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歌川国芳(金魚づくし)謎解き裏事情黙示録_7
幕末透視,歌川国芳の(金魚づくし)裏事情,謎掛け裏の主題,痛烈風刺画家魂,歌川国芳の「金魚づくし」考察series_No.7,幕末背景を透視,象徴と見受けられる人物:水野忠邦、鳥居耀蔵、江戸の民・・他
歌川国芳の「金魚づくし」シリーズとは
_
歌川国芳の作品_「金魚づくし」の裏を推察_No.7
『金魚づくし』の裏事情!黙示録!
幕末玄関
<
当サイト取扱歌川国芳記事総合ガイド
<
江戸の天才画家「歌川国芳」の世界TOP
<
「金魚づくし」の裏事情TOP
<現在頁=No.7
歌川国芳(=一勇斎)(1798~1861(寛政9年11月15日~文久元年3月5日))
【あらかじめ!】
あんまり、「私は、こう思います」だとか、「提唱します!」の言語を偉そうに使いたくない
のですが、後送りにしながら書くと、回りくどくて、文章がさっぱり進まないので、所々、そんな表現出てきますが、
片目瞑って下さいね。鼻につく時は、クシャミ一回、スカッ!と不快は、吹き飛ばして読んで頂けますと幸いです。
■関連姉妹編の
歌川国芳の「『大鯨退治と宮本武蔵』の人物考察」編
と異なり、本件は沢山の枚数で成り立って
いるため、全解決は、とてもできません。というわけで、偉そう!なわけは全然ないので、クシャミ一回ヨロシク。
【第3章_2】_【10】私の解った範囲で、MEMO断片各種_その2
初めから読む_No.1
<
前の頁から読む:No.6
現在の頁No.6と、現在頁No.7は、歌川国芳の作品_「金魚づくし」シリーズ、全部で9枚の絵に対して、
表向きの可愛いらしいテーマと裏腹、潜んだ「裏の主題」を順次推定してゆきます。
「時のだ~れかさんのなんかの事件」を、1830年代から、浦賀にペリーが案の定、現れた
1853年までの間で、当該を探して填めてゆきます。
尚、この
「金魚づくし」シリーズは、イコール「開国と攘夷」を
「百ものがたり」と称して、多数のカードで語ったものだろうと、私は、推測しています。
しかも、実際浦賀にペリーがやってきた(1853)段階ではなく、事前(1830年代後半)に、
近日未来の警笛として「黙示録」として予言&宣告したと、私は想定しています。
■私は、私は・・・とやたらにある訳は、主語が「歌川国芳」
本人なのか、天敵の「水野や鳥居達」なのか、「幕府」なのか
・・いに解らなくなるからです。気にしないで下さい。
現在の頁から初にENTERなされた皆様へ
いきなり、現在頁からでは、話が見え難いと思います。
最初
からご覧頂きますのがベストですが、
少なくとも
前の頁から:No.6
からお読み下さることをおすすめします。
No.6には、全般構成を推察しやすい一望小表と、スカッ!と全解決状態の3枚の絵画解説があります。
前の頁に解説がある3枚
■No.1_【C3】百ものがたり、■No.2_【H8】にはかあめんぼう、
■No.3_【I9】そさのおのみこと
謎解きの結果=
{Sec.1(3枚)
+【現在頁】Sec.2のA群(4枚)+Sec.2のB群(2枚)}=全9枚
Sec.2のA群_大体謎が解けたレベルのカード_計4枚
Sec.2のA群は、左側のセルが「薄緑色背景」
■No.4_【B2】さらいとんび,■No.5_【A1】ぼんぼん,■No.8_【E5】まとい,■No.9_【F6】いかだのり
Sec.2のB群_地口解読できず=「謎解き仮埋カード」_計2枚
Sec.2のB群は、左側のセルが「薄灰色背景」
■No.6_【G7】酒のざしき、■No.7_【D4】玉や玉や(No.9とNo.10の間にも考えられる)
A
群
No.
4
(No.4)_【B2】_さらいとんび、
第一次水野在任期間
1837~1841(首座)~1843の罷免迄
水野忠邦はこの段階で気付いてない!
忽ち、鳥居が「とんび」に化ける!
