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2008.05.30
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カテゴリ: 読んだ本
1974年~1982年 週刊朝日に連載
1987年9月 新潮文庫より(平成17年1月 44刷改版)


出来たばかりの上田城に拠った昌幸父子は、捨身の決戦で数倍の敵を退ける。
そして、旧態依然たる北条家のふるまいに嫌気がさした豊臣秀吉は、甲賀忍びの御伽衆・
山中長俊の仕組んだ謀略を使って開戦にもちこみ、小田原城を攻め落とす。
こうして秀吉の天下統一はなったのだが・・・・。
(裏表紙の内容紹介より抜粋)



というわけで、とうとう徳川・北条連合との開戦です。
真田の兵力は2000。
徳川・北条連合は5倍の10000。
圧倒的な不利ですが、そこはさすがの真田、奇襲や城に誘い込んでの待ち伏せなどを駆使して
見事に撃退します。

まあ、家康が出してきた徳川軍が2級の武将だった、というのもあるんですけどね。
それと秀吉からの密命による上杉景勝の援助。


景勝は直接参戦はしませんが、少し離れた川中島に兵を置いて、長引いたら上杉がくるぞ、と
いうプレッシャーをかけてくれる。
秀吉は直接家康と戦うのは避けたいんですが、家康と戦う勢力には手を貸してくれるという
漁夫の利作戦。

いったんは撤退した徳川・北条連合軍。
その間の天下の情勢はと言うと、秀吉が妹の朝日姫を徳川家康に嫁がせ、加えて母である
大政所(なか)を人質として家康の下へと差し向ける。
これでついに家康も諦めて、小牧・長久手の戦い以降ずっと秀吉に逆らい続けてきたのを曲げて、
大坂へ伺候する、という頃。

で、その後。
いったんは上田から撤退した徳川勢ですが、家康が真田攻めを公表。


天下人の調停ですから、ここは逆らうわけにはいかない。
真田も徳川も秀吉の言う事を聞いて、諦める部分は諦めた(真田昌幸は沼田を手放した)のに、
北条だけが時代を読めず、秀吉に逆らい(名胡桃が欲しい、とか)続けます。
結果、謀略を使った秀吉が小田原城攻めを行い、ここに完全な天下統一がなされたわけです。

この謀略の犠牲になったのが真田。


秀吉は甲賀忍びを使って、関東の北条からと見せかけた偽の密書を沼田城代へ送り、
名胡桃城を攻めさせたのです。
名胡桃城は陥落、鈴木主水は切腹。
秀吉は天下太平を乱す北条を成敗する、という口実を得て、小田原城攻めを行う。

でもこの時、昌幸は真田の忍びであるお江により、そのことを知らされていたんですよ。
しかし、真田の生き残りのために、涙をのんで名胡桃城を見捨てるという苦渋の選択をする。
その結果、名胡桃城に預けていた側女のお徳も命を落とすことに。
人の情だけでは生きられない、厳しい時代だったんですね。
でも、だからこそ情に殉じた物語が光るというか。
歴史は人が作ってるんだなあ、としみじみ思います。

天下の情勢はこんな感じ。
さて、真田の家中の問題はと言うと。

出奔していた問題児・樋口角兵衛が帰ってきました。
徳川・北条連合による上田攻めの直前に、「真田のために」という名目で。
相変わらず態度が悪くて、戦の最中に何かしでかすんじゃないかと思ってハラハラしましたが、
特に悪さもせずに良く戦っていました。
角兵衛って馬鹿力で、とにかく戦闘力は高いので、活躍もしてましたよ。
意外~。

そして上田城防衛の後、約束通りに幸村は上杉景勝の下に人質として出向きました。
でも景勝にすごく気に入られて、人質扱いとは思えない可愛がられ方。

そこへ秀吉が横やり。
昌幸に「幸村を人質として大坂に差し出せ」って言うんですよ。
そのためには景勝から幸村を返してもらわなくちゃいけない。
困った昌幸は、正直に景勝に全てを話して、誠心誠意お願いをする。

