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2010.01.28
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カテゴリ: 読んだ本
2006年8月 幻冬舎より(ハードカバー)
2009年5月 光文社より(新書版)


世界は毒に満ちている。かくも無力で、守るべき者を持った私たちの中にさえ。

今田コンツェルンの広報室では、ひとりのアルバイトを雇った。編集経験があると
自称して採用された原田いずみは、しかし、質の悪いトラブルメーカーだった。
解雇された彼女の連絡窓口となった杉村三郎は、極端なまでの経歴詐称と
クレーマーぶりに振り回される。折しも、街では連続して起こった、
無差別と思しき毒殺事件が多くの注目を集めていた・・・・。
人間の心の陥穽を、圧倒的な筆致で描ききった現代ミステリーの最高峰!

(裏表紙紹介文より)


誰か 」からつながるシリーズ本です。
「誰か」が平凡な日常に潜む醜さや悪意が引き起こした小事件だったのに対し、
こちらは悪意や怒りが無差別に世間に向く怖さを描いています。

主人公は前作と同じ杉村三郎。
話は、無差別連続殺人事件で一人の老人が亡くなるところからスタートします。

その事件を調べていくことになります。

それと同時進行の形で、解雇したアルバイト・原田いずみが引き起こすトラブルの
数々が描かれていきます。
一言で言ってしまえば身勝手な原田いずみですが、とにかく非常識なので
真っ当な理屈が一切通用せず、事件に巻き込まれた側としては理不尽としか
言い様がない。

この無差別と理不尽というキーワードで、平和な日常に見えるこの世界に
潜んでいる危険を描いているように思います。
けっこう怖いです。
詳細は以下に。


最初は職に就くための経歴詐称。
編集経験があると言ったのがウソで、期待された仕事ができずミスを指摘されると
キレて怒る、物を投げたりして暴れ他人に怪我をさせる。
就労態度があまりに悪いので解雇されたら、ありもしない中傷をでっちあげて
あちこちに吹聴し、会社を訴えると脅す。
会社側が動じないと知ると、広報室に忍び込みコーヒーに睡眠薬を混ぜて
救急車騒ぎを起こさせる。
これで指名手配されたら、ついには杉村氏の自宅にナイフを持って入り込み、
幼い娘を人質に取って立てこもる。

常識が通用しないから何を言ってもムダ。
金銭的な要求があるわけではなく、恵まれない自分のために、社会に対する怒りを
ぶつけているだけなので、何もかも思い通りにならないと気に入らない。
悪事を実行するだけの知恵はあるので、本当に質が悪い。

最終的には娘は無事に救出され、原田いずみは逮捕、事件は解決されるわけですが。

印象深かったのは杉村氏の義父・今田コンツェルン会長の言葉です。
今田会長は思慮深く、権力に傲らない公正な人で好き。
最初に原田いずみに睡眠薬を盛られた時に、杉村氏に怒りと共に言ったのが

「社員達がわけのわからん薬を盛られて、それが誰の仕業かわかっておっても
 手出しができん。逃げられたら見つけることもできんのだ。それが何の権力者だ。
 そう思わんか」

「究極の権力は人を殺すことだ」
 他人の命を奪う。それは人として極北の権力の行使だ。しかもその気になれば
 誰でもできる。だから昨今、多いじゃないか」

自分は巨大企業の会長という権力があるように見える立場だが、無力だと、
大切な社員を傷つけられても、極北の権力の行使者に対し何もできない、と
怒りを感じているわけです。
そしてまた、無差別連続殺人事件の被害者の孫娘の怒りを聞いて、嘆く。

「その娘に、正義なんてものはこの世にないと思わせてはいけない。
 それが大人の役目だ。なのに果たせん。我々がこしらえたはずの社会は、
 いつからこんな無様な代物に堕ちてしまったんだろう。」

もう一つ印象深かったのは、元刑事で今は探偵をしている北見老人の言葉。
北見氏は警察の仕事は後始末だけだから、事件が起こる前に困っている人の助けに
なりたいと、刑事をやめて探偵になった人。
その人が杉村氏に、原田いずみは正直すぎるくらい正直な普通の人だ、と言うんです。
杉村氏は原田いずみが普通とは思えない。
普通とは自分や北見氏のような人を言うのだと思う、と答えると
北見氏は、それは立派な人間だと言う。

「こんなにも複雑で面倒な世の中を、他人様に迷惑をかけることもなく、
 時には人に親切にしたり、一緒に暮らしている人を喜ばせたり、
 小さくても世の中に役に立つことをしたりして、まっとうに生き抜いて
 いるんですからね。立派ですよ」

それこそが普通だと杉村氏が言うと

「今は違うんです。それだけのことができるなら、立派なんですよ。
 『普通』というのは、いまのこの世の中では『生きにくく、他を生かしにくい』
 と同義語なんです。『何もない』という意味でもある。つまらなくて退屈で、
 空虚だということです。
 だから怒るんですよ
 どこかの誰かさんが『自己実現』なんて厄介な言葉を考え出したばかりにね」

後半、ちょっと解りにくいけど、自己実現なんて概念が出来上がってしまったから
自己実現ができない凡人は空虚でつまらない人生、今はそれを指して
普通と言うってことかな?。
だから、自己実現(理想とする自分になる)ができない原田いずみが怒る、と。

無差別殺人の犯人は、どうしようもない貧困と病身の苦労と不運の中で、
「どうして自分だけが」という社会への怒りを、青酸カリの混入という形で
社会にぶつけてしまった。

原田いずみは自分が理想とする自分になれない怒り、思い通りにならない怒りを
杉村氏に(人物を特定しているけど、たまたま杉村氏だっただけで無差別に近い)
ぶつけてしまった。

怒りという同じ動機で、同じ発現方法だけど、これを一緒のものとは考えたくないなあ。
原田いずみのように、自分の満足しか考えられない人が増えているんでしょうかね。
普通でいいじゃんか。
理想の自分になれなくても、自分は確かにここにいるし、ちょっと見方を変えれば
日常の生活の中にささやかな幸せがあるのに。
生きにくい世の中だ・・・・。

最後に杉村氏が見捨てられる家に対し哀惜を感じるシーン。
私もつられて悲しくなっていたんですが、家族にそう言ったら
「他の人が住むからいいのでは?」と。
犯罪被害に合った家では、そのことを思い出してしまうので住み続けられないのは当然。
でも別に家自体が崩壊したわけじゃないから、家の寿命は尽きていない。
主が変わっても、家はそこでまた愛されてモノとしての寿命を全うできる、
と思ったらホッとしました。
この本、何だか救いがそれくらいしかなかった。
このシリーズはまだ続くのかな?
次には杉村氏が探偵になっていったりするんだろうか?
その時に杉村氏の家庭が温かいものであったらいいなと思います。







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Last updated  2010.01.29 12:40:58
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