南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

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2005/01/01
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夫の3人いる妹たちの、一番上にあたるエダ(仮名)一家のもとで、2005年の幕開けを祝うためである。

あらかじめ用意しておいたユルバシュ・ヘディエスィ(ニューイヤー・プレゼント)に、シャンパン(といっても、シャンパーニュ地方産の本物ではもちろんない。トルコ製の発泡ワインである)の瓶も忘れず車に積み込んだ。
我が家の長距離ドライブには欠かすことのできないコーヒーのポット、水のペットボトル、家にあったリンゴやオレンジ、バッカルで買い込んだガムやお菓子。小腹が空いた時、喉が渇いたときのための用意も万端。
朝9時半ちょうどに自宅を出発、途中アフィヨンで昼食のために休憩をした他、2回のトイレ・ストップを含めて、ちょうど7時半後の夕方5時に、エスキシェヒルに到着した。

エスキシェヒルはアナトリア内陸部に位置するため、比較的寒冷な地である。エダにも子供たちが風邪を引かないか、行く前からさんざん心配されていたが、幸い出発した31日は暖かな一日となり、すきま風の入るオンボロワゴンには、暖かな日差しが燦々と入り込んで暑いくらいだった。

エスキシェヒルの繁華街にあるアパートに、エダ一家は住んでいる。
エダ夫妻の長女は今年から大学1年生となって自宅を離れたので、今は次女のエレナ(仮名)と3人暮らし。お正月もどこにもいかず、家族でひっそりと過ごす予定だったらしく、私たちの来訪にとても喜んでくれた。特に、小学校3年生になるエレナには、従姉妹にあたる我が家の娘たちがいい遊び相手になるはずだった。

あらかじめ到着は夕方5時頃になると告げてあったので、エダは私たちがお腹を空かせて着いてもすぐに食べられるよう、早めに夕食を用意してくれていた。豪華な料理ではない、家庭の普通のトルコ料理である。


今でこそ、欧米から輸入されたクリスマス文化の影響で、大晦日にチキンや七面鳥を食べる家庭も出てきたトルコだが、ほとんどのトルコ人は、大晦日、新年だからといって、特別な料理を用意したりする訳ではないと思う。
だから、エダの作ってくれた料理にも、私は十分に満足だったし、有り難くまた美味しくいただいたのだが、アンタルヤに戻ってから、「ユルバシュ(新年)なのに普通の料理だった。ビールすら用意してなかったし」と夫が愚痴をこぼしたので、正直ビックリした。
2週間も前から行くことは告げてあったので、もう少し華やかな食卓を期待していたというのである。夫の歯に衣着せぬ発言は、実の兄だからなんとか許せるにしても、私は義姉として、また客をもてなすことの大変さを知る主婦のひとりとして、エダのことをかばわずにはいられなかった。

* * * * * *


食後にナッツ類やフルーツをつまみながら、11時半になるのを気長に待った。
子供たち3人とも、今日ばかりは夜更かしが許されている。実を言うと、後で外に出かけるからと、眠らないように次から次へと遊びに興じさせて、この時間まで持たせたようなものである。
全員が厚着をし、子供たちには帽子とマフラーも身に付けさせる。
私たち一家は、行き先も分からないままに、エダ一家と一緒に冷え冷えとした夜の町に繰り出した。

およそ15分ほど歩いたあたりから、人の出が急に多くなっていった。
銀行には電気が点り、入り口の前をポリスが見張っていたりする。ATMにおけるトルコリラから新トルコリラへの交換が今まさに行われているためであろう。
人の出を見込んで、バッカルもまだまだ店を開けている。夫と、義妹の夫はそのひとつでこっそり缶ビールを仕入れる。警察に禁止されているというので、新聞紙で見えないよう包んでくれる。
町の中心を流れるポルスック川は、一定間隔おきに2005年の訪れを祝う電飾文字で彩られ、川沿いの木々は、赤や黄、緑に点滅するランプで色鮮やかにドレスアップされている。


私たちの足も、自然にそちらへと向かう。
2005年1月1日午前0時まで、残すところおよそ5分。
若者たちの群集は、歌をうたったり叫び声をあげながらピョンピョン飛び跳ねたり、踊ったりしている。
花火売りの前にも人だかり。手持ち花火にライターで火を点け、皆で輪になって花火を振ったり、高く掲げたりしている。
私たちも1箱買い求め、ライターで次々に火を点ける。


気付いた時には、いつのまにか0時を越えていた。
友達同士抱き合ったり、恋人同士キスしあう若者たち。私たち一行も遅れじと抱き合ったり、子供のホッペにキスしたりして、新年の訪れを喜び合う。
まだまだ繰り出してくる若者たちとすれ違いながら、名残を惜しみながらも、子供たちを抱える私たちにこれ以上夜更かしは厳禁と、早々に帰途についた。
それにしても、たくさんの若者たち(学生たち)の姿とその熱気に驚きながら、久し振りに自分も若返ったような気分になった一夜であった。

エスキシェヒルは、実は学生の町として知られている。市の人口およそ49万人のうちの約12%にあたる5万5千~6万人が学生なのだそうだ。
人口50万人弱の中都市ながら、アナドル大学とオスマンガーズィ大学というふたつの大学を抱えている大学都市なのである。
エスキ(古い)シェヒル(都市)という名前に反して、市の中心部はヨーロッパに範を取りモダンに整備されているのに驚く。歩道はオシャレな緑色の欄干で飾られ、12時も近いというのに、町の中心をヨーロッパ風の最新型トラムが行き交っている。
ポルスック川畔には、若者向けのカフェやパブ、レストランが軒を並べ、夏の間は遊歩道一杯にパラソルの花が咲く。
コミュニケーション学科で有名なアナドル大学があるせいか、町の中に文化センターのような施設が多いのも目に付く。
もし私が、日本からの留学生としてトルコに初めてやって来るとしたら、イスタンブールは別格として、この町なら学生として暮らしやすそうな、暮らしてみたいと思わせる、そんな町なのである。






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最終更新日  2005/01/05 06:38:19 AM


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