第一次水野忠邦老中首座在任期間と、鳥居耀蔵の動き
この絵を上記事象の象徴と判断した訳
▼
鳶にあぶらげ攫われる。水野忠邦の配下で動いた鳥居耀蔵。
蛮社の獄の際に先頭に立って弾圧断行頭は鳥居耀蔵。
ところが、水野は、上知令の失敗で足元がぐらつく。忽ち鳥居は、
土井利位に寝返り、水野忠邦排斥に尽力。罷免に追い込む。
■絵をよく見ると、
鳶に化けた金魚は、烏帽子を被っている。目立たぬように
尻尾付け根と同じような黒い色。しかし確かに紐が見える。
■講談の定句(猿飛佐助Ver.=
さるとび
:cf.
さらいとんび
)
またしても寒ぶい駄洒落風の苦しい無理繰漕ぎ着けの「地口」。
猿ととんび
の絵も象徴。(国芳の地口はいつも無理繰漕ぎ着!
猿飛佐助:「悪盛んなる時天に勝ち、天定まって人に勝つ」
悪い輩がのさばってる時、こればかりは誰も止めれない。
しかし、それは、やがて時来たりて、天が裁く。
おごれる者も久しからず。と大体似た感じの意味。
水野忠邦も今に転ぶぞ!案の定、飼い犬に手噛まれた。
とんびにあぶらげ攫われた。
【真上の絵】:単純テーマは「とんびにあぶらげ攫われる。」時の人物も掛け算。
杖をついてる老人金魚、赤ちゃん背負ってる金魚夫人。時世がなんであれ、商いやってんのはお猿さん。
金魚町(=日本人)の食堂メニューは、みじんこと、ぼうふら。(蛋白源は、魚貝類を主とする民族。)
芸が細かい。メニューは、猿の横、白い札に品書きと称して、記載されている。
猿と、飛んでる鳶は、誰かさん達
≒水野忠邦(猿)と、鳥居耀蔵(鳶)・・・ではないかナ。
鳶金魚は、他の金魚と異なり、嘴が尖がっている。鳶だから・・・もあるが、鳥居だからの意味も。
A
群
No.
5
(No.5)
【A1】_ぼんぼん
第一次水野忠邦罷免(注:この人物は後で復活、&再罷免)
この絵を上記事象の象徴と判断した訳
▼
1843年(天保14年閏9月13日=第一回目の水野罷免
水野忠邦は失脚!規制だらけの煩い水野が去った。
人々は一安心。だから、お盆が、とっても心地よく楽しい。
・・その為、絵画の金魚達はリラックスして、大きなお口で
声高らかに歌を歌っている。腰を屈めて赤ちゃん金魚に語りかける
オレンジ色金魚、カエルになりかけのオタマジャクシも居る。
【ぼんぼんとは】
本来は、お盆の時、少女達が、楽しそうにお盆の歌を
歌いながら、町を歩く風情。ぼんぼん。絵のとおり可愛い風情。
今と異なり、当時は、お盆期間が毎年多少異なる。閏年は、閏月が
あって一年が13ヶ月だった都合上。この年は閏9月がお盆。
水野忠邦罷免は、
閏9月13日
。
【この年のお盆を迎える人々の様子を語る描写がある。】
『浮世の有様』:(著者不詳・天保15年(1844)六月記)に係る解説。
閏9月13日、水野の免職を歓喜で迎えた江戸の人々にとっては、まさに青天の霹靂であったに違いない。
<水野忠邦帰り咲きを皮肉った絵柄の「はんじ物」団扇>
今たまたま
水野は返り咲きしてる
(※▼)が、
どうせ、すぐ萎む
朝顔のごとく。
・・<※:返り咲きについては「
小表1_金魚づくしシリーズの構成推定図
」をご参照>
第一回目罷免の翌年(=1844年)のお盆時点においても、人々は、口々にそう語る。
仕掛け人は歌川国芳。「はんじ物」のお盆用団扇が販売された。団扇の絵は「すぐ萎む朝顔と、
富貴で尚且つすぐには萎まない牡丹の花」が対照的に描かれているものだ。その絵は、「一勇斎筆」。
「一勇斎」とは、即ち「歌川国芳」。
絵の片隅に書き添えられた句は「むら雨や、
もんどり返す
夏乙鳥:古様庵」
この団扇の現物はないが、その様子を、上記不詳の著者文書が、さらに語る。馬という字と岩という
字が絵画内のコンテンツにあると記載。それが、わざわざ随分不自然に離れて存在する。
歌川国芳得意の
地口がここにもある。「馬岩」が「馬・・・・岩」とある意味を地口で、「うまいわ」でなくて、
「うま・・・いわ=うまくないわ!=どうせ、またしても、(水野は)うまくゆくまい!」の裏暗示。
B
群
仮
埋
No.
