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2007.09.12
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カテゴリ: 読んだ本
平成19年2月 祥伝社より(文庫化)

主人公は「ノビ師」を生業とする真壁修一。
「ノビ師」というのは窃盗犯の中でも、深夜、家人が在宅の民家に忍び込み、金品を盗み出す
忍び込みのプロのこと。
横山秀夫は警察小説をよく書く人ですが、今回は逆に犯罪者の立場からの話です。

さらに、設定が変わっています。
真壁修一には、かつて双子の弟がいたんですが、母親による自宅への放火により弟が焼死。
死んだ弟の魂が兄の中に入り込み、まるで生きているかのように会話ができる、というもの。
なんか、アニメとかドラマとかでウケそうな設定だな。



短編というわけではないんですが、ストーリーはいくつかのエピソードが連なる形で進みます。
「消息」「刻印」「抱擁」「業火」「使徒」「遺言」「行方」と、章ごとにつけられたタイトルの
ように、中心となる事件が移っていく。

ただ、全編を通じて流れている問題があります。
自分の中に存在する双子の弟のこと、恋人である安西久子との関係、母親の放火。

最終章でそれらが解決します。
ラストはもの悲しい感じではあるんですが、ちょっと呆気なさ・物足りなさも感じました。
うーん。
主人公がストイックで、あんまり感情的に大騒ぎしない人だからかな。(^^;

真壁修一は頭が良く、度胸があって、腕っ節もそこそこ、クールに見えて情の厚いところもある、
というかなりよくできた主人公らしい主人公で、カッコイイです。

好きでした。

真壁が警察の人達と話をするシーンがいくつかあるんですが、犯罪者の視点から描く警察、
というのがちょっと面白かった。
真壁を犯人として捕らえてポイントをあげたい盗犯係のギラギラした視線の横で、
スリ係だから自分は直接関係ないと、比較的のんびりとした様子で情報をくれる刑事もいる。


気楽に読んで楽しめる1冊でした。






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Last updated  2007.09.12 12:35:28
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