2008年12月09日
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カテゴリ: BALLET
ボリショイバレエ日本公演

ラトマンスキー「明るい小川」
Day1

2008年12月9日
東京・上野・東京文化会館

音楽 : ドミトリー・ショスタコーヴィチ
台本 : アドリアン・ピオトロフスキー
     フョードル・ロプホーフ
振付 アレクセイ・ラトマンスキー

音楽監督 : パーヴェル・ソローキン
照明 : アレクサンドル・ルプツォフ
振付助手 : アレクサンドル・ペトゥホーフ
指揮 : パーヴェル・クリニチェフ
管弦楽 : ボリショイ劇場管弦楽団

ジーナ (ピョートルの妻) : エカテリーナ・クリサノワ
ピョートル (農業技師) : アンドレイ・メルクーリエフ
バレリーナ : マリーヤ・アレクサンドロワ
バレエ・ダンサー (バレリーナのパートナー) : セルゲイ・フィーリン
アコーディオン奏者 : デニス・サーヴィン
初老の別荘住人 : アレクセイ・ロパレーヴィチ

ガヴリールィチ (品質検査官) アレクサンドル・ペトゥホーフ
ガーリャ (女学生) : アナスタシア・スタシケーヴィチ
搾乳婦 : アンナ・アントロポーワ
トラクター運転手 : イワン・プラーズニコフ
高地の住人 : アントン・サーヴィチェフ

高地の住人たち :
 アントン・クズネツォーフ
セルゲイ・ゼレンコ
ロマン・シマチェフ
ロマン・ツェリシチェフ
クバンの作業員たち :
 ユーリー・バラーノフ
ワシーリー・ジドコフ
セルゲイ・ミナコフ
アンドレイ・ルィバコフ
ジーナの友人たち :
 アナスタシア・メシコーワ
クセーニヤ・ソローキナ
ヴィクトリア・オーシポワ
アンナ・ニクーリナ
アンナ・オークネワ
チナラ・アリザデ

+++

とても楽しかった~
おもしろかった~
すばらしかった!

主役4人はもう言うまでもなくすばらしい!

個人的にはアコーディオン弾きのデニス・サーヴィン!
彼は「ボルト」の主役だったのだが
超個性的なダンサーだ。
ドン・キホーテではガマーシュ。
とにかく不思議な魅力に満ちている。
はまった~

こんなにこの作品がおもしろいとは期待以上だった。
それに綺羅星のごときスターの競演もすごかったし。
ABTにおけるスーパーキャスティングの日
(ありましたねそんな日が)
みたいな感じ。

マーシャ、すばらしい!
生ける女神、ゴッデス、カリズマ!
いつまでも見ていたいダンサー。

クリサノワもとても魅力的。キュートで踊りもすばらしい。
オペラ歌手のクリスティーネ・シェーファーに似ていてカワユイのだ。

フィーリン…絶句。
あれは…
絶句(笑)。
全身筋肉質のシルフィード。

メルクーリエフ、踊りは大味だがパワーで持っていく。
輝ける金髪に大きな瞳、そこにいるだけできらきらの王子様
すてきでした~
彼がコメディを演じたもんで実にはまってました。

+++

開演前にラトマンスキーのプレトークがあった。
彼は大変にまじめでこの自分の作品が受け入れられるよう、積極的に懇切丁寧に解説してくる感じだった。
好感を持った。
しかも彼は核心をちゃんとしゃべっていた。

ショスタコーヴィチのバレエ音楽は3作品。それは「黄金時代」と「ボルト」とこの「明るい小川」であると。
ボルトはラトマンスキーの手により最近よみがえった作品。それに続けて彼はこの「明るい小川」もよみがえらせたかったわけだ。
「ボルト」もこの「明るい小川」も時代設定や背景が非常に古色蒼然としていたのはそういうわけで、彼は  わざと当時の上演の雰囲気を表そうとしている  のだ。
そう自分で語っていた。
「ボルト」は主役がデニス・サーヴィンでとてもバレエの主役とは思えない個性派タイプ。
しかも各所はおもしろいのだがどうも全体の構成的に理解できない部分が多々あった。
それぞれのシーンが分裂していて一貫性がないし、コメディっぽいのだが、突き抜けているわけでもまったくない。いわば中途半端な作品だった。
しかしこの作品で起用したサーヴィンやメルクーリエフをこの「小川」のファーストキャストに持ってきているところが、ラトマンスキーがいかにこの2作品を大切に思っているか、しかもこのダンサーたちを秘蔵っ子にしているかがわかった。
それが昨日やっとわかった。
この2人はラトマンスキーのいわば分身なのだ。
ボリショイの有名なダンサーを使わず、ラトマンスキー流を貫けるダンサーを起用しているのだ。

さきほど述べた、彼の話の核心とは、このショスタコーヴィチのバレエ作品が当時のスターリン体制の下で上演禁止になったことだ。
それがあったからこそ彼はこれを復活させたかったのだ。
この今のプーチン・メドヴェージェフ政権下のロシアで。

作品的には何の体制への反抗心も感じられないものなのになぜそんな憂き目にあったのか…
非常に不思議だ。
ボルトは完全に体制からのはみ出し者の話だったから。

そしてこの作品は「フィガロの結婚」や「こうもり」みたいな作品だと語っていた。
そのとおりなのだ。
変装して浮気する夫に仕返しをする妻とその味方。まさにフィガロ。
仮面をした妻が夫と踊る姿はまさに「こうもり」だ。
これこうもりじゃん?と言いそうになった。
フィガロでは貴族階級の横暴を暗に批判するという歴史的背景があった。
それはこの作品には感じられない。完全なるコメディに徹している。
それに短い。
短すぎる。
男がシルフィードに化けて踊るというのも既視感があった。
グランディーバ?
これをフィーリンが踊るというのがまず驚きだ。
もっとキャラクテールがやってもはまったろう。

第1幕

序曲がすごい!
堪能した。しびれた。
さすがオケも来ただけある。

第1場
コルホーズ(集団農場)の畑のセット。飛行機やトラクターが空中を飛んでいく。
本を読む若妻、クリサノワ。
汽車が走ってくる。
都会からやってきたバレリーナと夫、アコーディオン弾きを乗せてきた。
人々は熱狂する。
バレリーナは赤い服を搾乳婦に与える。
ださ…と思いながらも搾乳婦はそのあとその服を着て登場する。
トラクター運転手は彼女の彼氏。
初老の男とその妻。
妻は男性ダンサーに熱を上げてしまう。
アコーディオン奏者に夢中になってしまったのは女学生のガーリャ。
キュートだった。キルスティン・ダンストみたい。
アコーディオン奏者はアコーディオンを弾かずに(笑)踊る。
このソロがもう独特でぶっ飛びました。
こんなに才能がある人とは!
ガマーシュのときもすごい~と思ったけど、彼はキャラクテールだけのダンサーではなく、ほんとに主役(たとえばだがオネーギンとか!)かなり癖のある役ができる。
踊りがテクニックがどうこうじゃないの。その雰囲気だ。
かなり妙なアコーディオン弾き!
マーシャとクリサノワの2ショットダンスはめちゃくちゃしびれたわ~
メルクーリエフはもともと派手な感じだからとても真面目でうぶな田舎の技師には見えない。遊び人に見える。でも魅力的。
集団で踊る人々もみんなレベル高い~見た目も含め~
ドミトリーチェンコがコールドにはいっていた。バラーノフはわかりませんでした。
下手のベンチで仲良く座って見ている主役たち。
アコーディオン弾きはマーシャとおしゃべり。こういう会話も自然でうまい~役者やの~
アコーディオン弾きはなぜか憂愁にとらわれていて、自分の世界に入ってしまう。

皆がいなくなってジーナはお友達2人に打ち明ける。
夫がバレリーナに夢中になっちゃって…!
バレリーナが戻ってくる。
私はお友達よ!
いいこと?いい考えがあるの。
衣裳箱を開ける。
中から出てきたのは数々のバレエの衣裳。
シルフの長いドレスをあてがわれたバレエダンサーは思わずにま~
椅子からジーナを助けおろす男性。
フィーリンにもそうしたので客席がわいた。
いよいよ最高潮の第2幕へ!

第2幕
夜。
逢引を約束したカップルの怪しい活動が始まる。
もちろん皆に監視されている。
初老の男性は自転車に乗ってくる。
シルフィードが現れ、すっかり…
大笑い。

アコーディオン弾きは犬に吼えられる。
この犬が全身かぶりもの。

初老の男性の妻は男装したマーシャと逢引。
この男装がまた可愛くてたまりません!
もともと彼女はこういう宝塚系が似合うと思っていたので…もうカワユカッタ

そしていよいよ!騙しも最終章。
ジーナとピョートル。
ジーナは仮面をしてバレリーナの白い衣裳で現れる。
2人のパドドウがおもしろかった!
ぷんぷん怒りながら踊るのがもう可愛くって!
とてもすてきだった。
ジーナはピョートルに情熱的にキスされる。
ますます落ち込んでしまうジーナ。
ジーナを力づけるバレリーナとそのパートナー。
去り方がまた男らしい(笑)。
そしてピョートルをめろめろにしたジーナ。

いよいよ種明かし。
同じ衣裳で同じ仮面をして踊るジーナとバレリーナ。
夫は間違いに気づく。
おしまい!

観客は熱狂。
ほんとにすばらしかった。
この作品の全幕が日本で上演されたということは非常に意味があると思う。
そういう意味でも貴重だった。
すばらしいキャストで見られてほんとに良かった。

次回のラトマンスキーは何を持ってくるのでしょうか。
楽しみになりました。







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最終更新日  2008年12月11日 00時29分07秒


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