フライブルク日記

2018/03/30
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カテゴリ: 日常生活
大昔、ドイツにくらし始めて「エッ」と思ったことの一つは、子どもたちの偏食傾向だった。
娘がお世話になった幼稚園の昼食時(親が交代で作る)、保育士が子どもひとりひとりに、出来上がった食事を見せて、「君は何が食べたい?」と聞くことだった。
子どもは「わたし、野菜きらいだから、ジャガイモだけ」「ボクはサラダだけ」「肉だけちょうだい」「え。これナニ。焼き飯?そんなの嫌い」と口々に自分の好みを主張し、食べたいものだけしか食べなかった。
ある姉妹(5歳と3歳、両親は精神科医)は麺類とジャガイモとライス、つまりは炭水化物だけで生きていて、果物と野菜は頑強に拒否、ジュースすら「果物だから」と言って、飲まなかった。

わたしは親から、皿にのっているものはすべて食べるように強制されて育ったから、自分の子どもにもこれを半ば強制していた。それが当然だと思っていたので、ドイツの状況にはいささかびっくりした。
子どもの自由意志を尊重して、食べ物は強制しないというのが、周囲では常識のようになっていた。
強制すると、それがトラウマになるし、そもそも何を食べるか、といったごく個人的なことは、他人が強制すべきではない、ということなのだろう。たかだか、食べたくなるように仕向けるほかない、ということ。
それはそれでわかる。
ちなみに、上述の姉妹は後に、ものすごくできがよくて美人の女性に成長し、姉は小児科医(!)、妹は映画の台本制作者として成功している。両方とも3児の母親だ。子どもたちに何を食べさせてるのかな。


娘の子どもたちの偏食もすごい。赤ん坊時代は何でも食べていたのに、3歳を過ぎることから好き嫌いが激しくなった。
上の男の子はもっぱらジャガイモとライスと餃子を好み、野菜はサラダや温野菜は絶対に食べず、唯一人参の天ぷらだけは好き、肉もたまに食べるだけ。みそ汁もカレーも絶対に口には入れられない。
下の男の子はジャガイモよりもパスタ(ソースは絶対につけてはならない。バターを目の前で混ぜるだけにしてほしいと主張)を食べる。肉は食べず、魚はOK。鮭とマグロの寿司、ミニトマトとキュウリ(サラダドレッシングが少しでもかかっていると拒否)。餃子はなんと中身を出して、皮だけを食べた。みそ汁から豆腐だけを皿に出してもらって、食べていた。

数日間、つき合って、食事を用意して、あーくだびれた。
娘も娘の夫も料理が好きで、何でも食べるのに、どうしてこういうことになるんだろうか、不思議でならない。
ある時、新聞に、こういう傾向は4歳から6歳ごろの子どもによく見られると書かれていたから、もしかしたら、これが当たり前なのかもしれない。本当かなあ。

わたしは今になって思えば、親から何でも食べるように強制されたことに感謝している。
三つ葉もセロリも蕗もきらいだったけれど、無理して食べているうちに、おいしさがわかってきたから。
でも、父親に強制されたことはトラウマになってはいる。

人間、なにがよくて、何が悪く働くのか、わからないね。

今日から、娘一家は娘夫の両輪の家に泊まる。あちらの両親は、「ま、飢え死にはしないでしょう」と楽観しているのが、たのもしい。





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Last updated  2018/03/30 02:36:22 AM
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