青春のギターリペア  K2ギターファクトリー

青春のギターリペア  K2ギターファクトリー

2018年04月15日
XML
カテゴリ: ギターリぺアー
◆今回は、【K・Yairi ENJOY RART-1】 フルリペアのご依頼です
 このレアなギターのオーナーのは大橋様です。

◆先ずは画像から状態を確認して行きます

●比較的新しいモデルと思ってました【比較的=90年代】
 トップ割れ【トップソリッド】重度のトップ落ち、ネックが右に動いてるので、トップとサイド
 の貼り合わせがズレてます。


●ENJOY PART-1 と言うモデルなのでしょうか?


●ゼロ・フレットが有りますので、製作後50年程度は経過してると思ってました





●ネックが右に動いてるので、トップとサイド の貼り合わせがズレてます。


●ネックに左方向にのトルクを掛けるとサウンドホールのズレもピッタり合いますが、割れてから
 相当の年数が経過してるので、割れた部分がピッタリ合わず凹み筋が残ります。
 ネック折れも同じですが、折れたら即刻リペアしないと駄目なのはこう言った理由からです。


●サウンドホール下のクラックですがクラック部分に圧を掛けても、V字の溝が残りますので
 この部分の完全修復は諦めて味になる様にして行きます。


●ネックヒールのK.Yairi特有の焼印です


●ブリッジピンが浮き上がってます、新しい物に交換されたのだと思いますが、このままですと
 ブリッジが真っ二つに割れる原因になりますので、リーマーで整えておきます


●重度のトップ落ちです。ミニサイズのギターですからサウンドホールからの修復作業は無理で
 バックを外してブレーシング総入れ替えした方が結果的にリペアは簡単に済みます。

◆リペアはバックを外す事から始めます。



 魔改造したスクレーパーを差し込んで行きます


●マホガニーは時に合わせ目が判り難い部分が有るので、魔改造スクレーパーで少しずつ慎重に
 外して行きます。ミニサイズですから全周が短いので楽に外す事が出来ます。


●右半分が外れました


●バックが外れました 87.09のスタンプが有ります・・・と言う事は87年製?



●クラックとブレーシングですが・・・アバウト!ですが時代を感じます!
 この頃の製作精度はこんなもんでしょうね、でも87年製でしたら言語道断ですぞ!


●ブレーシング【日本語名・力木】は、互いに密着する事で強度が増します。これは法隆寺建立時代
 から変わりませんので、この部分は納得が行きませんし、ホワイトボンドの使い方には?です。


●ライニングにブレーシングがピッタリ密着させないと駄目です


●全てのブレーシングを外して行きます。ホットガンで温めると軟化するので比較的簡単に外れます


●全てのブレーシングを外しました、新しいブレーシングはマホガニーと山桜材を切り出して作ります
 山桜材は非常に硬く高級楽器や高級家具に使われる木材です

◆修復作業に入る前に現状でのフレットボードや、ネックセット角度にズレが無いか確認しておきます


●テンションが掛かってませんがネックはストレートです、トラストロッドは入ってません


●現状で12フレットの弦高がどの位になるか確認しておきます。
 2.75mmはミニギターとしては少し高いです


●トップとサイドのズレからネックのセット位置が、ブリッジを底辺とすると右に2mmズレてる
 計算になりますが、計算通りズレてますのでピッタリ合わせ無いと弦を張った時に大変な事になります


●全てのブレーシングを外してもトップ落ちが戻る気配が有りません、長年に渡って変形した
 木材は頑固です


●トップのクラックを合わせて測定するとピッタリの位置になります


●この状態で水平器にトップ落ちを合わせると元の状態に戻す事が出来ますので、サウンドホール下に
 2か所ブレーシングを入れて変形補修と補強して行きます


◆リペアの順番を間違えると後々面倒な事になりますので、作業順番をシュミレーションして行きます


●サウンドホール下のクラックの補強&貼り合わせから始めますがV字の溝が残ります。
 の予定でしたが、トップ落ちが予想を超えておりクラックの貼り合わせが出来ないため、
トップ落ち変形の修正 から始めます。


●直前の工程の画像は非公開とさせて頂きます、重度のトップ落ちがほぼ真直ぐに戻りました
 いきなりクランプの力技でねじ伏せた訳では有りません。そんな事したらトップがパッキ!です


