生まれた子どもが24時間医療的ケアを必要とする子どもで、仕事を辞めざるを得なくなって、債務だけが残されてしまった。『この先どう生きていったらいいかわからない』という、そういう人たちの声も沢山聞いているんです。これからの世代の給付型の拡充はもちろんのことですけども、いままさに奨学金を返せなくて困っている人に対する奨学金の『免除』や『減額』などの対応が求められていると思います」、と応じた。
・社会保障の財源について
次に、番組では「少子化対策を実行するためには数兆円規模の財源が必要になる」との試算が紹介され、税・社会保険・国債のどこを増やして予算を確保するのかが議論となった。
これに対し岩本さんは、 「今の予算の優先順位」の話が一切されていない ことを痛烈に批判した。「少子化対策のみならず、生活保護とか、社会保障の話になった途端、いつも財源の話から入るなって思うんです。「財源がないから難しい」とか『やるなら財源をどこかから取らなければ無理だ』という話になって、いつも社会保障の要求が封じ込められていくと思うんですよね。その一方で、 『オリンピック開催します』とか『防衛費増額します』ってなった時って、財源の話って最初にあったっけ? と。それは開催ありき、増額ありきだったわけじゃないですか。結局「どこに予算を配分するか、という優先順位が、そもそも 少子化だったり社会保障はすごく低く見積もられてるんじゃないかな と思います。」
・高齢者と若者の対立について
「予算」の問題と関連し、 若者と高齢者の「給付と負担のバランス」 についても話題となった。番組では、高齢者関係の給付が増え続けている一方で、児童・家族関係の給付は少ないというグラフが示された。
他の出演者が「高齢者の医療や介護では無駄なところにお金が使われているため効率化をすべき」などと論じる中、岩本さんは「予算を高齢者に振り向けるのか、若者に振り向けるのかという 二者択一を迫ること自体が『罠』だと思います 」と述べ、「高齢者の介護や年金も全く十分でない」ことを指摘。高齢ワーキングプアが増え、労働相談の現場でも生活できるだけの年金をもらえず80歳になっても働いている人から相談が寄せられている実態を訴え、「若者か高齢者かの二者択一ではない」と述べて「対立を煽る論調」に警鐘を鳴らした。
・最後に
「選挙に行くっていうことしか自分の声を届ける選択肢がないっていうふうに思っている人が多いと思う。(しかし)四年に一度の選挙待ってられませんよね。そういう中で、もっと声を上げて、実際その状況を変えてくっていう手段ってあるんだよっていうことを、もっと示していきたいなというふうに思うんですね。(例えば)労働組合に入って職場で声を上げるなど、身近なところで立ち上がる人を増やしたいなって思います。」
以下は、放送後の反響を受けて、今野が岩本さん本人に聞き取った内容(一部)。
Q 討論全体を振り返って、どうだったか?
誰も真剣に若者の貧困問題に向き合っていない、と感じた。まるで言葉遊びのようなテーマの中で空中戦が繰り広げられる様子には、正直憤りを覚えた。
現場に立っている者として強調したいのは、 貧困問題は「ディベートのお題」ではなく、現実の問題
だということ。いま現実に貧困によって人生を奪われている人がいる。そこを蔑ろにした議論には何の価値もない。そこに切り込みたくて、現場で出会った一つひとつの相談を頭に思い浮かべながら問題提起をした。
Q 政治を変えてくれる「新しい政治家」として期待を寄せる声もあるがどうか。
自分の代わりに不満を「代弁」してくれる人、政治家として社会を変えてくれる人、として期待され、「応援」されることには違和感もある。一人がいくら「正しいこと」を言ったからといって、それで社会が変わるわけではないから。
一人ひとりが 自分の学校や職場で声をあげ 、社会運動のうねりを広げていくことでしか、状況は良くならない。 私は討論の最後に「労働組合に入って職場で声を上げるなど、身近なところで立ち上がる人を増やしたい」とコメントした。
私が日曜討論で最も伝えたかったのは、この最後の一言だった 。私たち皆が、自分たち自身で不当な状況と対決し、変えていく。そういう実践が今の社会にはあまりにも欠如しており、それが閉塞感につながっていると思う。
Q 自分自身で声をあげるとは、具体的にはどういうことか?
例えば、職場で賃上げを求めて声を上げるといったこと。今年の2月、 ABC マートでパートで働く一人の 40 代女性が時給を 20 円「賃下げ」されたことをきっかけに、ユニオンに加入して立ち上がり、会社に賃下げの撤回と、インフレの中で生活できない状況を鑑みた賃上げを求めて交渉を申し入れた。
会社は当初賃上げを拒否し、同僚の多くも「どうせ変わらない」と女性を冷めた目線で見ていたが、女性は闘うユニオンの仲間たちの支援を受けながらストライキを決行。こうした闘いの結果、彼女は ABC マートで働く 5000 人の非正規労働者全員の、 6 %賃上げを勝ち取った
こうした直接的な行動により、政治が変えてくれるのを待つまでもなく、自分たちの貧困に対して声を上げることができるし、実際に変化を勝ち取ることができた。
世界(例えば英米)では、「ヒーロー」のような政治家や頭の良い専門家が変化を牽引しているのではなく、むしろ最も弱い立場にあると思われていた人々ー電気代すら払えない困窮者たちや、学生ローンという多額の債務に苦しむ若者たちーの直接行動が、政治の変化や社会の変化を引き出している 。
私は、日本でも世界の動きに学びながら、「奨学金帳消しプロジェクト」や「ブラックバイトユニオン」などに加わる若者を増やし、自分たちで立ち上がって不公正な状況を変えていくという動きを広げていきたい。
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