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Rakugan is Kitten

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2013.05.22

２００９年０１月　新潮社より

いま江戸で評判の変わり菊競べを見たくてたまりません。
姉君三姉妹の失踪騒ぎに乗じ屋敷を抜け出すと、そこには名菊「雪見桜（ゆきみのさくら）」を
踏みにじり、選考に不満をわめく、天下のボンボン田沼意知の姿が。
めだかの正義に火が点り、やがて将軍さまも巻き込んだ未曾有の大騒動が始まるのでした。
文庫書き下ろし「退屈姫君」シリーズ完結編！
（裏表紙紹介文より）

めだか姫の乳母・諏訪が妊娠、胎教のためとおてんばな振る舞いや外出を禁じられためだか姫。
そこへ、父である西条綱道が「一大事じゃ！」と駆け込んできます。
猪鹿蝶三姉妹が行方不明になったというのです。
綱道が３人の結婚を決めたため、結婚前に遊んでおこうと抜け出したらしい。
このことが結婚相手の家に知られたら、婚約破棄の恐れが。
それを阻止するため、めだか姫が姉姫達を探すために立ち上がります。
しかし、本当の目的は菊合わせ（菊の展覧会）に出席すること。

敵は田沼だし、最後は大団円というおきまりのパターンで
水戸黄門を見ているような安心感があります。(笑)
途中にハラハラするシーンもあり、十分に楽しめました。

以下、ネタバレとなりますので間を開けておきます。

菊合わせで、田沼意知が出品した京雅（みやこのみやび）。
京都の大覚寺でしか作られていないものを、譲り受けてきたものです。
１位を取ってこれを将軍・家治に献上し、田沼意次に続き息子の田沼意知が中央への権力を
拡大しようと計ったのです。
しかし、そこで出品された雪見桜（ゆきみのさくら）が１位に。
作ったのは中澤真吾という小普請組の御家人（徒歩侍）。
貧乏で菊を作るために借金もしていた真吾は、めだか姫の紹介で綱道に雪見桜を売ることに。

しかし田沼意次の陰謀で、中澤真吾の菊園は襲撃を受け

その上で、田沼は将軍に吹き込んで、将軍主催の菊合わせを開くことに。
田沼の陰謀を阻止するためには、雪見桜を出品しなければなりません。

実は菊作りに参加していた矢橋卓蔵が、中澤真吾に内緒で、江戸のどこかの農家に
雪見桜を預けていました。
その場所は矢橋卓蔵しか知らず、矢橋は襲撃で意識を失ったまま。

暗号を榊原香奈が解き、雪見桜を取りに行く中澤真吾たち。
菊合わせに間に合うかどうか、時間との戦いになります。

菊合わせの開始時間を遅らせるよう、めだか姫からの伝言を将軍に伝えに行くお仙。
しかし、お仙の前には御庭番である熊野忍びが立ちはだかります。
以前にもお仙が江戸城に侵入して将軍に会ったため、彼らの面目は丸潰れ。
今度はお仙を殺すつもりです。

お仙の戦いが見ていてしんどかった。
まず３人の忍びを倒したら、最後にボスクラスの多由也を倒さなくちゃいけなくて。
お仙は３人を倒しますが、命は取らない。
お仙も熊野忍び。
３人が、自分を指導してくれた隠れ里の爺さん・婆さんの忍び達の血縁であるとわかるから。
お仙のこういうところ、いいな。
しかし多由也に負けてしまい死にかけたところを、なんと将軍が助けてくれるのです。
屋根の上で戦っていて首を絞められてしまうんですが、将軍が窓から火縄銃で多由也を撃って
離すように言ってくれるの。
家治ってば、おいしいトコ取りですね。(^^)
おかげで、めだか姫は何とか菊合わせに雪見桜を間に合わせることができます。

判定の時に、家治の正室で京都の公家出身の倫子宮が自分に決めさせて欲しいと申し出ます。
倫子は京雅を選んでしまうに違いない、とハラハラするのですが、
意外にも選んだのは雪見桜。
ムリヤリ大覚寺が江戸へ連れてこられた菊が哀れである、
田沼意知には、必ず菊を大覚寺へ返すように、と言いつけるのです。
ふう、スカッとした。

１つ気になったのは、矢橋卓蔵の顛末。
矢橋はもともとダジャレ好きだったのが、いろは歌に興味を持ってから言葉遊びに夢中になり
それが高じて、理屈っぽい人に変貌。
菊作りよりもいろは歌作りの世界に進みたくなっていました。
それが、襲撃後に意識が戻った時には記憶の一部がなくなってしまい、
いろは歌への興味が消滅。
ただのダジャレ好きの男に戻り、その後も中澤真吾と共に菊づくりに励んだ、とあるのです。
・・・・これだと、いろは歌に夢中で理屈っぽいことが悪いことみたいじゃない？
退屈姫君のシリーズは、悪人以外は皆ハッピーエンド的な終わり方をするから、
余計そう感じました。
別に悪いことじゃないのに・・・なんか可哀想。

最後は『これでおしまい』のタイトルに相応しく、登場人物達のその後を描いて終わり。
楽しいシリーズでした。

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