環境省は、かつてどこででも見かけたスズメが1960年ごろに比べ10分の1に激減しているとの調査結果をまとめた。4月から国民に呼び掛けスズメの目撃情報を収集する。生物多様性保全活動の一環として取り組む。
同省は動植物の分布を調べた「自然環境保全基礎調査」や「農作物被害の経年推移」などからスズメの国内生息数を分析。現在のスズメの個体数は1960年ごろに比べ10分の1になったと推定している。
東京都東久留米市の自由学園では生徒が1963年から月に1回、学校敷地内の鳥の種類や数を観察している。このデータを研究した立教大理学部の三上修特別研究員によると、1963~98年の観察調査で最も多くスズメが観察された月を比較すると、60年代は約300羽観察された月もあったが、近年は十数羽にまで減少しているという。
同省はスズメの減少の原因として高層マンションの増加に伴い、スズメが巣作りできる木造住宅の減少、都市部での空き地や草原の減少を指摘。農村部でもコンバインの普及で餌となる落ちモミが少なくなるなど生息環境の変化も一因に挙げている。
同省生物多様性センターはインターネットを使って身近な生物の観察記録を集める「いきものみっけ」サイトを開設。「ウグイスのさえずり」など30種類の情報を掲げているが、4月からは「その他のいきもの」の項目の中でスズメの観察記録を募集する。生息数を細かく把握し、どうすれば減少を食い止められるかを検討する。
東京など都市部で生息する鳥類を調査している都市鳥研究会の唐沢孝一代表は、「スズメの生息域は減少し、日比谷公園(東京都千代田区)でもヒナはすぐにカラスの餌食になってしまう。 いったん減り出すと絶滅へと転げ落ちていくので、今のうちに警戒し、スズメと人が共生できる街づくりへ、建築物の在り方から注意することが重要だ
」と話す。
( 東京新聞
よりの転載です)
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