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2011.10.03
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カテゴリ: 読んだ本
訳:古沢 安二郎
1979年7月 新潮社より


冷たい雨のそぼ降るロンドンの町へ放り出された。
無情な人間たちに追われ、意地悪なボス猫にいじめられ----
でも、やさしい雌猫ジェニイとめぐり会って、2匹の猫は恋と冒険の旅に出発した。
猫好きなギャリコが、1匹の雌猫に永遠の女性の姿を託して、
猫好きな読者たちに贈る、すてきな大人の童話。

(裏表紙 紹介文より)


前回読んだ『猫語の教科書』と同じ作者の話です。
気付かなかったけど、映画『ポセイドン・アドベンチャー』の原作者でもあったんですね。
『ポセイドン・アドベンチャー』、怖いけど好きな映画でした。
あ、リメイクじゃない方ね。


舞台はロンドン。
人間であったピーター少年が交通事故に遭い、不思議なことに白猫に変わってしまう。

他の雄猫の縄張りに踏み込んでしまい大怪我をしたピーターを
先輩ノラネコのジェニイが世話をし、猫としての正しい振る舞いを教えながら
2人で冒険の旅に出る。
猫には厳しい人間世界で協力している内に、2匹の間に友情と恋心が芽生えていく話です。

話としては普通。
おもしろいと言えばおもしろいですが、いかんせん訳が古い。
少年ピーターの言葉が「ぜひ話してくれまえ」とか「ぼくにはできんよ」とか、
昔の紳士って感じで馴染みにくい。
まあ、本自体が古いから仕方ないですけど。

あと個人的な好みですが、擬人化した猫の話ってそれほど惹かれないんですよね。
結局は猫の姿を借りただけの人間の話って感じ。


最後はイマイチ。
大団円と章のタイトルにはありますけど、個人的にはケッって感じ。(笑)

以下、ネタバレとなりますのでご注意ください。























2匹でロンドンを離れ、グラスゴウへと旅をするあたりが一番おもしろかったです。
カウンテス・オブ・グリーノック号という船にこっそり乗り込むんですが、
船が動き始めた後に、2匹が倒したネズミを持って人間の前に行きそれを見せる。

乗船を許されるのです。
昔は、ネズミを取るために船に猫は当たり前だったんですね。
2匹は優秀なので、船乗り達に可愛がられています。

ジェニイが誤って海に落ち、それを助けようとピーターが海に飛び込んで、
2匹とも死を覚悟するんですが、船乗り達はわざわざ船を止めて
救命ボートを出してくれたりする。

船がグラスゴウに着いた後に、2匹は船を下ります。
犬に追われて高い橋の上に上ってしまい、もうダメだという時にも
梯子車を出したり、作業員が上ってきたりして人間達が何とか助けてくれる。
そういった箇所が可愛くて、好きでした。


でも終盤がね~。

ロンドンに戻ってきた2匹は、昔ジェニイを捨てた飼い主一家に偶然出会います。
ジェニイは捨てられたと思っていましたが、実は違うことが判明。
引っ越ししようとしていた飼い主一家、引っ越し先の家がペンキ塗り立てで、
乾いたらジェニイを迎えに来ようと思っていたところ、
一家の一人娘・バフ(ジェニイの飼い主)が急病に倒れて危篤状態になったため
来られなくなったのでした。
それでようやく迎えに来た時には、飢えたジェニイは逃げ出した後。
その事情を知り、バフに会えて喜ぶジェニイ。
バフも再びジェニイを家に迎えようとしますが、ピーターは家に入れてもらえません。
するとジェニイはその家を出て、ピーターと一緒にノラとして生きることを選択するのです。

それなのにピーターがさー!
ジェニイが眠っている間に、ジェニイのための朝御飯を探しに外に出たのに
そこにいた美人の外国猫にうつつを抜かして、彼女と3日間も遊び歩いてしまうのです。
その間、ジェニイのことは思い出しもせず。
気まぐれなその猫にフラれて、ようやくジェニイの事を思い出し慌てて戻るピーター。
でもジェニイは消えていなくなっています。

ロンドン中を探し回るピーター。
ジェニイは、初めて彼等が出会ったジェニイのねぐらでピーターが来るのを
待っているんですが、ピーターは思いつきもせず。
闇雲にあちこちを夢中で探して飢えてボロボロになった頃に、 たまたま その場に行き着いて
ようやくジェニイに出会う。
ピーターを責めもせず、優しく迎え入れるジェニイ。

そんなジェニイを近所のボス猫が妻にしようとします。
ピーターがジェニイと一緒にいたかったら、雌をめぐるオス同士の争いに勝たなければですが、
ジェニイは危険なのでそんなことはさせられないと言います。
しかし、ピーターが断固として戦うと言うと、ジェニイはうっとりとなって
「頼もしい男の方と一緒というのは何て幸せなんでしょう」と言うんだけど。

裏表紙の紹介文にもありますけど、この話って男性作家のギャリコが
『1匹の雌猫に永遠の女性の姿を託して』書いているわけです。
つまり、賢くて優しい妻(恋人?)がいるにもかかわらず
美人で不思議ちゃんな女性と浮気したい、
それを知っても妻は少しも怒らずに許して欲しい、
妻のためにちょっとした自己犠牲を伴うナイト気取りな言動をしてみたい、
ナイトな言動のご褒美に妻からうっとりと「あなたってなんて素敵なんでしょう」と言われたい、
という男のドリームが描かれてるんだなーと。
女性の目からすると、ホント馬鹿馬鹿しい。

結末としては夢オチです。
ピーターが事故で意識のない間に見ていた夢。

目覚めたピーターは、自分に関心の薄かった母親が泣きながら抱きしめているのに気付き、
その匂いにジェニイと一緒にいるようだと思い、永遠にジェニイを失ったことをよしとしてしまう
っていうのも何だかなーって感じ。
まだ子供ですから仕方ないと言えば仕方ないですけど。
でもジェニイとの間に恋心を覚えた筈だったのに、それはなかったことにして
母親への愛でいいことにしちゃうんだ。
恋愛感情とかピーターの成長とかは、夢から覚めると共に失われちゃうんだ。
これじゃ何のための冒険談だったのかさっぱりわからないなーと思いました。





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Last updated  2011.10.03 12:32:55
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