売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2024.04.06
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3月10日の週は東京コレクション(正式名称RAKUTEN FASHION WEEK TOKYO)でした。あいにくその直前の中国出張が、上海、蘇州、広州3都市それぞれでセミナー開催と少々ハードだったからか、私は体調を崩して連日薬で高熱を抑えながらファッションショーを視察。東コレ終了時にやっと熱が下がって普通に動けるようになりました。

そこへ2月末の中国出張をアレンジしてくれた佐吉マネジメントコンサルティングの金 時光(アーロン・ジン)さんが来日、彼に日本の仲間たちを紹介し、今後の事業計画を議論するなどこれまた忙しい1週間を過ごしました。金さんは再び4月に企画している中国アパレル企業経営者たちの東京研修ツアー準備のため、研修旅行期間中に講演を依頼している日本の業界人数名と打ち合わせをしていきました。


3月25日ブタ小屋での記念撮影

上の写真は金さん最後の東京の夜、新宿歌舞伎町の裏通り「思い出の抜け道」(ゴールデン街のような通りが他にあるとは知りませんでした)にある居酒屋「ブタ小屋」での記念撮影。写真中央が金さん、右側がIFIビジネススクール教え子の齋藤孝浩さん(「ユニクロ vs ZARA」などの著者)。金さんは齋藤さんの著書を中国語に翻訳出版、人口の多さもあって日本の数倍も中国では売れているそうです。

昨年9月、齋藤さんから突然連絡をもらい、私は金さんが昨秋企画した中国業界人の東京研修ツアーでセミナーを担当、このとき初めて金さんを紹介されました。翌10月には広州に拠点を置く製造小売業ゴエリア(ブログ前項で紹介)の来日社員研修でもセミナーを頼まれ、さらに12月には齋藤さんと一緒に杭州と寧波に出張、現地で売り場視察や経営者研修をさせていただきました。この現地経営者研修は9月の東京でのセミナーを企画した金さんが突然思いついたプランでした。


2月蘇州での中国最大ニットメーカーの社員研修

そして、12月杭州での経営者研修開催中に金さんは参加した経営者に働きかけ、齋藤さんと私をセットで招聘して2月に個別企業の社員研修をお膳立てしてくれました。上海では近郊のアパレル事業者たちを集めた無料セミナー(4月の東京研修ツアーをPRするためのプログラム)、続いて蘇州と広州ではそれぞれ現地有力企業向けのセミナーや幹部ミーティングがありました。

以前にも触れましたが、金さんは大学卒業後豊田通商上海支店に新卒就職、そこで「トヨタかんばん方式」に触れ、この合理的なマネジメントを中国にもっと広めたいと28歳で独立、サプライチェーンマネジメントを中国企業に指導するコンサル会社を立ち上げました。クライアントの中には世界有数の監視カメラメーカーや中国空軍の戦闘機製造に関わるメーカーもいるそうです。つまり金さんの本業はファッション流通業ではありません。

IFIビジネススクールに通っていた齋藤さんは当時総合商社トーメンの若手社員。のちにトーメンは豊田通商に吸収合併され、米国西海岸駐在から帰国した齋藤さんは独立して自身のコンサルティング会社を立ち上げました。旧トーメン出身でサプライチェーンなどを指導する齋藤さんと、豊田通商現地法人から独立してコンサル会社を立ち上げた金さんには恐らく何か接点があったのでしょう、金さんは齋藤さんの知見を中国ファッション業界にも広めようと各種セミナーや中国語版の出版などを手掛けてきたのです。

金さんのファッション業界におけるパートナーとして元アリババ研修部門幹部の游 五洋さん(通称シージャンさん)がいます。シージャンさんは浙江省や広東省のアパレルメーカーや小売事業者の間で指導者的な存在、中国企業にマーケット動向やマネジメントを教えている方です。昨年9月の東京研修ツアー同様、今月の研修ツアーにもシージャンさんがまとめ役として同行し、講演者の話を最後にまとめる「塾長」のような役割をなさいます。


右:金さんのパートナー游 五洋さん(通称シージャンさん)

今回の東京研修ツアーにも上海、杭州、広州などのアパレル企業経営者や幹部が30余名参加し、日本のファッションデザイナー、ファッション専門学校代表、ビジュアルマーチャンダイジングのプロ、ショッピングセンター開発プランナー、コンビニ経営の経験者などいろんな人が講演、私も2つのタイトルでセミナーを依頼されています。講演のあとは売り場を案内しながら注目すべき視察ポイントを解説することにもなっています。


右:金 時光(アーロン・ジン)さん



彼を見ていると、32歳で東京コレクションの責任者を引き受けファッション流通業界のお偉いさんたちにストレートな意見を吐いて煙たがられた当時の自分を思い出します。若造の意見に真摯に耳を傾けてくれたお偉いさんは少数派、ほとんどは「このガキ、何言ってるんだ」と見下した冷たい目線ばかりでした。

相容れない産業界の先輩たちを早く識別するため32歳でネクタイ着用を止めた私ですが、金さんはノータイどころかいつもTシャツ姿でどんな席にも出かけます。きっと中国にも「このガキ、何言ってるだ」と金さんのストレートな意見に耳を傾けない年長者は少なくないでしょうね。

まるで自分の若い頃を見ているような感覚、しかも「中国をもっと良くしたい」という若者の熱い思いに刺激されて私も自然と元気が出てくるのです。もうすぐ金さん旋風の再到来です。





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Last updated  2024.04.07 09:10:31
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