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仕事は早朝、日雇労働者が集まる所で、送り出した人数と送り先を確認し、口入れ札を日雇労働者に渡すことだ。これが終わると夕方まで仕事はない。
近くに「いこい」という銀鱈定食が評判の食堂があった。そこで、保険の代理店をしている佐久間、時計職人の富永、中古車のディーラーをしている木地の3人と知り合った。
「類は友を呼ぶという」のはこのことだ。まったく同じわけではないが、4人とも適当に悪い。しかし根っからの悪ではない。
この4人でマージャンをよくした。4人で飯を食った...。
しかし、いつの間にか木地が死に、富永が死に、佐久間も死んだみたいだ。最後、岩倉が死ぬ。死因はすべて殺しだ。
本書は、彼らが知り合い、一人もこの世からいなくなるまでのことを描いている。時代も1960年代後半から1990年代までと長い。
私は、自分の住む世界と別の所に住む人たちの物語だ、と読みながら思った。
ただ、死んだ富永の遺骨を持って、佐久間と岩倉がわざわざ富永の故郷である島根県の益田市まで行く人情あふれる記述もある。
3人から最も信用されているのは岩倉で、3人の愚痴が集まってくる。
佐久間はいろんなところに顔が利き、またいろんなところで恩を売っている。面倒見がいいのだ。
彼らはいったい、どういう人生を送ってきたのか...。
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