6
(No.6)
【G7】_酒のざしき
「さきのばし≒
さけ(酒)のざしき」か?
先延ばし=幕府の悪いお家芸
1843年(天保14年閏9月13日~水野復活(1844)迄
土井に寝返り、水野忠邦を追放した
鳥居だが運命は、哀れ束の間の酒宴。
この絵を上記事象の象徴に「仮埋」した訳
▼
この絵、スミマセン!頑張りましたが、「酒のざしき」の地口、
謎解きギブアップ。酒を呑んで威張ってる親分金魚の象徴は、
多分、誰かのことなのだろうが、地口が、どう考えても、
水野にも、鳥居にも、他当時の老中や、その配下にピタリあてはめる
ことできず。名前や、悪しき実績史実をあれこれ考えても、「サケ
ノザシキ」の音声に類似した事項思い当たらず。将軍は、当時、
時期的には
家慶
だが、キャラ的に不適当に思われる。
このカードは、
他と異なり、仮埋。
本来、他の事象、他人物を示唆する可能性大。
現在発見されてるカードは全部で僅か9枚。ジグソーパズルの破片。
骨組仮構築の為に仮埋め。
【
絵が象徴する事象推量のヒント
】
そこで、とりあえず、前後の流れから、親分金魚を、鳥居耀蔵に
あてはめて仮設定してみました。
親分金魚の後ろに立つオタマジャクシにご注目。多分、小姓の象徴。片手を額にあてて、呆れて
天を仰ぐ。「こいつぁ、ダメだ。世も末だ!」嘆いている。芸者金魚(おばさんだから地味な色)は
琵琶を奏で、舞妓金魚に、小姓オタマジャクシも一匹、親分金魚の御機嫌取りに、一緒に踊って見せている。
B
群
仮
埋
No.
7
▼しゃぼん玉売の風情。
「玉屋玉屋」の声響く。玉屋といえば、もうひとつある。
花火屋のひとつにも、「玉屋」の屋号有り。有名店。
花火屋の玉屋は、1843年失火の罪で追放。この頃、なんだか火事が多発。
・・■象徴される期間は、前後の絡みから、約、
1843年から、1844年
の間を示唆すると思われる。
(No.7)【D4】_玉や玉や
(尚、この絵当該は、
No.9とNo.10の間にも考えられる)
この絵を上記事象の象徴と判断した訳
▼
これも、上のNo.6と同様、無念!地口解明できず。
水野忠邦は、風紀取締りの法令を雨嵐のごとく、山盛り細々、
発している。裏テーマはそれらの何れかに該当するかもしれない。
【絵を見ると・・・】
■
江戸風情
「玉屋、玉屋」と行商人の声。子供も大人も皆集まる。
この商人は「しゃぼん玉セット」販売人。威勢よく、豪快に、
しゃぼん玉を吹き飛ばしてディズプレイ。大人気。我も我もと
人が集まり、よく売れた。
【表向きのテーマ=「玉や玉や」の風情について】
・・私が
連想できた範囲では、江戸風情の玉屋と
いえば二種類。
■
一つ目は、「しゃぼん玉セット売」の行商人。
「しゃぼん玉」は、日本では、1677年に
初登場とされている。植物のサボンの液を、ストロー状の植物の茎を用いてしゃぼん玉にして、
吹いて見せては、売り歩く。彼らの声が「玉屋!玉屋!」と響く江戸風情。
(関連:
江戸の「しゃぼん玉販売人」&歴史
■
二つ目は、当時有名な花火屋の屋号。
断トツに有名な店は二種類。「玉屋」と「鍵屋」。そのうち、「玉屋」は元「鍵屋」の従業員。
「鍵屋」の親方に認められて暖簾分け独立。これが非常に人気だった。「玉屋」の商品は斬新で華麗。
