売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2023.05.16
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連日売り場視察を終えて集合

古い写真を整理していたら1995年10月ニューヨーク研修時に撮影したものが出てきました。場所はセントラルパークに面した西59丁目と6番街角にあったサンモリッツホテルのスイートルーム(人事部が研修事務局部屋としてキープ)、椅子に座って若手バイヤーに向けて何か説明しているのが私です。

日中は休みなく売り場を歩き回って夕方この部屋に集合、それぞれ視察した小売店の良い点悪い点を若手社員が発表します。コメントに対して私が意見を述べる現地研修、参加者は1日2万歩ほど歩くので恐らく疲れと時差でかなり眠かったはずです。が、みんな真剣でした。

私が引率するニューヨーク研修の第1回目、なんと8泊10日、同じマンハッタンに滞在という非常に贅沢で中身の濃いツアーでした。せっかくニューヨークに来たんだから、夜はブロードウェイに行くもよし、ヤンキース野球観戦もよし、いろんな体験をすべきというおおらかな研修でもありました。みんなで徹底的に歩いてニューヨークの売り場に学び、日々のマーチャンダイジング、あるいはのちの店舗リニューアルに役立てたいという狙いでした。

夕方のミーティングの後ディナーや劇場に出かけ、事務局部屋に戻って深夜3時頃まで酒盛りしながら意見交換、歓談がなかなか終わらないのでこの部屋で寝る人事部スタッフは連日寝不足、大量のドリンクや氷の買い出しも引き受け、最終日はクタクタで気の毒でした。




生きた教材として何度も通ったBERGDORF GOODMAN

参加者には最低でも滞在中2回はバーグドルフグッドマン視察に行くよう勧めました。ホテルからワンブロック徒歩5分、参加者は徹底分析するため何度もバーグドルフに通いました。古くて商品に新鮮味のなかった老舗百貨店が支店を売却して資金を作って大改装、世界の主要デザイナーやブランド企業から「最も取引したい小売店」に変身したのですから、バーグドルフは最高の生きた教材でした。「将来バーグドルフのような大改革できたらいいね」、毎回ニューヨーク研修でみんなに言い続けました。

「若手だけでなく中間管理職、幹部もニューヨークに連れて行ってくれないか」と社長に言われ、若手が8泊10日で回った同じコースを多忙な部課長たちは4泊6日のハードスケジュール、とにかくみんなで同じ店舗を回って情報共有、若手から経営トップまでが同じベクトルで大改装プランを立てました。

そして6年後の2001年、1980年代初頭にバーグドルフグッドマンが敢行したような大規模リニューアルが実現、お店のイメージは大きく変わりました。まさしく人材育成の賜物でした。海外研修も含め人材育成を重要課題として取り組んできた歴代経営者でなければ、人材育成は簡単に経費カットされていたでしょう。人材あっての企業、人材育成と真剣に取り組まない企業に明日はないと言っても過言ではありません。

「先輩の背中を見てノウハウ盗め」なんていい加減なO.J.T.(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)はそろそろやめないと....。





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Last updated  2023.05.16 08:27:53
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