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「アバター」とは、携帯電話のウェブサイトにある着せ替え人形のこと。これが女子高校生を中心に、社会現象になるほどはやっている。
高校2年生の女子・阿武隈川道子もこのゲームにはまる。携帯のSNSサイト・アバQにアクセスし、ハンドルネーム「ミチコ」、年齢「16」、血液型「A」...と必要事項を入力した。
メインページを開けると、白いTシャツにピンクの短パンの女の子が手を広げている、これが「アバター」だ。アバGというバーチャルマネーで、着せ替えに必要なアイテムを手に入れる。全部で5000種類以上のアイテムがある。
アイテムには☆1から☆5までグレードがあり、高いグレードのアイテムを持っていると人気者になれる。学級委員もそうだ。
ミチコは、アバGを手に入れるために、西園寺という女友達に勧められて、援助交際にまで手を出す。手に入れたお金で、アイテムをゲットし、アバターを進化させていった。
そして、「アバターベストドレッサーコンテスト」に出場し、何と優勝してしまう。翌朝、学校に行くと校門からミチコを取り囲んで人だかりができ、教室に入るころには100人ほどに増えていた。この日から、ミチコが女王様になった。
西園寺の甘言にのって、アバターサークルを作った。2日で150人を組織した。これで日本を支配するのだ、と西園寺にミチコはのせられた。
この組織を利用し、金を集め何と750万円かけて整形手術をし、美人に変身した。気に食わない奴はリンチにした。
そして、☆5の超激レアアイテムを手に入れるために、ついに殺人にまで手を染めてしまう。それほどアバターが大事なのか。
本書「アバター」は、控えめで目立つことを嫌ったミチコが、アバターに熱中することによって、殺人にまで及ぶという女子高校生の心理を描いている。でも、女子高校生を登場させて、ちょっとやりすぎではないかと、思う面はある。
現代の女子高校生の健全さを見逃しているのではないだろうか。
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