花火大会の際、花火が一発上がる度、人々は歓声をあげて、その掛け声は「玉屋!玉屋!」
現代でいえば、スポーツ観戦中、人気選手の名を人々が大声で発っして興奮するようなニュアンス。
「玉屋」よりも実績の長い「鍵屋」の実力は誰しも頷いているが、不思議と掛け声は「玉屋!玉屋!」。
その様子を語るは、狂歌などにも登場。
「橋の上、玉屋玉屋の人の声、なぜか鍵屋といわぬ情なし」
(関連:
江戸の「花火屋」の様子を語る参考BOOK特集
,■
江戸の文化が解る参考書「守貞謾稿」他特集
ところが、悲しい史実発生。人気絶好調の玉屋は一代で「取り潰し」。原因は過失火事。
1843年(天保14年)4月17日、
玉屋から失火。近隣全般類焼。町の大半(約半町=約1500坪)が
燃え落ちる大惨事。取潰しの上、追放の懲罰享受。ここに「玉屋」の名は史上から惜しくも消えた。
そこで、次の項への橋渡しの役目として、
火事は火事でも政治的に大事になった事件
、
「大奥の大火事件」への導入事象
として、ここに仮設置してみました。
仮設置とは
:約100枚近くあったかもしれない同一シリーズの絵のうち、現在発見されて
いるのは、僅か9枚。ジグソーパズルの破片を繋いで考察するために仮設置。
▼
A
群
No.
8
(No.8)
【E5】_まとい
▼
この絵を上記事象の象徴と判断した訳
▼
1844年(弘化元年5月)
またしても火事!火消し屋大出動!今度は大事だ!
なんと大奥大火事!なんと、
姉小路
が食べたてんぷらが
原因らしい。
これは大惨事。何百人も女中が焼死。大奥の大半が焼け落ちた。
【絵について】
「まとい」とは「纏」とも。火消し屋が持つ幟みたいな・・のこと。
絵の金魚軍団のうち、上行右から2番目金魚が高らかに持っている。
【この絵に、少々補足】
実は、他のシーンとも見えました。象徴は、火消し屋さんに間違いないが、手に持ったものは、棒なのか、
金魚にとっての刀なのか、鉄砲なのか・・にも見える。火消し屋さんから連想は八王子千人同心。
家茂上洛時(1863)や、長州征伐(第一次1863、第二次1866)、水戸天狗の乱(1864)、それぞれ、
彼らはもれなく出陣。しかし、左記はすべて、1860年代。歌川国芳は、1861年死亡の人につき、論外と見る。
しかも、この金魚づくしシリーズのクライマックスを1853に予言どおり、アメリカに威圧され開国を
迫られる現実に至ったことから、事象は1853年以降は対象外だろうと判断しました。
八王子千人同心と砲隊の関係:
幕府が保持した砲隊の各構成は、変遷しますが、基本的には、身分別や、出元別にスタート。
大名や、代官が差し出した人材や、旗本の二男三男。他に後の人材募集による荒くれ者も有。
そのうち、八王子千人同心は、徳川の歴史と共に古くから、必ず関わる忠義集団。彼らは、
砲術調練を受けた優秀な人材。千人隊という言葉も有。いずれにせよ、幕府砲隊の一部に
彼らが主として集まった隊も存在していた。
まとい→(どい【土井】の力量不足)→土井利位:失脚
▼・・・(土井の側面:
幕末の雪華に散った男「土井利位」の研究「雪の結晶【雪華図説】」
水野忠邦:返り咲き。復帰。
▼
No.
8
と
No.