●最も酷かったサウンドホール下の戻り具合をスコヤで確認します


●サウンドホールの部分も真直ぐに戻りました


●クランプを外して確認します・・・・・・少し隙間が有るでしょう?
 ですが心配無用です、ブレーシングを貼り付けてませんのでブレーシングを
 入れれば真直ぐになります。


●トップのズレた部分をスプールクランプで接着しておきます


●サウンドホール下のクラックはパッチで補強して行きます。


●本来有るはずのネックポケット下の弦のテンションを受ける補強材は、山桜材を使い
 ます、ネックポケットに付いてますので弦の振動をボディに伝える効果も期待してます


●ブレーシングを入れて行きます



●クラックには特殊なパテを入れて補修しますが、オイルフィニュッシュ仕上げをして
 有る程度馴染みますが、跡が残る事はやむ得ないです。


●重度のトップ落ちもここまで修復出来ました。
 手前のマスキングテープはトップが剥がれた部分の接着です


●ブリッジ周りのブレーシングを残すのみになりましたが、トップのノックテストをして
 乾いた金属音がする様に入れる事と、強度を高めると言う両立しない事を折り合いを
 付けなければ成りませんので慎重に決めて行きます。
  トラストロッドが入ってませんので、ネックの剛性は高いと判断出来ます、弦の
 テンションがまともにボディ破壊と言う現象で現れたと思います。


●残りのブレーシングを入れて行きます


●ブリッジ周りの隆起は有りませんでしたので、横方向のブレーシングで対応して貰います


●全てのブレーシングが完了しました、バックを張り付ける前にライニング&ブレーシングに
 問題が無いか慎重に確認しておきます


●スプールクランプを掛けるシュミレーションと素早く取付けられる様に高さを調整しておきます


●今後の事を考えてバックの接着にはニカワを使います。ニカワの温度管理には 一人焼肉用の
 ホットプレートが重宝します。
瀬戸物のコーヒーカップの方が金属カップよりも過熱を止めても
 温度の下がりが緩やかなのでの便利です。


●全周にニカワをタップり塗り付けて、手早くスプールクランプを締め付けトルクを
 弱すぎず強すぎず、を均一に成る様に取付けて行きます


●時間を空けてニカワが完全に乾く前に、スプールクランプを5個くらい外して、はみ出した
 ニカワを蒸しウエスで拭き取っておきます。
 完全硬化したら仕事が増えてしまいます。
 拭き取りまでの時間は、室温で変化しますのでニカワを他の木材に塗って、どの程度
 硬化してるか確認をすれば拭き取りのタイミングを外しません。

●この状態で一日放置して完全硬化させます。
 工房内が獣の香で一杯です。毎度の事ですけど、ニカワの香何とか成りませんかね?



































お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2018年05月08日 00時31分37秒
コメント(8) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:◆K・Yairi ENJOY RART-1 フルリペア(04/15)  
大橋照賢 さん
ありがとうございます。
とても緻密でご丁寧なリペアに感服いたします。
楽しみにしております。 (2018年04月25日 22時48分56秒)

Re[1]:◆K・Yairi ENJOY RART-1 フルリペア(04/15)  
大橋 様

お世話になります

リペアもいよいよ佳境に入って来まして、後はセッティングを
残すのみに成りました。
リペア前の音質を聴いてませんので、どんな声を聴かせてくれるのか
楽しみでも有ります。
 リペア以上にセッティングでギターは決まると思ってますので
全神経集中してセッティングさせて頂きます。

K2ギターファクトリー
(2018年04月27日 22時55分29秒)

Re:◆K・Yairi ENJOY RART-1 フルリペア(04/15)  
あんでぃ さん
初めまして、enjoy part1が欲しいと思ってたらここにたどり着きました(苦笑

膠なんですが、獣の臭いがするんですね〜
やはり純粋なコラーゲンですと臭いはないですがそれではダメなんでしょうか(笑 (2018年05月06日 12時57分53秒)

Re[1]:◆K・Yairi ENJOY RART-1 フルリペア(04/15)  
k2ギターファクトリー さん
あんでぃさんへ

いらっしゃいませ!