そうすると景勝がまたステキな魅力を爆発させちゃうんだな、これが。

「正直に申したので、ゆるしてつかわそう」と昌幸を許し、「誰か代わりの人質を」という昌幸に
「そのような者はおるまい。」とそれ以降の人質は取りません。
また、大坂に向かう幸村を華やかに支度してやり、供回りとして50人も家臣をつけてやる。
そして「上杉の名を汚すまいぞ」と送り出すという、父親のような心遣いの景勝なんです。

景勝、結構好きになっちゃったかも。
来年の大河ドラマって、直江兼続なんだよね。
景勝も出るんだから、見ようかな。

そして、再び樋口角兵衛。
幸村を殺そうとした過去も持つ角兵衛ですが、幸村と和解しました。
角兵衛の内心には「からかってばかりで、自分を尊重して可愛がってくれない幸村がキライ」と
いう単純な思いがあったようです。
それが、大坂での人質生活などで大人になった幸村が、角兵衛に対し一人前の大人にするような
振る舞いで優しくしてやったら、もうあっさり。

よかった~(^^)と思ったんですが、それも束の間。
今度は長男・信幸に対する態度が悪くなる角兵衛。
理由は、これまた単純なこと。
小田原城攻略の折りに命を落としかけた信幸を、幸村の命令で後を追った角兵衛が救ったんです。
それに対し、幸村は他の家臣の前で角兵衛の手を握りしめて「よくぞ兄上を救ってくれた」と
大仰に感謝したのに、信幸は「よく仕てのけた」と一言で、大仰に褒めてくれなかったから。

幸村はたぶん、角兵衛を真田の一員としてよく働いていけるように、わざとそうしたんだろうと
思うんですが、それが裏目に出た感じ。
いや、幸村はお兄ちゃん大好きだから、本心でも感謝はしていたと思うけど。
対する信幸は、一軍の将としての振る舞いだった。
でもさぁ、子供の頃から15年もつき合ってきていて、増してや信幸にはとても可愛がられて
きてるんだから、気持ちとか伝わりそうなものじゃないですか。
それがわからない上に、極端から極端へ走る角兵衛。
やっぱり、どこか異常な精神面を持つんだろうな。
今後も目が離せそうにない危険人物です。

そして、一番の大事件は真田信幸の結婚です。

相手は徳川家家臣・本田平八郎忠勝の娘である稲姫(=小松殿)。
でも、家康が養女としてから嫁がせてきているので、身分としては家康の娘とも言えるわけです。

徳川から嫁をもらっても真田は真田・・・・ではあるんだけど。
小松殿がとてもよくできた女性で、信幸とも仲良し。
で、小松殿を通じて、信幸のところへ徳川から色々な情報が来る。
「このことは他にお漏らしにならぬよう」と一言添えて。
しかも、家康は信幸を大切にしてくれて、信幸も家康を頼みになる大名だと感じている。

一方、昌幸の方には秀吉からいろいろな情報が来るわけですよ。
大坂での人質生活を送る幸村が、ここでもやっぱり秀吉に気に入られて可愛がられていて、
秀吉やその周囲の奉行達(それは例えば石田三成とか)からも良くしてもらっているから。
で、こっちでも「このことは他にお漏らしにならぬよう」。

こういう小さな積み重ねで、昌幸&幸村と信幸の間に、以前のような何でも話せた親密さが
失われていくんです。
本人達、互いに親子・兄弟として好きな気持ちとは別に、もやもやとしたわだかまりが。

ああ、こうして後の関ヶ原で、東西に別れていく土壌が作られているんだな、と。
今後どのようにして、この兄弟が別れを決意するのかと思うと、ちょっと切ないなあ。






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Last updated  2008.05.30 17:46:32
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