9
の
間
★当該絵画発見されてないが、この枠重要
No.8と、 No.9の間には、現在発見されていない別のカードが、最低でも1枚は必ずあったはず。
なぜならば、
1844年(弘化元年)6月21日、水野忠邦は、返り咲き。復帰。
▼
水野忠邦に係る「返り咲き」の原因:
1844年(弘化元年)5月、江戸城本丸が火災により焼失した。(上記のNo.8事象ご参照)
水野が追放された後、老中首座は、「土井利位」。大奥修復の費用掻き集めが急務。
ところが、土井はその再建費用確保に失敗。将軍家慶は怒り、土井を罷免して、水野を呼び戻す。
良くても悪くても、手腕という点で、外国問題の紛糾などにも対応期待できるは
謹慎中の水野しか居なかった。
<水野忠邦帰り咲きを皮肉った絵柄の「はんじ物」団扇>
をご参照。
金魚シリーズでは、この一件に該当するコマ絵画発見されていないが、ここに、歌川国芳が
明らかにその事象(=水野忠邦の返り咲き)を意識して、皮肉った史実が残っている。
歌川国芳が描いた絵の団扇が販売されている。
その絵のメインは「どうせすぐに萎む花=朝顔(≒水野忠邦のこと)」他。
金魚づくしシリーズにも、【歌川国芳得意の辛口トークの絵画】があったはずだ。
なにはともあれ、大奥の火事(1844年(弘化元年5月))が誘引で、水野忠邦一瞬返り咲く。
帰ってきた以上、水野としては、己を裏切って罷免に追い込んだ
鳥居耀蔵
が許せない。
当然、復讐劇が始まる。
▼
A
群
水野忠邦による「鳥居」への復讐=鳥居の罷免&追放のコマ発生。
鳥居耀蔵の末路
■1845年(弘化2年2月22日):有罪判決下る。
■1845年(弘化2年10月3日):讃岐丸亀藩主京極高朗にお預けの身に陥る。
水野忠邦が、将軍家慶の要望で、謹慎を解かれ、復活したのは、
1844年(弘化元年6月21日)
。
水野は、「叩けば埃出る鳥居」の所業を根掘り葉掘り。掘り繰り返して、謹慎どころか、
有罪判決にまで漕ぎ着ける。鳥居は、ひとたび掘られた以上、ボロボロ悪しき過去が露出。
この絵の裏テーマは、
鳥居耀蔵の末路の象徴と
考えられます
(No.9)【F6】_いかだのり
1845年(弘化2年10月3日)、
鳥居耀蔵は丸亀へ追放される。
後藤三右衛門らが絡む疑惑が致命傷。
▼
ここに、鳥居耀蔵は、哀れ罷免&有罪追放。
・・手前金魚にご注目。弱ってヨレヨレ。敗北感の塊。
立ってられない。ヘタって、船の櫂にしがみついて、今にも
倒れそう。
遠くに二羽の鴫。(これがミソ!後述)
船頭金魚ははシャキッと立って、無常に舟を進める。
この絵を上記事象の象徴と判断した訳
▼
鳥居耀蔵
本人の官位は、甲斐守
。彼は林述斎の子であり、鳥居家
には養子で入っている。鳥居家といえば、戦国時代の
鳥居伊賀忠吉と彦右衛門元忠が断然有名。歴代「忠」がつく。
耀蔵も諱は忠耀(ただてる)。鳥居家では歴代、官位に
伊賀守
が
つく者は多数。即ち、
名将鳥居といえば、伊賀守
が皆の意識に
定着。歌川国芳特有のちょいズレ捻り「地口」がまた始った。
伊賀守(いがのかみ)→いかだのり=鳥居を連想せよの暗号。
歌川国芳の地口思考サイクルはこの頁で多少参考になると思います。
「金魚づくし」の裏事情TOP
▲(注:一瞬、猫だらけの絵で、なんのこっちゃ?ですが、しかし
よく見ると、難解な彼の地口思考サイクル。嘗めずに読むと
暗号解読辞書のごとく
▼
■
「いかだのり」のオチと、■遠くの「瀬に立つ鴫」のオチ
「いかだのり」のオチ
歌川国芳の気持:「調子にのりやがって、今に墓穴を掘るぞ!案の定、ざまみろ!」
<「蛮社の獄」で友人の渡邊崋山が死んでいるから多少過激。>
■例え話や、言い伝え、諺、講談など、「いかだのり」について各種有り。
いわんとする意味は、
「得意技があって慣れた者ほど、その道で、或る日突然墓穴を掘るものだ」という教訓。
いかだのり(筏師は、川下り術に自信有りで巧。ところが彼らの死因の大半が、
その得意技の最中。筏師(=川立ち、川並み)は、筏事故で溺死するものだ・・という例え。
川立ち(=川並み)は、川で果てる
川立ちは、川で果てる
(No.9)【F6】_いかだのり