純粋なコラーゲンはお肌と体には宜しいのですが、ギターの接着には
獣の香のコラーゲン系が宜しいようです。
豚骨ラーメンで有れば入店直後は感じますが、
自分が食べると全く気になりません・・・
ニカワ喰う訳には行かないので、慣れるかもと数十年経過しても全く
慣れる気配すらないです(笑)

使う理由は、楽器の接着剤としてニカワを超える物は残念ながら
21世紀になっても開発されて無い事です。
将来を見据えたリペア箇所にはニカワを必ず使います。
(2018年05月06日 20時09分28秒)

Re[2]:◆K・Yairi ENJOY RART-1 フルリペア(04/15)  
おおはし さん
k2ギターファクトリーさんへ

ありがとうございました!とても弾きやすく、次の音が浮かんでくる想像力をかきたてるギターに生まれ変わりました!ジプシーローズの命名もありがとうございました。(^^) (2018年05月07日 23時07分38秒)

Re[3]:◆K・Yairi ENJOY RART-1 フルリペア(04/15)  
おおはし 様

お世話になります

今回のリペアは強度確保と音質の両立し難い点を、何処で折り合いを
付けるかに注力しました。
ボディサイズが極端に小さいくても、レギュラースケールと言う
事も有り、更にリペア前の音を確認出来無いと言う綱渡りの様な
スリルを堪能させて頂きました。

ロッドが入ってませんので、弾き終わりましたら全ての弦を緩めて
休ませて上げて下さい。

試奏しましたら、何とも不思議な音色で中東のイメージが湧いて来ました!
【ジプシーローズ】って感じかな?と直感で浮かびましたのでそのままお伝え
したところ、名付け親の名誉も頂き有りがとう御座います。
ジプシーローズで、作った新曲楽しみにしてます!

(2018年05月11日 19時42分05秒)

Re:◆K・Yairi ENJOY RART-1 フルリペア(04/15)  
イーグルくん さん
はじめまして
アコギ、ってスチール弦だから構造が弱いと自壊しバリバリすぐ壊れてしまう御様子で、大変なのですね・・・

◆1.ナイロンガット弦クラギの場合、ボディ内部パーツで最大質量、ヒール裏のブロックとテールブロック重いパーツですが、半分くらいに小さくなるとどうでしょう?(トーレス 1863 の内部構造は側板が極めて薄く t=0.8 、これらブロック小さく軽くしてるから、ですが)

◆2.同じくクラギの場合、曲を演奏中に弦を弾いてる際に、ボディの膨張方向と収縮方向、振動音波はどちら向きの動きが高速に動くのでしょう? (クラギでは世界的名手の人はフォルテfではかき鳴らしではなく、弦を思い切り押さえ下げて弦リリース操作で大きく鳴らします)

私はクラシックギターを弾くのが大好きで、クラギのハウザー1世のように弦に触れれば本物の弦楽器が鳴ってるような軽ろやかでキレキレな楽器音のアタック音色と整数倍音豊かなリリース(ギター用語でのサステイン)響きに憧れています。

拝 (2019年11月04日 00時46分45秒)

Re[1]:◆K・Yairi ENJOY RART-1 フルリペア(04/15)  
イーグルくんさんへ

ご訪問有難うございます

◆1 トーレス 1863 の内部構造は側板が極めて薄く t=0.8  

 このギターの情報を持ち合わせて居りませんのでお答えのしようが有りません
 私の工房はリペアショップですので、構造による音質の変化を調べる術が
 有りませんのでお答えする事が出来ません。

◆2、ボディの膨張方向と収縮方向、振動音波はどちら向きの動きが高速に
   動くのでしょう? 

  ご質問が専門的過ぎてご回答が出来ません。もっと専門的な機関や
  メーカー様にご質問された方が良いと思います

クラギのハウザー1世を触った事が有りませんが、西ドイツ【統合前】製の
エドガーメンヒ3世と言うクラッシク界では相当有名なギターをリペアさせ
て頂いた事は有ります、私が弾いた音とがオーナー様のM先生が奏でる
音が全く違う経験は有ります。先生はプロですから当たり前ですが、
それ以来先生のギターの試奏をしても意味が無い事を悟りましたので
セッティングデータとチューニングしてお渡しする事にしてます。
  (2019年11月04日 07時25分48秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: