★No015009 恐怖体験part09 野猿…


★恐怖体験 part09



館山自動車道が開通する前は、最短距離で太平洋の潮騒が聞けるのは外房方面であった。
夏期は南房への釣行が殆どだが、イサキ夜釣りの盛りを過ぎ、冬季に入ると外房には時々釣行する。




磯釣りを始めて数十年も過ぎた1981’の冬の事。
冬の人気者サヨリ、メジナ狙いは、釣り場選定が重要であり、釣り人も海上状況の把握に熱心である。

この日は季節風もなく穏やかな陽気であったため、「勝浦灯台下の磯」に入った時の事。
当時、この釣り場に入る釣り人は少なく、磯の場荒れは少なくて魚もかなり釣れた。
その代償と言う訳ではないが、釣り場まではかなりの労力を要する。

八幡岬の入り口にある駐車場に車を止める。
背負子を担いで猿ヶ城公園(有料)の入口を抜けて入る。
早朝(開園前)は切符を切る人も居ないため、釣り人は入場券なしで入れた。




ゲートは入り右に曲がると海辺に下りる階段がある。
ところがこの階段は途中から段が無くなっており、釣り人が下ろしたロープがあり、これにつかまって降りる。
崖下伝いに百メートルほど歩くと釣り場の先端に到着する。


釣りができれば殆ど空ぶりなし! で、早朝から正午まで竿を出し、メジナの良型(35cm×4匹)を釣り上げ、
悠々と駐車場に引き上げてきた。
駐車場は、週末のため家族連れが多く来ていて、ほぼ満車状態であった。

自分の車に戻りトランクを開けて釣り道具等を仕舞い終わり、持参してきた水で顔を洗っていたところ…。
何か視界に黒い動くものが見えた。
公園から観光客が戻ってきたのかな?
気にもとめずタオルで顔を拭き終わって辺りを見た。

ん?!

目の前に何かがいる…?
さっ さる? 猿だぁ~!

ここは猿ヶ城公園だから園内には猿は沢山いる。
勿論、檻の中に飼われていてる。
しかし、園外に放し飼いになってると言う話は聞いたことがない?

見たところ親子連れの猿。お腹が空いてるらしく駐車場に人を見かけると食べ物を催促している。
何処となく可愛そうになり残っていた朝飯の残りを渡したら、引っ手繰るように手で取り林の中に消えていった。

帰り仕度も終わりエンジンをかけ、ギヤをバックに入れ、ルームミラー越しに後ろを見て驚いた。
リヤーウインドーに再び猿の顔!
危ないので追い払おうとしてドアを開け、出て行って
 ”たまげた!”
何十頭の群れの猿に車を取り囲まれていた!

俺たちにもくれ~! と言わんばかりの殺気立った目で睨み、牙を剥き出して威嚇する。

慌ててドアを閉め車を走らせた。
さすがに動き出した車を両手を広げて止めるツワモノの猿はいない。
もし、そんなボスがいたらブレーキペタルを踏んだだろうか~〇o〇;)

数年後、この猿ヶ城公園は閉園し猿達は何処に行ったのか知らない。
そして、城下の磯にも釣りに行かなくなった。
もし、釣りの帰り道にあの急な階段をロープを掴みながら登っていて、猿達に出くわしたらどうなるのだろう








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