■
伊賀守(いがのかみ)→いかだのり=鳥居を連想せよの暗号。
<相当捻ってご先祖さんまで考えないと、本人は甲斐守だから、
連想できない難解さがここに潜む。>
誰かさん(=暗黙に鳥居のこと)は、こうして得意技の最中、
しくじって抹消された。
人を陥れるのが得意な人物が、反対に陥れられた。
遠くの「瀬に立つ鴫」のオチ
「西行法師」の詩。
心なき身にも、あはれは知られけり、
鴫立つ
沢の秋の夕暮
鳥居耀蔵が丸亀向けて、哀れ落ちてゆくのが、まさに秋、1845年(弘化2年10月3日)
行く先が丸亀だから、必然的に、実際舟に乗って行ったことでしょう。
■沢の秋の夕暮、■
鴫立つ
、■あはれ(哀れ)
・・・
歌川国芳、実に芸が細かい。解読は困難だが、手ごたえがあっておもろい。
【鳥居に対して、水野以上に憎悪を込める歌川国芳の気持ちについて】
鳥居は、大の外国嫌い派。当然、洋学者は大嫌い。「蛮社の獄」に於いて弾圧の御頭は鳥居。
開国派とは、必ずしも、外国と交易するのが目的ではなく、武力レベルにおいて攘夷が不可能と
判断するが故の開国派も多い。ところが、それらは、鳥居にとって、同じ穴のムジナ。国賊!!
鳥居は渡辺崋山、及び高野長英ら洋学者を弾圧した張本人。歌川国芳は渡辺と付き合いがあった。
その渡辺は、死に追い込まれた。歌川国芳としては、当然憎い。
鳥居罷免追放の報の際には、上記のとおり、「ざまみろ!」状態。
・・・
とはいえ、鳥居さんは、お体元気。明治の世、幕府が消滅してるから当然釈放。暫し明治を生きる。
【鳥居に関して少し弁護】
彼は謀が得意で人の足を引っ張る。その為、あだ名は、「蝮」と「妖怪」。
「妖怪」とは:
鳥居耀蔵(トリイ
ヨウ
ゾウ)+官位:「甲斐守(
カイ
ノカミ)」=
ヨウカイ=妖怪
■
とはいえ、
とにかく信じて疑わないタイプ。幕府は長年鎖国。だから外交だとか、海外知識
導入だとか、それらは全部、罪悪。それを為す人間も罪人。代官の江川英龍達も散々な目に
あわされている。詳細はこちら。
蛮社の獄、尚歯会他
されど、元を糾すと、昔流徳川時代の教えの上では、それが正当。時代の急旋回中、
鳥居の頭は硬いが、それなりに正しいといえば、まあ正しいと解することもできる。古来に忠実。
袖の下や、追い込み、擦り付けは、この人物に限らない。この人物がその点有名になりすぎただけ。
鳥居は、己に素直に従い仰ぐ者は可愛がる。幽閉中の丸亀藩では「仏の鳥居」。勉学を学びに
訪問した地元藩士を可愛がり、鳥居の医学知識を尊んで訪れた患者には親切に一生懸命治療や対応
知識を教える。幕末は、皆それぞれ、見解が異なるだけで、皆が、一生懸命。
B
群
仮埋
1845年(弘化2年9月)
今度は、大物の追放劇。
結局、水野忠邦は、またしても追放される。(上地令断行に失敗)
【D4】_玉や玉や
(No.9とNo.10の間)
1845年(弘化2年9月)
水野忠邦、二度目の失脚
今度は再起不能。
しゃぼん売の風情。
「玉屋玉屋」の声響く。
注:
この絵は、
No.7
にも考えられる為、
重複使用してます。
この絵を上記事象の象徴と判断した訳
▼
【絵を見ると・・・】
■
江戸風情
「玉屋、玉屋」と行商人の声。子供も大人も皆集まる。
この商人は「しゃぼん玉セット」販売人。威勢よく、豪快に、
しゃぼん玉を吹き飛ばしてディズプレイ。大人気。我も我もと
人が集まり、よく売れた。
■
捻り考察
玉、玉・・というと、銃弾の弾もたま。我も我もと諸大名が
あわてて骨董品の鎧やら、時代錯誤の古い火縄銃やらが、バタバタ
売れた事実はあるが、それは、1860年代のことで、該当外。
このシリーズに
黒い亀
が珍しい。気になるが連想つかず。
根拠はないが、なんとなく水戸か、薩摩参入をふと感じた。
水野忠邦が二度目に追放された後、立ったのは「阿部正弘」。
広く皆に意見を求める姿勢はいいが、阿部は、外様薩摩も、
水戸も誰でも、意見を求める。
「ついにこうなったが、どうする!どうだったら良いか、
意見を述べてくれ!」
「ああでもない、こーでもない。」・・ますます混乱。
幕府権威失落に拍車がかかる。
No.
9
と
No.
10
の
間
★当該絵画発見されてないが、この枠にも、なんらかのカードがあったはず。
良し悪しは別として、ひっちゃかめっちゃか頑張った水野時代は、過去となる。
なにもかにも
水の泡!(水野の泡)
。(絵の中、泡プカプカ。しゃぼん玉。)
腐った水野忠邦は、出羽国山形藩に永預け。永久の島流し同然。
1845年(弘化2年9月)水野忠邦、二度目の失脚。今度は再起不能。
歌川国芳
の予言は、こうしてみると、あたかもノストラダムスの大予言のごとく。
いちいち当る。
水野忠邦帰り咲きを皮肉った絵柄の「はんじ物」団扇
をご参照。
水野の二度目失脚は、1844年の夏段階で、早々に
歌川国芳
は、必ずそうなると予言している。
国芳の絵画入りで販売された団扇には、真下の句が組み込まれている。
「もんどり返す」とは、どうせ、繰り返す!の意味。
季節がたまたま夏でなく秋だった、
その違いはあれど、まさしく予言どおり。
むら雨や、もんどり返す夏乙鳥:古様庵
かつての水野はどこへやら。奥州の秋は束の間。
山形藩に落ちた水野は、雪に埋もれて閉ざされる。
金魚づくしシリーズ=黙示録!立証の時!
1853年7月8日(嘉永6年6月3日)
ペリー浦賀に入港
★ついに、平和な金魚国は、
巨大な肉食獣に上陸された!
No.10とは:No.1と兼用:
歌川国芳の予言が現実となった
瞬間のカード「百ものがたり」の
恐怖の瞬間到来
★百ものがたりのジンクスが現実の恐怖に!
【一般に、百ものがたりとは】
怪談話をひとつ語るごとに蝋燭の灯火を一本づつ消してゆく。
最期の 一本が消えた瞬間、本当に恐ろしい事態が発生するぞ!
・・ざっとこんないわれがありました。
★まさに恐怖の現実到来!
この絵は、けっして、ペリーが来てから描いたものでなく、
1830年代後半に発行されていることから、予言の意味で、
イマジネーションで描いていることになる。
素晴らしい。歌川国芳は偉大だ!!
私は、この「金魚づくし」シリーズに関して、
「江戸風情を伝える可愛い絵」とは考えていません。
御伽噺の衣を着て隠れ蓑。反骨の男、歌川国芳の姿
、そのものと
考えています。「ほおづき」シリーズもありますが、きっと同様に、
特定の裏主題を延々語っているものと思います。
こうなると、あたかも探偵推理小説みたいでポカンとなされる皆様も中にはいらっしゃるかもしれませんが、
「無言の裏テーマ」解読に役に立ったのは『
其のまま地口 猫飼好五十三疋
』。
解読辞書か、暗号アルファベットのような役目を果たしました。
それによると、例えば、「白かを」を品川、二十日鼠を見て、「戸塚」を連想せねばならぬ。
二十日を捻りまわして、ハツカ→十日→トツカ→そこで、「戸塚」を辿り当てるといった具合。
おそらく歴史好きさんも、絵画好きさんも、『其のまま地口 猫飼好五十三疋』は軽く見流してしまい
そうな絵。見た目は単純テーマ。(人によっては下らない!とか、物好きとか言って、
うっかり通過しそうなタイプの絵)
ところが、もしも、私がこの『其のまま地口 猫飼好五十三疋』を真面目に読み解きしてなければ、
今回の金魚づくしシリーズの裏テーマ解読できなかったと思います。
No.6_「酒のざしき」と、No.7_「玉や玉や」の地口がいまひとつピンと閃かず、心残りですが、
キリがないので、ひとまず、このへんで一回撤退いたします。
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